岡本全勝 のすべての投稿

ソーシャルメディアの心への悪影響

4月3日の朝日新聞教育欄に「若者の心に影響?SNSに懸念 摂食障害・うつ…関連研究、米「深刻なリスク」」が載っていました。

・・・ソーシャルメディア(SNS)が若者の心の健康に及ぼす悪影響への懸念が、世界で強まっている。SNS利用と、摂食障害やうつ病といったメンタルヘルスの問題に関する研究が進み、脳の発達期にある10代の子どもたちが特に影響を受けやすいとの指摘もある。世界と日本の現状と取り組みを探った。
目白大大学院修士1年の上條凜さんは2年前、インスタグラムを使う都内の女子大学生約150人にアンケートした。調べたのは、インスタへの投稿行動と、自分の体形への認識や心理的ストレスとの関連だ。
調査では、自分の投稿への承認欲求が強い人ほど、体格指数(BMI)では「標準」や「やせ」でも自分を太っていると認識する「ボディーイメージのゆがみ」が強いという結果がでた。ボディーイメージのゆがみは、摂食障害につながる原因の一つとされる・・・

・・・SNSが若者に与える影響は、社会問題化している。
米国では、SNSの影響を受けて自殺したとして、保護者らがインスタを運営する米メタなどを提訴する動きが広がる。昨年5月には、米公衆衛生部門トップのマーシー医務総監が「SNSは若者の心の健康を害する深刻なリスクがある」とする勧告書を公表した。
勧告書によると、米国のSNSを利用する13~17歳は95%に上る。10代前半で1日3時間以上SNSを使うと、抑うつや不安などの症状を引き起こすリスクが2倍になると指摘した。
さらに脳の発達の面からも、SNSの影響について特段の調査が必要だと指摘。アイデンティティーが形成される思春期は社会的プレッシャーや仲間との比較に敏感になるためだ・・・

・・・法律で有害情報から子どもを守る動きもある。
英国では昨年10月、「オンライン安全法」が成立。自殺や自傷行為、摂食障害を助長する情報などを「子どもに有害な情報」と定義し、子どもが見られないようにする措置をSNS事業者などに義務づけている。
後押ししたのが、2017年に起きた14歳の少女の死だ。少女はインスタグラムで大量の自傷行為やうつ病に絡む情報を見ていたという。
少女の家族を支援した英NGO「5ライツ財団」のリアンダ・バリントンリーチ専務理事は「SNS事業者は、子どもをサービス内に引き留めるためにアルゴリズム(計算手順)を駆使し、刺激的なコンテンツを使う。子どもの利益より企業の利益を選ぶ事業者を正しい軌道に乗せるのは政府の責任だ」と話す・・・

朝日新聞デジタル「震災と人口減」

4月21日の朝日新聞デジタル「「震災=人口減」なのか 過去の予測と実際の人口、比べて分かった差」に私の発言が少し載りました。連載「8がけ社会」4月20日の「朝日新聞デジタル「ミスター復興が伝えたいこと」」の続きとなります。

・・・大規模災害は地域の状況を一変させ、住民の流出によって急激な人口減少を引き起こす。能登半島地震の被災地もいま、この問題に直面している。ただ、必ずしもすべての被災地で、人口減が加速するわけではない。東日本大震災などの被災地で、被災前に作られた将来推計人口と実際の人口を比べると、地域ごとの違いが見えてくる。
朝日新聞は今回、市町村ごとの将来推計人口を定期的に公表している国立社会保障・人口問題研究所(社人研)のデータと、国勢調査による実際の人口を比較した・・・

・・・10年近く復興行政に携わった元復興庁事務次官の岡本全勝さんは元々の地域からの人口流出が加速した結果、「仙台市への一極集中、あるいは釜石市などへの小集中が進んだ」と指摘する・・・

