とうほくNPOフォーラム登壇2

5月26日に登壇した「とうほくNPOフォーラムin南相馬2020」の開催報告が、掲載されました。私の基調講演

なお、主催者である、@リアスNPOサポートセンターから、被災者の見守り事業の実績を載せたサイトを教えてもらいました。関心ある方は、ご覧ください。
「復興の終わり」は「地域づくりの始まり」。7 年間の見回り・見守りで積み重ねた「信頼」と、地域内の「気づき」を、今後の活動にまで活かせるように Dynamics 365 を活用
釜石市がDynamics 365を活用した復興住宅の巡回管理システム

心のサポーター養成事業

6月17日の朝日新聞オピニオン欄「社会季評」、東畑開人・准教授の「心のケア、主役は素人 ささやかな毛を生やそう」から。

・・・ささやかな政策を取り上げたい。巨大な国家からすると砂粒のような政策だ。だけど、そこには私たちの社会のあらゆるところで生じている苦悩が表れている。
「心のサポーター養成事業」のことだ。今年度の予算規模は3千万円弱。厚生労働省の発表によれば、安心して暮らせる地域作りのために「メンタルヘルスやうつ病や不安など精神疾患への正しい知識と理解を持ち、メンタルへルスの問題を抱える家族や同僚等に対する、傾聴を中心とした支援者」を、10年で100万人養成するとのことだが、実際の中身は地域住民に2時間程度のメンタルヘルスの研修を受講してもらうくらいのことだから、正直素人に毛を生やす程度の話だ。だけど、侮っちゃいけない。このささやかな毛がきわめて貴重なのだ。
メンタルヘルスケアというと専門家が特別なことをするイメージがあるかもしれない。だけど、本当の主役は素人だ。実際、私たちが心を病んだとき、最初に対応してくれ、そして最後まで付き合ってくれるのは、専門家ではなく、家族や友人、同僚などの素人たちではないか。

たとえば、最近離婚した同僚の様子がおかしいとき。あなたは彼の受けたダメージを思い、心配になる。だから、気を使い、仕事を分担し、気晴らしに誘う。そうこうしているうちに、彼は少しずつ回復し、気づけば以前のように働けるようになっている。多くの心の危機が、専門家の力なんか借りずに、なんとかやり過ごされていくものなのだ。

ここで働いているのは、古くは哲学者のカントが「世間知」と呼んだものの力だ。つまり、世の中とはどのような場所で、人生にはいかなる酸いと甘いがあるのかについての、ローカルに共有された知のことである。この世間知が、離婚の傷つきや回復のプロセスを想像することを可能にし、必要とされているケアを準備し、コミュニティーに彼の居場所を確保してくれる。素人たちは世間知に基づいて、互いを援助しあう。

と書くと、楽観的過ぎるかもしれない。世間知にはコミュニティーから人を排除する力もあるからだ。例えば、先の離婚の彼が、しばらくたっても回復しなかったらどうか。仕事が滞り、不機嫌が続く。いつもイライラしていて、周りに当たることもある。すると、世間知は彼を持て余し始める。彼は理解できない存在になり、厄介者扱いされるようになる。孤立していく。
そういうとき、専門知が解毒剤になる。「うつ病じゃないか?」。誰かが言いだす。それが視界を少し変える。仕事の滞りやイライラがうつの症状に見えてくる。すると、周囲は彼に医療機関の受診を勧めたり、特別扱いしたりできるようになる。
この素人判断こそが、心のサポーターに生えたささやかな毛だ。うまく専門家につながれば、そこで適切な理解を得ることができるし、すると彼の不機嫌さが悲鳴であったことがわかる。「厄介者」はケアすべき人に変わる。

これが心のサポーターの背景にある「メンタルヘルス・ファーストエイド」の思想だ。心のサポーターとは、専門知を浅く学ぶことで、とりあえずの応急処置や専門家につなぐことを身につけた素人なのである。専門知が世間知の限界を補う・・・

