投稿者アーカイブ:岡本全勝

民主政には中産階級が不可欠

2015年12月21日   岡本全勝

12月20日の日経新聞「日曜に考える」は、塩野七生さんの「揺れる世界と政治 リーダーの条件とは」でした。
「古代ギリシャ人はまさに民主政の創始者です」との問に対して。
・・・結局、市民社会、市民階級がないところには民主政は成り立たない。そのことは現代でも立証されています。持てる力を可能な限り活用するために生まれたのがアテネの民主政であって、やはり中産階級が重要な役割を担ってきた・・・
「欧州以外はどうでしょうか」との問には。
・・・イスラム世界は中産階級をついに作れなかった。それが民主政が成り立たず、社会が安定しない原因でもある。商人階級は作りました。北アフリカのイスラム世界はサハラの黄金を売っていた。今ならばオイルです。原料を輸出する側はそれだけでもうかる。工業製品を輸出する側は、例えばフィレンツェやベネチアだったら繊維業で、色を付ける、織るなどの過程がある。その人たちに職を与えることになった。
イスラム世界は人々に高学歴を与えることはできた。しかし今なお高学歴にふさわしい職場を作れていない。だから軍隊とかバース党(アラブ主義政党)のような所に貧しい秀才が流れてしまうのです・・・
原文をお読みください。

年賀状書き

2015年12月20日   岡本全勝

今日は、もう12月20日。この時期恒例の修行=年賀状書きに、引きこもっています。私にとっては、年に一度のペン習字のお時間です。ようやく表書きを300枚書きましたが、先は長いです。

原発事故の際の避難実態

2015年12月19日   岡本全勝

内閣府が、「東日本大震災における原子力発電所事故に伴う避難に関する実態調査」を公表しました。東京電力福島第一原子力発電所事故の際、住民の避難誘導が適切に行われませんでした。今後の教訓とするために、大規模な住民アンケートと関係機関へのヒアリングがされました。住民アンケートは、対象者が約6万人、回答者が2万人です。調査結果概要や結果を見ていただくと、当時の混乱した状況がわかります。
3月11日当日に複数回出された避難指示を入手した住民は、2割未満です。停電したりして、周知の方法が限られたのです。避難指示を聞いても、どこに避難したらよいかわからなかった、何が起きているかわからなかった住民が多いのです。どこに避難してよいか情報がなかった住民は、6割に達しています。4月末までに避難所を5か所以上転々とした住民が2割います。さらに、5月以降でも2か所以上を移動した人が5割以上います。
関係機関へのヒアリングでは、次のような回答があります。
・全町避難を想定した防災訓練は全く考えられてこなかった。
・大規模な住民の移動、患者の移動という想定はなかった。
・基本的に受け入れ先を探しながら避難・移動するという形だったので、それがきつかった。
・身体麻痺等で寝たきりの患者等をバスで搬送するのは無理であった。
・皆パニック状態で、高齢者や要介護者を優先するという措置までは採れなかった
このような調査は、原子力災害対策本部、その実務を担う経産省原子力安全・保安院がもっと早く行うべきものでしょうが、原子力安全・保安院が廃止されたので、内閣府防災担当が実施したようです。

アメリカの3大・大統領

2015年12月18日   岡本全勝

吉松崇著『第格差社会アメリカの資本主義』(2015年、日経新聞出版社、日経プレミアシリーズ)。著者は日米の金融機関に勤めた人で、アメリカの新しい富裕層=金融界でとてつもなく儲ける人を紹介しています。低所得者層について書いた本ではありません。それはそれで勉強になるのですが、ちょっと違った点を紹介します。p141。
・・・普通のアメリカ人に「歴代大統領の中で、偉大な大統領は誰か?」と尋ねると、ワシントン、リンカーン、セオドア・ローズベルトの3人の名前は必ず出てくる。4人目となるとフランクリン・D・ローズベルトか、アイゼンハワーか、ジョン・F・ケネディか、はたまたロナルド・レーガンか、このあたりは人それぞれの政治的立場により様々であり、コンセンサスはない。
ワシントンは言うまでもなく独立戦争の英雄である。リンカーンはアメリカの分裂を回避して奴隷解放を成し遂げた功績、そして、セオドア・ローズベルトは今日に至る現代アメリカの背骨を形成した人だからだ・・・

不安を取り除く

2015年12月17日   岡本全勝

毎日新聞「坂村健の目」12月17日「ベビースキャン」から。
・・・11月下旬の英国のテレビ番組「BBC WORLD」で福島県の子どもたちの内部被ばくを測定できるホールボディー(全身)カウンター「ベビースキャン」の測定結果が紹介された。3台が福島の病院に設置され、約2700人の小児、乳幼児を測定した結果、全員から放射性セシウムが検出されなかったという。
この装置は東京大学大学院の早野龍五教授(原子物理学)が中心となって、海外製のホールボディーカウンターを改造したもの。うつぶせ姿勢で、不安をあたえずに4分間測定できる・・・
・・・実は、一緒に生活する母親のデータから高い精度で子供のデータも推定できる。不検出の結果も予想されており「科学的には不必要」とも言われていた。しかし直接「測れない」ということを「わからないから怖い」と言い換える人たちがいる。いわゆる「悪魔の証明」に対抗するには、全ての場合について地道にデータを積み上げるしかない。
早野先生が偉いのは、母親たちの不安を「科学的に必要ない」と切り捨てず、測れないデータを一つでもなくすために地道に努力していることだ・・・
・・・しかし、発表姿勢としては弱いのか、ベビースキャンの結果も日本では10月初めに発表されたのに、残念なことに取り上げた日本メディアは非常に少なかった。事態がわからないときに、非常ベルを鳴らすのはマスコミの立派な役割。しかし、状況が見えてきたら解除のアナウンスを同じボリュームで流すべきだ。大震災から5年近く。早野先生を含む多くの方々の地道な努力で、データは着実に積み上がっている・・・