投稿者アーカイブ:岡本全勝

被災者支援、寄り添い、力引き出す

2014年6月30日   岡本全勝

6月28日の日経新聞、福島経済特集には、稲垣文彦さん(中越防災安全推進機構復興デザインセンター長)のインタビューも載っています。発災直後から、福島の避難所運営に携わっていただいています。
・・中越の経験から、避難者が自発的に避難所を運営し、支え合えるように促した。行政など誰かにしてもらうのではなく、自らが復旧、復興を進める意識と、自らが役割を持つことで元気を取り戻せるという思いからだった・・
・・自ら働き汗をかいたことの尊さ。失ったものを補う支援は初期段階も今も大事だが、震災・原発災害が横たわり、本来持っている生きる力を発揮できない人たちの力、能力を引き出す支援が時を追うごとに必要になる・・
・・復興支援員制度は今や総務省が取り入れているが、新潟県で始まった地域復興支援員制度が原点。支援員をはじめボランティアは、地域外の若者が担ってくれると効果が大きい・・
原文をお読みください。

原発被災地、交通インフラの復旧

2014年6月30日   岡本全勝

6月28日の日経新聞、福島経済特集が、交通インフラの復旧が進んでいることを取り上げていました。
JR常磐線が、6月1日に広野駅から竜田駅までの運転を再開しました。被災地の南側から北に向かって、線路が延びて行っています。
竜田駅は、楢葉町の中心にあります。楢葉町は、来春の避難指示解除を目指しています。まだ宿泊はできないのですが、片付けに一時帰宅する住民、事業を再開した関係者の足となっています。また、第1原発の廃炉作業に携わっている作業員達の多くは、いわき市などの宿舎からバスで第一原発に通っています。6月3日に視察したときに聞いたら、作業員が竜田駅まで鉄道できて、そこからバスに乗り換えているのだそうです。なるほどね、バスと鉄道では、輸送力が格段に違います。国道の渋滞緩和にもなります。なんと言っても、乗っている乗客の疲れが違います。
常磐線の北側は、宮城県南部から福島県北部にかけて、津波で流されました。内陸部に移転して復旧作業中です。その工事も進んでいます。

財政政策、政府の役割

2014年6月29日   岡本全勝

財政学の教科書には、財政の3つの機能が載っています。
1 公共財の提供(資源配分の調整)
2 所得再分配(所得と富の分配の調整)
3 景気の調整(経済の安定化)
市場の失敗に対する補完として説明されます。マスグレイブが体系化しました。
これは、財政の役割です。しかし、市場と政府の関係をより広い視野から見ると、政府の役割には、これら以外にも重要な役割があります。
すなわち、市場経済が機能するように条件を整備することです。私有権の保護、契約の尊重、取引のルールの設定、紛争が生じた際の解決などです。これらが機能して、初めて市場の失敗が議論になるのです。
私は、「国家の役割と機能の分類」で、「経済社会活動のルール設定」という項目を立て、次のようなものを具体的な行政分野としてあげました(行政の分類)。
①経済社会:民法・商法・会社法、通貨制度、金融制度、経済取引
②労働:労働・雇用法制
③公共空間管理:電波・電気通信の監督、交通ルール
④紛争処理:民事裁判、各種ADR制度
もう一つ、市場に対する政府の役割があります。
「国民生活の向上」のために、産業政策、科学技術の振興を行うことも、現代の政府には期待されています。これも、財政の3機能(市場の失敗の補完)とは違った、政府の役割です。
拙稿、「行政構造改革」第3章第3節政治の役割(月刊『地方財務』2008年9月号)で、このような政府の役割を整理しました。ところで、このような議論(政府の役割)を整理した教科書は、案外見つかりません。もちろん拙稿は、十分とはいえません。連載自体が中断しています。すみません。いずれ、完成させます。

白菜を見に、上野へ

2014年6月29日   岡本全勝

今日、キョーコさんのお供をして外出した後、一大決心をして、上野の国立博物館へ。そう、あの「白菜」を見るためです。昨日まで、展覧会のホームページ(台北故宮博物院)を見たら、「180分待ち」とか「90分待ち」とか出ていて、迷っていたのです。「240分待ち」という記述もありました。しかし、夜8時までやっているとのこと。それなら夕方を狙うしかない。平日夜は毎日のように「所用」があるので、行くなら土日の夕方。しかも、白菜は7月7日までしか、展示されません。
4時過ぎに渋谷を出発する頃には、雷が鳴り大雨が降り出しました。上野に着いたら小降りになっていましたが、噴水前は大きな水たまりができているほどです。白菜は90分待ちのとのことなので、ほかの展示を待ち時間無しで見てから白菜へ。すると、30分待ちで、実際は20分くらいで見ることができました。日曜の夕方なのと大雨で、観客が少なかったようです。
白菜は、「よくまあこんなものを、堅い玉を削って作ったねえ」と思わせるものでした。もちろんビデオの解説の方がよくわかりますが、実物を見る価値はあります。職人がどれくらいの時間をかけたのでしょうか。あの大きさですから、一度に一人の人しか加工できません。3人がかりで同時にとか、4人で分業してとは、いかないのです。
ところで、あのキリギリスの羽は、本来はもっと長く大きかったのが、途中で折れたように見えました。

税財政政策の理論と運用

2014年6月28日   岡本全勝

石弘光著『国家と財政―ある経済学者の回想』(2014年、東洋経済新報社)が、勉強になります。石先生は、元・一橋大学の財政学の教授です。政府の税制調査会長などを務められました。学者として政策の現場でも活躍されました。
この本は、先生の学者としての半生を振り返りつつ、税財政の理論と実際がどのように変化してきたかを、テーマを建てて解説しておられます。日本の戦後から現在までの、税財政史でもあります。租税政策や財政政策は、早い時期から、学者が実務(政策の現場)に貢献した分野です。私たちは、教科書や専門書で税財政を勉強しますが、なぜこのような理論ができて、現実に運用されているか、その背景を学ぶと、より理解できます。
税財政など政策は、現実の運用だけでなく、理論も、経験と反省の中で生み出されたものです。学者が、書斎で見つけたものではありません。無味乾燥な理論や制度が、この本を読むことで、より身近に感じることができます。税財政職員はもちろん、広く官僚に、お薦めの本です。