投稿者アーカイブ:岡本全勝

風呂にゆっくり入る

2026年10月17日   岡本全勝

何のことかと思われるでしょう(笑い)。
ふだんは、2歳の孫と6か月の孫を風呂に入れるのです。週末には、近所に住む4歳の孫もきます。これは大変です。
4歳と2歳は風呂が好き(風呂で遊ぶのが好き)なので、入れることには困りません。最近は、水鉄砲と水車がお気に入りで、取り合いをしています。おもちゃを持たせて、その間に体と頭を洗います。有無を言わせず、頭からお湯をかけます、「じゃばー行くぞ」と言いながら。孫はそれぞれにあわてますが、タオルを渡すと顔を拭きます。慣れたものです。
問題は出るときです。湯船の中で楽しく遊んでいて、出たくないのです。一苦労・・・。出て体を拭いたら、そのままの姿で、逃げていきます。

6か月の孫は、また違った難しさがあります。お風呂は好きなようで、私の膝のうえで手足をバタバタさせます。乳児用石けんで滑りやすくなっているので、落とさないようにするのに注意を払います。

風呂の外に、キョーコさんか保護者を待たせて、引き受けていてもらうのですが、私はゆっくりと風呂に入ることはないのです。孫たちを風呂に入れなくてもよい日が、時々あります。「こんなことは、めったにないなあ」と思いながら、足を伸ばしています。

アメリカ企業の人材開発

2026年10月17日   岡本全勝

「ピンクのシャツを着たら「目立ってはいけない」」の続きになります。日経新聞夕刊「人間発見」、高橋秀仁・レゾナック・ホールディングス社長の10月7日「GEに転職し人事学ぶ」から。
東京三菱銀行から、日本ゼネラル・エレクトリック(GE)に転職します。

・・・GEで学びたかったのは、グローバル企業の経営のリアルです。いずれ日本企業のかじ取りをしたいと思っていましたが、そのためには経営の勉強をする必要があります。
GEで一番感銘を受けたのは、HR(日本語でいう人事部)の仕事ぶりですね。日本の人事部は社員の管理が仕事ですが、GEのHRは社員と対話を重ね、価値観や理念を共有することに多くの時間を費やしていました。
当時のGEには「GEバリュー」という考え方が組織の隅々まで浸透しており、その徹底ぶりは一種の宗教法人のような印象も受けました。

人材開発に熱心なのは、各事業のトップも同じです。傘下の拠点を精力的に訪問し、優れた人材がいれば、即座に引き上げます。社員を管理対象とみるか、価値を一緒に生み出す仲間とみるか、同じHRでも日米で大きな違いがあると実感しました・・・

静岡大学で講義

2026年10月16日   岡本全勝

10月16日は、静岡大学の「公務労働の世界」で講義をしてきました。山田健・准教授の依頼です。国家公務員や地方公務員が仕事の話をして、進路選択の一助にしてもらう授業です。

ほかの大学でも同様の講義をしているので、話す内容や使う資料はできています。ただし、毎回の講義を踏まえて、少しずつ変えています。限られた時間で、興味を持ってもらい、伝えたいことが伝わるように工夫しています。

学生には、私の経験は珍しいでしょう。私が学生時代にこんな講義があったら、聞きたかったです(笑)。
今日も、100人を超える学生が熱心に聞いてくれました。質問の時間をたくさん取るようにしています。「採用面接の予行演習だと思って手を挙げてみてください」と薦めたら、積極的に手が上がりました。質問も適確でした。学生の反応がよいと、話していてやりがいがあります。ありがとう。

日本の強みは信用

2026年10月16日   岡本全勝

10月1日の朝日新聞オピニオンラン「アジアの中の日本」。
・・・日本が経済大国としてアジアの先頭を走った時代は過ぎた。米中両大国がせめぎ合うなか、アジアの中で日本はどんな存在となり、どう外交を進めれば良いのか。アジア開発銀行(ADB)元総裁の中尾武彦さんと、元駐インドネシア大使の石井正文さんに聞いた・・・

