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福島・いちご園の再開

今日は、復興担当大臣のお供をして、福島県相馬市まで行ってきました。早起きして、始発の新幹線です。
視察先の一つに、観光いちご園の開園式がありました。13軒の農家で作っておられる組合ですが、津波でビニールハウスが流されたり、海水につかって、続けられない農家も出ました。今年は、7軒で再開です。
組合の事務所=直販所(このチラシの下に写っている建物)は、天井近くまで津波が押し寄せ、屋根と柱だけになったそうです。さらにガレキが散乱し、一時は再開をあきらめかけたそうです。しかし、「各地から入ったボランティアがガレキ片付けをしてくださったので、再出発ができた。ぜひ、感謝の意を伝えてほしい」との、組合長さんの発言がありました。
原発事故による風評被害が心配されますが、何度も検査をして安全であることを確認してあります。産業の再開が、復興の第一です。この観光農園では、多い時には、1年間に5万人を超える来場者がありました。大臣と市長が、子どもたちと一緒にイチゴをほおばるところがテレビで放映されれば、少しは宣伝に役立つでしょうか。
私もいただきましたが、粒の大きな甘いイチゴでした。葉や茎も大きく、びっくりしました。確かに葉が大きくなければ、大きな実をつけることはできませんよね。
今日は1月の15日。新年になって、福島出張は、今日で5日目です。

仕事の進む休日

今日は土曜日。ゆっくりと出勤して、机の上に置かれている部下からの報告やメールでの相談に、手を入れ返却。次に、これからしなければならないことを考え、部下への指示書を作成。ゆったりとした時間がないと、じっくりと考えることができません。少し落ち着いて、第三者的に眺めると、し残している課題が見つかります。
そして、資料の整理。私は、課題ごとに半封筒を作り、資料を入れています。しかし、定期的にその中味を整理して捨てないと、すぐに封筒が満杯になります。
さらに今日は、急ぎでなく積んだままの書類の山を崩すことに挑戦。昨年の秋の資料が出てきたり。1日かけると、かなり捨てることができました。

平日は、部下からの報告と相談の攻撃、それも連続攻撃で(笑い)、自分の時間が取れません。毎月初めには「今月から、普通の霞ヶ関並みの忙しさに戻すぞ」と、叫んでいるのですが。休日も、相変わらず出張が多く。年末年始に4日も休んだこと、最近は夜に会合を入れることが多いことが、時間を取れないことの原因ですね(反省)。朝1時間早く出勤するくらいでは、時間を確保できません。
電話と部下からの攻撃がないと、はかどりますねえ。忙しく部下の相手をしていると、それはそれで仕事をした気になるのですが。それは、私の任務の一部でしかありません。先を読んで、仕事を円滑かつ効果的に進めること。漏れがないようにすることの方が、重要です。今日は幸せな気分になりました。ささやかな喜びです(しょっちゅう、同じことを書いています。苦笑)。

職場では、2月の復興庁開設に向けて、職員の机の増設と配置換えを行っています。部屋も増やします。今日は作業の日なので、出勤した職員は「動かない机」を探して、仕事をしていました。ありがとう。

ブレア首相の指摘する現代の官僚機構の欠点

イギリスのブレア元首相が、日経新聞に「私の履歴書」を連載しておられます。ブレア元首相の回想録は、英語版が出た時にすぐに買い求め、先月に邦訳が出たのでこれも買ったのですが、未だ読めず。なにせ分厚いので、布団の中で読めないのです(反省)。
1月12日の文章から。
・・国家を能率的に機能させる能力は、20世紀半ばに必要とされたものとは違う。それは実行とプロジェクト管理を扱う民間部門のものに似ている。近代政治のペースは速く、メディアも徹底追求するので、政策の意思決定、戦略の策定は圧倒的な早さで進めなければならない。
官僚が作った政策文書を、首相が議長を務める閣議で討議し決めるという従来の方法では、急速に変化する政治環境に対応できない。
官僚制度の問題は、物事を妨害することではなく、惰性で続けることだ。官僚は既得権に屈服し、現状維持か、物事管理するのに一番安全な方法に逃げ込む傾向があった。
官僚組織は、うまく指揮すれば強力な機構になる。官僚たちは知的で勤勉で公共への奉仕に献身している。ただ、大きな課題に対し小さな思考しかできず、組織が跳躍を求められるときに、少しずつしか動かなかった・・

日本の官僚機構の問題点を、大学で講義し、連載したことがあります。そこで採り上げた課題の多くが、イギリスと共通していることに、改めて驚きました。我が意を得たりです。もっとも、それを解決していないという問題と、共通課題の上に日本独自の課題があることを、反省しなければなりません。
その後、総理官邸などで、さらに行政機構と官僚制の問題点を考えました。いずれ、中断した連載に、片を付けなければなりませんね(決意表明)。

復興本部の取組

復興本部では、新年早々、多くの職員が休みを返上して、仕事に取り組んでくれています。
福島については、特別立法の準備とともに、避難区域見直し後の帰還準備の検討に入っています。また、2月上旬の復興庁の開設に向けて、政令の準備の他、職員の増強や、執務室の配置の変更なども行っています。
現地の復興に関しては、昨年に復興のための制度や予算を用意しました。現在は、これらを使って早く事業を進めてもらうために、復興特区制度と復興交付金の要綱などの準備をするとともに、本部職員が各地に出向いて、説明会や相談に乗っています。国の職員がこれだけ現地に出向いて要望を聞き、相談に乗るのは、復旧に限らず国の施策としては、これまでにないことだと思います。
何かにつけ「遅い」「進んでいない」と批判されます。これについては、2つのことを、ご理解いただきたいと思います。
一つ。例えば、仮設住宅の不具合などの苦情も頂きます。確かに手が回っていない面もあると思いますが、全てを国に持ち込まれても、困ります。まずは市町村でできることは、そこで処理していただきたいです。
二つ。抽象的に「遅れている」と言われても困るので、「どこの何が遅れている」と指摘していただけると、私たちも手の打ちようがあります。
私たちの仕事が、十分だと思っているわけではありません。ご批判は素直に受けて、改善します。私たちの任務は、一日も早い復興なのですから。ご理解をお願いします。

脱成長モデル、日本が解を

1月1日朝日新聞オピニオン欄、カレ・ラースンさんのインタビューから。ラースンさんは、ニューヨークから各地へ広がった反格差社会運動「ウォール街を占拠せよ」の仕掛け人です。日本で10年近く暮らしたこともあります。
・・いまの日本はしょぼんとして見えるが、元来ものすごく創造性豊かな国だと思います。米国主導の経済モデルに取って代わるものを打ち出せるとしたら、おそらく日本しかない。経済成長が永遠に続くと思いこんできた米国中心のシステムは、もうダメになった。米国の衰退は、誰の目にも明らか。欧州債務危機を見てもわかる通り、G8とかG20とか世界の主要国がやっているのは、しょせん対症療法です。

「新経済モデルの構築を日本に期待するのはなぜですか」との問いに対して
・・成長一辺倒モデルの限界を、世界で最も早く体感した国だからです。高度成長を経て、バブル崩壊と20年の停滞。日本の困難を、欧州や米国は遅れて経験しているのです。いま求められているのは、壮大な構想力。経済成長が止まった後に、どう経済持続させられるか。解を日本が見つけてくれたら、若者が公園を占拠する必要はもうなくなります・・