投稿者アーカイブ:岡本全勝

視野の時間的広さ・ゾウの時間 ネズミの時間2

2017年12月17日   岡本全勝

昨日の続きです。視野の時間的広さ(長さ)を表す表現として、「ゾウの時間 ネズミの時間」が一つの案です。

本川達雄著『ゾウの時間 ネズミの時間』やその他の先生の発言も利用すると、時間は体重の4分の1乗に比例します。体重の4分の1乗に比例するということは、体が16倍大きくなると、時間は2倍ゆっくりと経過することになります。
心臓が1回ドキンと打つ時間は、ヒトはおよそ1秒。ハツカネズミは1分間に600回から700回で、1回のドキンに0.1秒。普通のネズミは0.2秒、ネコで0.3秒、ウマで2秒、ゾウだと3秒かかります。
30gのハツカネズミと3tのゾウでは体重が10万倍違うので、時間は18倍違います。ゾウはネズミに比べ、時間が18倍ゆっくりだということになります。

ネズミが短命でゾウが長生きするだけでなく、「生活の時間単位」が寿命に比例しているのです。心臓のドキンを「1生活秒」とすると、ハツカネズミの「1生活秒」は時計では0.1秒です。人間は「1生活秒」は1秒、ゾウの「1生活秒」は3秒です。
ネズミは細かいことはよく見えるのでしょうが、長期的視点では考えることができないのでしょう。ゾウはその逆になります。セカセカして生きるか、鷹揚に生きるか。

興味深いのは、哺乳類の場合、いろんな動物の寿命を心周期で割ると15億になります。つまり、哺乳類の心臓は一生の間に15億回打つという計算になるのです。
ハツカネズミの寿命は2~3年で、インドゾウは70年近くは生きますが、心拍数を時間の単位として考えるなら、ゾウもネズミもまったく同じ長さだけ生きて死ぬことになるのです。すなわち、ネズミもゾウも、同じだけの生物時間を生きていて(と言っても、本人は比較のしようがありませんが)、早く駆け抜けるか、ゆっくりと生きるかの違いなのですね。

北村亘先生の新著『地方自治論』

2017年12月16日   岡本全勝

北村亘・大阪大学教授が、『地方自治論 2つの自律性の狭間で』(2017年、有斐閣)を出版されました。お三方の共著です。
大学での地方自治論の入門的教科書です。「これまでに出版されてきた研究書や論文の成果をできるだけ取り入れて、わかりやすく書いたつもりです」と書かれています。
また、「地方自治の研究者の関心を意識すると、学生の視点から乖離する。そのバランスをどう取るかについて苦労した」との趣旨のことが書かれています。

そこなのですよね、大学の授業や教科書を書く際の苦労は。相手が地方自治を専門に学ぶ人や自治体職員なら難しくてもよい、いえどんどん詳しくしてもかまいません。
しかし、学部生は、彼らの関心の一つとして地方自治論の授業を取っています。また、地方公務員になる人も多くはありません。
すると、話を何に絞るか、最低限何を理解してもらうかを考えなければなりません。そして、興味を持ってもらうことも、必要です。
本書では、制度論だけでなく、地方政治や地方行政の運用や実態について、多くの記述がされています。学生には、取っつきやすいでしょう。

本書では、2つの自律性に着目しています。一つは、地域社会に対する地方政府の自律性です。住民自治の世界です。もう一つは、中央政府に対する地方政府の自律性です。団体自治の世界です。
また具体政策分野として、教育、子育て、高齢者福祉を取り上げています。わかりやすい、読みやすい教科書です。

視野の時間的広さ・ゾウの時間 ネズミの時間

2017年12月16日   岡本全勝

視野の広さを表す表現に、「鷹の目と蟻の目」という表現を使います。「鳥の目と虫の目」とも。
蟻は、目の前のものを見ます。細かいところは見えるのですが、自分がどのような位置にいるか、周囲が見えません。それに対し、鷹は高いところから見るので、広い範囲を見ることができます。人間も経験を積むと、高い位置から、幅広く物事を見ることができるようになります。

ところで、もう一つ視野の広さがあります。それは、時間的な広さ(長さ)です。
いま目の前のことしか考えないか、あるいは長い時間で物事を考えるかの違いです。それは、過去にさかのぼることと、未来を見ることです。
ところで、これを例えるよい表現が浮かびません。長生きする鶴や亀に対し、短い一生のカゲロウや虫が一つのたとえですが、よい表現になりません。
碩学に相談したら、「ゾウの時間 ネズミの時間」が良いのではとの教え。ベストセラーの本川達雄著『ゾウの時間 ネズミの時間』(1992年、中公新書)から拝借したものです。
この項続く

慶應義塾大学、地方自治論Ⅱ第11回目

2017年12月15日   岡本全勝

今日は、慶應大学で地方自治論Ⅱの第11回の講義。公営企業と第3セクターの議論を発展させて、サービス提供について、行政・企業・非営利団体の3つの違いを説明しました。具体の事業を表にしてです。この表はかつて作ったのですが、今回、有識者に見てもらい加筆しました。学生には、「わかりやすい」と好評でした。

引き続いて、国の予算と赤字について。財務省に提供してもらったパンフレットを解説しました。社会保障費は伸びるのに、税収は伸びず、いわゆる「ワニの口」になっていること。先進国の中でも、赤字額、累積額が飛び抜けて大きいことなどを説明しました。これも、パンフレットのおかげで、理解してもらえたようです。

なお、レジュメ9を修正しました。修正後を使ってください。3ページ下から2行目。
「社会システム:自発、無償・有償労働、協力非営利」です。NPOも無償労働だけではありません。

若者の恋愛離れ

2017年12月15日   岡本全勝

12月12日の朝日新聞オピニオン欄「若者の恋愛ばなれ?」から。
牛窪恵(世代・トレンド評論家)さんの発言
・・・若者の恋愛観を、実際に当事者に話を聞きながら調べ続けてきました。今の20~30代は、恋愛を必需品ではなくて嗜好品と捉えており、手間やリスクを考えると割に合わないもの、と考える人が多くなっていると感じます。
21世紀に入り、まず変わったのが男性の恋愛観です。景気低迷と将来不安の高まりから、無用な消費を嫌がり、わざわざ恋をしてお金や時間を使いたくない。初めから男女平等の教育を受けており「男が引っ張る」感覚も弱い。
それでも、少し前まで女性には恋愛願望がみられましたが、最近は男女を問わず「恋愛は面倒」という声が多くなりました。おそらく最大の理由は、常にスマホでネットや人とつながっている「超情報化社会」になったことです・・・

トミヤマユキコさん(早稲田大学助教)さんの発言
・・・とくに女子は保守的で、「成功したい」ではなく「失敗したくない」が基本。就職で社会への出方でつまずいてしまう危険があるように、恋愛も失敗するとレールをはずれ、いずれ「社会的死」につながるものと考えています。彼女たちには「恋愛に全てをかけた結果、失敗してもゼロに戻ればいい」という選択肢がないようなのです・・・
・・・こんな女子学生の話を聴きました。憧れの先輩がこっちを振り向いてくれず、でも怖いから告白もできない。とりあえず嫌われていない状態で様子を見つつ、余ったエネルギーを出会い系アプリに振り向けている。そこでゲーム感覚で「いいね」をもらえることに喜びを見いだす。かといってそこから関係が進むわけでもない。
生身の人間相手の重いコミュニケーションは難しいので、アプリを媒介にした軽いコミュニケーションで承認欲求を満たし、二つの関係を行き来しながら自分の気持ちをなだめているのです・・・