岡本全勝 のすべての投稿

2011.01.15

今日は、日本大学大学院での、秋学期最後の講義でした。第7章組織の管理と、第8章大きな政府と小さな政府を、駆け足でお話しして、無事終えることができました。半年間おつき合いいただいた院生の諸君には、お礼を申し上げます。後は、レポートによる成績評価が、残っています。
中央政府と地方政府の組織管理については、いろいろ書かれたものがあるのですが、私には、どうももの足りません。実態、問題点、改善案。私は、これまでいろんな職場で、実際に経験させてもらい、考えさせられたので、様々なことが見えるようになったのでしょう。いずれ、これについても、考え方を整理したいですね。ただし、体験談、実践編、理論編が入り交じり、なかなか文章にするのは難しいです。

政策研究大学院で講義

今日は夕方から、政策研究大学院大学で講義。日本の行政の成果と課題を、お話ししました。院生の方、しかも地方公務員の方が多いので、話しやすかったです。
これからの時代は、これまでの延長ではダメです。新しい発想で考えてもらうために、極端に物事を単純化してお話しし、議論を吹きかけました。学生の方は、戸惑われたかもわかりません。
しかし、そんなに非現実的なことを、話しているつもりはありません。駐車違反の摘発業務や刑務所が、民間委託される時代です。命を預かる医者の多くが民間人で、教育の多くを私学が担っているのです。「これまで官(公務員)がやっていたから」という思考は、捨てて考えましょう。
何人かの受講生から、感想と質問を送っていただきましたが、返事は明日以降にします。しばらくお待ち下さい。

2011.01.12

今日は午後から、慶應義塾大学法学部で講義。もう、あと1回で終わりです。時間が経つのは、早いですね。授業は順調に進み、現在の大きな課題である「財政再建」を、お話ししました。もちろんこれは、地方財政だけで解決できる問題でなく、国家財政と併せ改革しなければならない問題です。
講義はそれを含めて、現在の日本の経済・社会・政治の問題まで説明しました。
なお、今日の授業で言及した齊藤誠・一橋大学教授の本は、「競争の作法」(2010年、ちくま新書)です。また、平成23年度の地方税収の見込み地方財政対策の詳しい内容は、総務省のホームページを見てください。
ところで、今日は学生が増えて、配付資料が足らなくなりました。合わせて配付している前回資料も、足らなくなりました。これについては、次回配付します。

産業別従事者数の推移

1月10日の日経新聞経済面「三度目の軌跡、データで見る」に、わかりやすいグラフが出ていました。1950年代から現在までの、産業別従事者数の推移です。
農林業が、1,500万人から260万人に大きく低下しました。製造業は、700万人から増加し、1964年に農林業を抜きました。1992年には 1,569万人とピークに達し、その後減少し、約3分の2の1,000万人程度にまで減っています。建設業は200万人から、経済成長とともに増加しまし たが、最も多かったのはバブル崩壊後の公共事業拡大期です。1997年に685万人に達しましたが、その後は公共事業の削減もあり、500万人程度に減っ ています。
卸・小売業、飲食店は、700万人程度から増加し、1996年に1,463万人と製造業を抜きました。その後、少し減っています。医療・福祉は600万人で、建設業を抜きました。
このように言葉で書くとわかりにくいですが、記事に出ているグラフはわかりやすいです。日本経済や産業の移り変わりが、一目瞭然です。

社会の制度・インフラの輸出

1月9日の朝日新聞経済欄で、韓国がカンボジアやラオスで、証券取引所の売り込みをしていることを伝えていました。市場経済の重要なインフラである証券取引の仕組みを、教えるのです。
新興国にとって、もの作りを輸入するだけでなく、経済や社会の制度・インフラを輸入することも重要です。日本も明治以来、たくさんの制度を欧米から輸入しました。典型が、法律や行政の仕組みです。
日本も先進国になったので、アジアなどの新興国のお手伝いをすることが、期待されています。法務省が、カンボジアなどでの法整備に協力していることが有名です(参考文献、松尾弘著『良い統治と法の支配-開発法学の挑戦』(2009年、日本評論社)など)。また、JICA(国際協力機構)が、いろんな技術援助をしています。
少し視野を転じて、先進国を含めた世界への社会インフラの貢献となると、あまり思いつきません。かつて、日本が先進国に「輸出」した法律の例として、迷惑メール防止法を教えてもらったことがあります。アメリカの国会議員が、日本に勉強に来たのです。他に、何かありますかね。