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コミュニティ・ソーシャルワーカー

朝日新聞6月18日オピニオン欄、「地域のチカラ」大阪府豊中市で住民の問題解決に取り組む勝部麗子さんへのインタビューで、コミュニティ・ソーシャルワーカーが紹介されています。
聞き慣れない言葉で、ご存じない方も多いでしょう。記事では、「地域福祉を進めるためにつくられた大阪発の専門職。大阪府が2003年に策定した「地域福祉支援計画」に盛り込まれ、2004年度から府の補助で、府内の自治体が中学校区に1人ずつをめどに配置できるようになった。豊中市の場合、市社会福祉協議会に事業が委託されており、現在は14人が配置されている。住民と協働で「制度のはざま」にある人たちを発見し、その解決をめざす。行政と住民をつなぐ役割も担う。とほぼ同じ役割を担う専門職を「地域福祉コーディネーター」と呼んでいる自治体もある・・」と解説されています。町内会の世話役、民生委員さんなどの仕事が近いでしょう。
「コミュニティーソーシャルワーカー」というのは聞き慣れない言葉です。「ソーシャルワーカー」と何が違うのですかとの問に。
・・福祉には、介護保険や生活保護など法律や制度に基づくいろいろなサービスがあります。しかし、どれにもあてはまらず、網の目からこぼれてしまう問題があります。「制度のはざま」と呼ばれ、話題になっている認知症の方の徘徊による行方不明やごみ屋敷、引きこもり、孤独死などがこれに当たります。役所に相談しても、担当する課もありません。だからSOSも出せず、苦しんでいる。そんな人たちをコミュニティー(地域)の住民と一緒に発見し支えていくのが私たちの仕事です・・
・・1995年の阪神淡路大震災がきっかけです。豊中市でも死者11人、全半壊4922棟の被害が出ました。ほとんどの福祉委員会は何も対応できませんでしたが、見守り活動をはじめていたいくつかの校区は、独り暮らしの高齢者の安否確認や救助が素早くできました。支援の必要な人が地域のどこにいるか、住民が知っていたからです。いざというときに命を守るには、こうしたやり方を広げるしかないと思い、震災の翌年から働きかけを始めました・・
・・最初のころは「福祉は行政の仕事だ」とか「素人に相談を受けさせるのか」とか言われました。しかし、震災の体験から「地域のつながりは大切だ」と思う人もいて、徐々に共感が広がりました。全ての校区が主体的に動き出すには、それでも5年かかりました・・
ぜひ原文をお読みください。

NPO職員への講義

今日は夕方から、復興支援に取り組んでくれている、あるNPOの職員40人との意見交換会でした。
私は、NPOが、これからの日本を変えてくれると期待しています。『新地方自治入門』第8章、『被災地から見える「町とは何か」』など。彼らと彼女たちに期待を込めて、どのようにして日本を変えるかを、しゃべってきました。
被災地の復興は、行政にとっても社会のあり方を考えるにしても、貴重な場です。千年に一度の災害なのですから、「前例がありません」は通じません。通達をいくら出しても、予算をいくらつけても、現地で効果が出なければ、していないと同じです。そして、町の暮らしを再建するには、行政の力だけではできません。
明治以来150年、行政と企業が、豊かになるために欧米を追いかけた「日本モデル」は大成功しました。しかし、その役割は終わりました。次の社会は、行政と企業と並んで、NPOなど非営利の中間団体が、大きな担い手になると思います。大げさに言えば、被災地でのNPOの挑戦は、日本社会改革への挑戦でもあります。もちろん、日本にしみこんだ意識や社会の仕組みを変えようというのですから、そう簡単には進みません。
今日のメンバーは、大企業を辞めてきた人など、志の高い人たちです。話が通じるので、どんどん自説を述べ、さらに脱線しました(反省)。質問も、高度なものばかり。楽しかったです。でも、私のこれまでのいろいろな経験を、少しでも伝えたかったのです。

国会質疑など

昨日17日には、自民党復興加速化本部が開かれ、最近の復興状況などを報告しました。出席議員からは、地元でのさまざまな課題が取り上げられました。これから整理して、対応します。
今日18日は、衆議院復興特別委員会が開かれ、質疑がありました。中間貯蔵施設や放射線の健康不安など、原発事故関連の質問が多かったです。

性同一性障害の子ども

各紙が取り上げていましたが、文科省の調査で、小中高校1,400万人のうち、性同一性障害の子どもが600人いることがわかりました。そのうち約6割の学校では、服装、トイレ、更衣室、水泳などの際に、配慮をしているようです。
かつては認知されなかった「悩み」が、理解されるようになりました。しかし、対応する側も経験がないので、苦慮しているようです。
子どもに限っても、いじめ、虐待、貧困、食物アレルギー、日本語が不自由な(外国からの)子どもなど、新しい課題が生まれています。学校現場だけでなく、社会人に対しても、系統だった学習や教育が必要だと思います。

ヨーロッパの国会議員への復興の説明

今日は、NATO加盟国会議員会議訪日団の方々へ、復興の説明をしました。そう、あの北大西洋条約機構のNATOです。オランダ、フランス、イタリア、アイスランド、トルコ、ベルギー、ギリシャ、ポルトガル、チェコなど各国の、30名の国会議員です。
軍事同盟の方々ですから、事前に、「ご関心は、原発事故対策と、エネルギーの安全保障ではないですか。それなら、私ではなく、原子力災害対策本部なり経産省が適任でしょう」とお断りをしたのですが。なぜか、私に回ってきました。
案の定、質疑応答になると、原発事故についての質問が多く、私の知っている限り精一杯お答えしました(日本国の官僚の名誉にかけて!)。
予定した時間は、はるかに超過して。これも、想定通りです。アイスランドの方の地熱発電の質問には「私も、お国の発電をみてきた」と答え、イタリアの方の質問には「2009年のG8ラクイラサミットに麻生総理のお供をしていったときに、ラクイラの地震被害を見せてもらった」と触れるだけの、余裕はありました。
東日本大震災の被害と政府の取り組み、そして復旧状況を、30分間で外国の方に説明する。これはこれで、勉強になります。たくさんある資料から、何を切り捨てるか。そして、ふだん使っている資料が、外国の方に通じるか。資料を作ってくれた職員、英語の監修をしてくれた職員に感謝します。
資料は英語で準備しましたが、通訳は、英語、フランス語、イタリア語でした。イヤホーンで、私の発言がどう通訳されているかを確認しながら、発言しました。通訳の苦労を考えたら、主語と述語を先に言う、文章は短くすることは当然です。そして、私の一文が通訳されるのを待って、次の発言をする。そうしないと、通訳さんは大変ですよね。
オランダとフランスの団長さんと挨拶を交わしましたが、もちろん「サッカー強いですね」と、よいしょをしました。向こうも、「いや、日本もよいチームだ」と返してくれました。そこで「予選リーグであなたたちの国と一緒にならずに、よかった」と答えると、「決勝戦で会おう」ということになりました。