投稿者アーカイブ:岡本全勝

中堅国家のこれから

2026年10月15日   岡本全勝

9月30日の読売新聞に「読売国際会議2026 ミドルパワー連携の可能性と限界」の概要が載っていました。「中堅国家 高まる役割」という見出しです。

・・・米国が国際協調に背を向け、中露が覇権主義的な行動を強める中、ミドルパワー(中堅国家)はどう活路を見いだすか――。読売新聞社と読売国際経済懇話会(YIES)は18日、読売国際会議2026「ミドルパワー連携の可能性と限界」を都内で開いた。年間テーマ「岐路に立つ世界と日本の国益」に基づき、岡野正敬・前国家安全保障局長、添谷芳秀・慶応大名誉教授、岩間陽子・政策研究大学院大教授が、ミドルパワーを巡る世界の現状について議論した・・・

添谷
「ミドルパワーとは米中露3大国に続いて相応の力があり、ルールに基づく国際秩序の管理に責任と意思を持つ国のこと。日本は当然、ここに入る。
ミドルパワー連携には三つの領域がある。第一に地球規模の課題に取り組む「グローバル・ガバナンス」(世界の秩序管理)への関与だ。カーニー氏の演説は、こうした責務の大きさを正面から受け止めていた。
第二に、大国との関係を管理するために自らの力をつける「自強」と地域秩序の強靭性強化だ。高市首相が提唱するアジア諸国のエネルギー調達支援の枠組み「パワーアジア」は、まさに地域の強靭性強化を目指す政策だ。
第三に3大国との関係の管理だ。つまり日本が国家戦略に対中外交や対米同盟をどう落とし込むかという話で、一番厄介な課題だ。この第三の問題が第一と第二の領域に波及するのは避けなければならない。」

岩間
「ミドルパワーとは、世界の秩序管理に貢献する意思と能力はあるが、単独では形成できない国。世界は16、17世紀以来、欧米中心の秩序にあり、そこから外に飛び出す覇権交代は一度も経験していない。
だが例えば中国やインドは既存秩序に従うことを当然視していない。日本は戦後秩序から多大な恩恵を受けたが、欧米中心でない世界が来ることがあり得るという想像力は必要だ。
欧米中心の秩序で進んだグローバル化は人間の本性に若干なじまない部分があり、20世紀初めに一度反動が来て、現在また反動が来ている。また、世界は久しぶりの人口減の時代に入る。安定した社会ほど人口がおそらく減っていく。
現在の政治の根っこにあるグローバル化と人口減という中長期の問題に対し、ミドルパワー連携は(短期的に)「時間を買う」ために必要だが、もう少し中長期の感覚も求められる。」

岡野さんが、組織論について、興味深い発言をしておられます。
「安全保障の議論で注意すべき点がいくつかある。まず、議論が専門的になると責任の所在が不明確になる。昨年成立したサイバー対処能力強化法及び同整備法の準備過程で、内閣官房に法案準備チームを立ち上げた。各省庁から送られた優秀な人材は自らの担当分野の知識や判断力は素晴らしかったが、サイバーセキュリティー全体を知る人がいなかった。透明性を高め国民的な議論をすることが大事だ。」

生成AI使用の注意

2026年10月14日   岡本全勝

先日、講演で使う資料(PDF)を改訂しようとしたらうまくできないので、若手の知人に協力をお願いしました。彼が、「この資料はネットで公開していますか」と聞きます。「いいや」と答えたら、数分で完成させてくれました。

「どのような方法でやってくれたの」と聞いたら、「生成AIに指示をして、やらせました」とのこと。個人でChatGPTを使っているそうです。便利になったものです。
「その際に、変更するページだけを切り出して、生成AIに作業をさせました。全部の資料を預けると、それを学習して取り込みますから」とのことでした。それで「ネットに載せていますか」と確認したのですね。

生成的人工知能(生成AI)は便利ですが、注意しないといけないのです。「人工知能があなたのすべてを見ている」

金融業界、定年延長

2026年10月14日   岡本全勝

10月6日の読売新聞に「金融 シニア活用拡大 人手不足深刻 定年延長・給与現役並みに」が載っていました。

・・・金融業界でシニア人材を活用する動きが広がっている。人手不足が深刻化する中、金利上昇や事業の多角化に伴い、多くの人材が必要となっているためだ。定年延長や処遇改善を通じて専門知識や顧客との関係を持つベテラン社員を社内に引き留め、「現役」として活躍してもらう考えだ。