やさしい日本語

6月16日の朝日新聞オピニオン欄、「やさしい日本語考」から。
・・・市区町村のウェブページや公共施設の案内などで、平仮名ばかりの文章を見かけることがある。「やさしい日本語」というらしい。目にすると、どうも奇妙な心地がする。幼児向けの本を読んでいるような……。日本語教育を専門にしている、言語学者の庵(いおり)功雄さんに聞いた。「やさしい」のは、誰のため、何のためですか・・・

――日本語を簡単にするのではなく、英語や中国語といった多言語で表示したり、話したりするのでは駄目なのでしょうか。
「国内に住む外国人を対象にした国立国語研究所の調査では、英語よりも日本語の方が『わかる』と答えた人が多いという結果が出ています。旅行者には英語が適していますが、長期定住者は日本語の方が理解しやすい。英語は日本人の側も得意とは言えません」
「それに、多言語といっても定住外国人の多くが話す主な言語だけでも20近くあり、すべてに応じるのは現実的ではありません」

――外国人のためだけでなく、日本社会にとってのメリットがないと取り組みは進まないのでは。
「少子化と人口減少に悩む日本にとって、日本人と同等の給料を稼いで税金を払い、家族で暮らす外国人を増やすことは極めて重要です。子どもたちはさらに大切で、遅くとも高校卒業時に同年代の日本人と同じ日本語レベルに達していないと、付加価値の高い職業にはつけない。不必要な難しさをそぎ落とした『やさしい日本語』をステップにして一定レベルに追いつけば、あとは自力で知識を得ることができます」
「その教育に税金が使われたとしても、能力を発揮できる大人に成長すれば財政や社会保障の担い手になります。逆に、もし日本語の習得に失敗すれば社会から孤立するでしょう。ここで考えるべきなのは『言語のバリアフリー』です。リターンできる人でなければ価値がないということではありませんが、持てる力を発揮できるようになるまでの『のりしろ』を社会が保障する、ということです」

多言語電話通訳企業勤務、カブレホス・セサルさんの発言
・・・多言語通訳サービスの会社で働いていますが、日本に初めて来た外国人をサポートするとき、最も説明に困るのが、印鑑登録や年金、健康保険の加入などです。制度や文化的背景を知らないと理解できません。日常生活でも、学校でなぜ上履きが必要なのか、何万円もする制服をどうして買わないといけないのか、分からない。
そんなとき、「日本ではこうだから。以上」で済ませるのは一番良くない。「やさしい日本語」は、日本人の側こそ意識する必要があります。日常使う日本語とは大きなギャップがあるでしょうが、まごころにならって、外国人に寄り添う気持ちになってほしい。
外国人と日本人の間には、言語の壁と文化の壁があります。実は文化の壁の方が圧倒的に高いのですが、まずは言語の壁を乗り越えないと、そこにたどり着けないのです・・・

聖林寺十一面観音

東京国立博物館で、聖林寺展が開かれ、十一面観音さんが出張してきておられるので、会いに行ってきました。
聖林寺は明日香村の隣、桜井市にあります。実家からはとても近いのですが、これまで行ったことがありません。その近くの、談山神社には何度も行っているのですが。

十一面観音さんは、奈良時代の作です。数奇な運命をたどって、このお寺におられます。写真は何度も見て、良い仏さんだと思っていました。実物は、気品のあるすばらしいものでした。
仏さんを美術品としてだけ見ては、罰が当たります。願い事を聞いてくださるとのことなので、たくさんお願いをしてきました。賽銭箱がなかったので、寄付金の箱に入れてきました。

お勧めです。日時指定の予約券が必要です。それでも、列ができていました。指定時間帯の早い時間に行くと、並ぶようです。

朝日新聞ポッドキャストに出ました3

朝日新聞ポッドキャスト」の続きです。当日の録音風景を写真に撮ってもらったので、記念に残しておきます。収録は、6月7日、朝日新聞本社です。
放送局のようなスタジオではなく、普通の会議室でした。コロナ対策で、距離を取っています。
指向性の強いマイクとのことで、目の前にぶら下げられました。目障りでした。でも、私が机をたたいた音は、全く聞こえなかったですよね。