中尾さんの発言から
―中国への見方は変わりましたか。
「以前は、安全保障上の中国警戒論を聞いても、『そこまでではないだろう』と懐疑的でした。でも今考えると、警戒論は7割ぐらいは正しかったかもしれない」

―それでも「中国包囲網」には否定的ですね。
「囲みきれないですよ。特に経済は、中国を抜きにした国際経済、アジアの枠組みは考えられません。警戒することと敵対することは違います」

―中尾さんがADB総裁だった時、中国主導で発足したアジアインフラ投資銀行(AIIB)と協力したのが印象的でした。
「日本では『バスに乗り遅れるな』と参加を促す議論もありました。でもそれは中国がつくったバスで、運転手も中国人です。敵対する必要もないし、日本の税金で出資までして加入するのでもなく、ADBとの協調融資で協力するのが合理的だと考えました」

―今の日本の強みは。
「信用です。日本企業や日本外交は『約束を守る』とアジアの国々から信頼されてきた。短期的利益だけでなく、長期的に相手の利益も考える。その積み重ねが資産になっています」

連載「公共を創る」第274回

2026年10月15日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第274回「これまでの議論ー新しい課題に対応する行政への転換」が発行されました。
政府・市場・社会三元論で見ると、政府と市場との関係も「市場への介入」とは違ったものが見えてきます。政府は市場に対し、経済活動が機能する基盤整備や市場経済の欠陥の是正とともに、国民の生活を守り向上させるため、規制をかけ誘導をします。ここでは、長期にわたる経済停滞に関連した産業政策について述べます。

産業政策は明治以来、国を豊かにするという国家目標に向けた政府の主要な政策でした。政府がもたらす新しい知識や、業界の競争と保護を兼ね合わせた行政指導と民間の努力により、産業化と高度化に成功しました。日本は、優れた産業政策によって世界の最先端を行く経済大国になり、目的を達したのです。他方で、1980年代から西欧先進国で始まった新自由主義的改革を日本も採用し、「官から民へ」「小さな政府」へと舵かじを切りました。そこには、民営化などの官の改革のほかに、規制改革、事前調整から事後監視への転換など統治手法の変更も含まれていました。
こうして、政府の産業政策は縮小されました。ところが世界では、先進国も後発国も産業政策に力を入れていたのです。
「骨太の方針2026」(7月21日閣議決定)では、「主要先進国では、官民が連携して大規模かつ長期的な財政支出を伴う産業政策が大きな潮流。経済財政運営の在り方そのものに関するコペルニクス的転回であり、我が国も、こうした時代の変化を踏まえた国家運営が求められている」と方向転換が示されました。

これまで、政府・市場・社会三元論では企業がその活動を通じて世の中を支えていると説明しました。各種のサービスを提供するとともに、働く場を提供することによってです。そして生活者の側からも、安心の基礎には働く場の提供による雇用があります。企業は、経営と引き換えになっているはずの雇用の提供と所得の保障という役割を、十分には果たさなかったのです。

振り返ってみると、どこかで発想の転換はできなかったのでしょうか。それは、企業が新しい分野への投資をし、安定した雇用と給与を確保することと、政府も予算と人員の削減ばかり続けないよう軌道修正することです。もちろん、業績の悪い企業にそれを期待することは無理ですが、政府が何らかの手を打つことはできなかったのかという疑問は生じます。政府がなさねばならなかったのは、そのような発想の提示であり、自らの実行と企業への支援だったのではないでしょうか。

官共業三元論では、政府・市場・非営利活動の3部門が国民にサービスを提供します。その前に課題を見つけることがあります。これについても、三つの部門に属する主体がそれぞれ、あるいは協力し合って、世の中の課題を見つけ、対策を考えることになります。
NPOが困った人を支援し、世の中の課題に取り組んでいます。なぜ行政には孤立防止や子ども食堂への取り組みができなかったのでしょうか。非営利活動家の感度の良さと熱意の強さに、公務員たちが負けているのではないでしょうか。