明治安田生命保険・・・は2027年度から定年を65歳から70歳まで引き上げ、退職後は1年ごとに契約を更新する現行の再雇用制度を改める。退職金の積み立ても70歳まで延ばして受取額を増やせるようにし、優秀なベテランを確保する考えだ。
シニアの引き留めは金融業界で相次いでいる。
三菱UFJ銀行は27年度から定年を60歳から65歳に延長し、55歳で「役職定年」として一斉に給与を引き下げる制度も廃止する。シニアでも能力に応じて昇給しやすい仕組みにし、働く意欲を高める考えだ。
メガバンクでは三井住友銀行もすでに65歳に定年を引き上げており、みずほ銀行では55歳の役職定年を廃止している。証券業界でも、野村ホールディングス(HD)は今年度から定年後に再雇用した社員の給与水準を現役世代並みに引き上げ、シニアに活躍してもらう考えだ。

シニアの活用が広がるのは人手が足りないためだ。
帝国データバンクの調査では、正社員が不足していると感じる企業の割合は全51業種の平均51・3%に対し、金融業界は67・1%となり、最も高かった。
金融業界は金利や株価の上昇を受け、過去最高益を更新するなど業績好調だ。資金の運用や融資などで事業拡大の余地も大きく、顧客企業へのコンサルタント(相談)業務など比較的、新しい事業にも力を入れている。
融資判断や運用、新たな保険の開発などは専門性が高く、「経験豊富なシニアの活躍で、事業拡大や新たな領域への進出が可能になる」(大手保険会社)としており、他業界以上にシニアへの期待は大きい。政府も企業に対し、70歳までの就業機会の確保を努力義務としており、活躍の場はさらに広がる可能性もある・・・

ミスりんごはなぜ終了するのか

2026年10月13日   岡本全勝

「自治体のツボ」、10月9日は「ミスりんごはなぜ終了するのか」でした。
かつて「ミス××」は流行りましたが、もう男女共同参画の時代に合わなくなりました。ミスりんごも、そのような理由だと思っていたのですが。この記事を読むと、背景にはもっといろんな理由があるようです。

・・・③ゆるキャラという強力なライバルの出現。地方振興の旗振り役としてひっぱりダコなのはこちら。女の子をベタベタ触るわけにはいかないが、ゆるキャラならちょっと倒したところでさして問題にならない。その人気は軽く県をも超える。

最後は背景⑤人口減社会。そもそも地元にとどまって地域のアピールをしたがる若い女性、相当探さないと見つからない。みんな長じたら都市へ行く。応募者も減り、この中から選ぶのは困難、となった可能性はある・・・

ところで、「ミスター××」という言葉もあります。ところが、ミスター××とミス××は対応していません。私は長く復興に携わったので「ミスター復興」という異名もいただいたのですが、もし私が女性だったら「ミス復興」と呼ばれたのでしょうか。ちょっと違いますよね。

ピンクのシャツを着たら「目立ってはいけない」

2026年10月13日   岡本全勝

日経新聞夕刊「人間発見」、10月5日の週は、高橋秀仁・レゾナック・ホールディングス社長でした。10月6日の「アジアで経営者の夢抱く」に、次のような話が載っていました。

・・・1986年に三菱銀行に入行した早々、気骨のある先輩に感銘を受ける。
私は人と同じがイヤで、新人研修にピンクのボタンダウンシャツで臨みました。同じグループの20人は全員白のワイシャツだったと思います。そこでメンターをつとめていた先輩が人事部に呼ばれて、「1人だけ目立つのはよくない」と小言をいわれました。銀行の人事部というのは重箱の隅をつつきたがります。
ところが、その先輩が硬骨漢で、「分かりました。明日から全員にピンクのシャツを着せます」と返したそうです。10歳ぐらい上の人でしたが、すごい人がいるな、と素直に驚きました・・・

1986年は昭和61年です。銀行も公務員と同じく、いやそれ以上に「お堅い職場」でした。
私は1990年代半ばに、クレリックシャツ(襟と袖口が白で身頃は色つき。この言葉は日本語です)を着たら、職場で変に思われました。色つきのシャツも珍しい時代です。後に、紺のスーツをやめて、上下そろいでない服を着たら、いろんな人から指摘を受けました。「どうしたの」と。「いや~貧乏で、上下を揃えられなかったのです」と言っていました。スーツより高かったのですが。
クールビズは今世紀に入ってからです。