隠れ教育費

4月6日の朝日新聞別刷り「フロントランナー」は、「隠れ教育費」研究室、福嶋尚子さん・柳澤靖明さんの「学校の「当たり前」を問いなおす」でした。

・・・制服、ランドセル、計算ドリルや国語ワーク。子どもが小中学校に入学すると買わねばならないものは、多岐にわたる。部活動費や、修学旅行費など行事に関わる出費も少なくない。そうした学校にまつわる保護者負担を「隠れ教育費」として、問題提起をしてきた。

なぜそれを買う必要があるのか。購入に至るまで、教職員や保護者らでどんな話し合いがあるべきか。費用はいくらが妥当で、誰が負担するべきなのか――。
憲法26条には「義務教育は、これを無償とする」とある。家庭の経済状況に左右されず、全ての子どもが教育を受けられるようにするためだ。にもかかわらず、文部科学省の「子供の学習費調査」を元にした試算では、公立小6年間では約63万円、公立中3年間では約51万円の保護者負担が発生する。憲法の「無償」はどの範囲で、どう考えたら良いのか・・・

盲点でした。経済成長が始まる前は、家が貧しくて修学旅行に行けない子どももいました。悲しかったでしょうね。

優先順位をつけることは劣後順位をつけること

時間が限られているのに、処理しなければならない仕事がたくさんある場合や、予算や人員が限られているのに、たくさんの要求がある場合。それらの課題に優先順位をつけなければなりません。企業ではひところ「選択と集中」という言葉が流行りました。

「優先順位をつける」「選択と集中」とは、よい響きがある言葉です。でもその裏側に、劣後順位をつけること、切り捨てることが必要になります。それは、切り捨てられる立場の人にとっては、たまったものではありません。「なんで、私が切られるのか」と反発します。

公務員にとって困るのは、議員が特定案件を優先するように求めてくる場合です。不合理な依頼は断る必要があるのですが、時に高圧的に、威圧的な場合もあります。私も何度も経験しました。
私は後輩に「スマートフォンか録音機で、そのやりとりを録音しておいたらどうか」と助言するのですが、場合によっては、さらに激高される恐れがありますね。街頭だと防犯カメラに写るのでしょうが・・・。

自治体賃金、女性平均低く 

3月28日の読売新聞解説欄に「自治体賃金 女性平均低く 男性の8割未満71% 多い非正規 少ない幹部」が載っていました。

・・・都道府県や政令市など主要121自治体の多くで、女性職員の平均賃金が男性の8割に満たないことが読売新聞の集計で明らかになった。女性職員に占める非正規雇用職員の多さと幹部登用の少なさが主な原因だ。都道府県や市区町村は、国と共に女性活躍の旗振り役とされ、改善への取り組みが必要だ。

女性活躍推進法に基づく改正内閣府令で、自治体は2023年度から、賃金格差について公表を義務づけられた。だが大半の自治体はウェブサイトの探しにくい箇所に公表している。
読売新聞は23年8~9月、都道府県と政令市、県庁所在地、東京23区の計121自治体に、22年度の非正規職員を含めた男女間の職員の賃金差と、背景要因などを書面で尋ねた。その結果、71・9%にあたる87自治体で女性の平均賃金が男性の8割に達していないことが分かった。

要因を尋ねた選択回答式の設問に対し、9割近い106自治体が、非正規雇用である会計年度任用職員として働く女性の多さを回答した。次いで半数を超す68自治体が「管理職への登用の少なさ」を選んだ。

会計年度任用職員は地方公務員特有の職種だ。総務省の20年度調査などによると、地方公務員の2割弱(約62万人)を占め、その8割弱が女性だ。
この職種は民間のパートタイムやアルバイトに比べ、休暇制度や福利厚生が充実しているとされる。家庭などを優先したい人には利点があるが、あまり昇給を見込めず、自分の得意分野を生かして働きたい人には物足りない面もある・・・

詳しくは記事を読んでいただくとして。時代が進んだことを実感します。30年前までは、女性は補助的業務に従事し、結婚したら退職、非常勤職員は女性、幹部に女性はいませんでした。1946年に日本国憲法が男女同権を定めたのですが、実態はこうだったのです。日本社会と国民の暮らし、そして意識は、急速に変化しつつあります。まだその途中ですが。