中古品売買、新たな展開

12月16日の日経新聞が、「リユース市場 意識変化が生む2兆円市場」を特集していました(ウエッブサイトでは、見つけることができませんでした)。

中古品売買で大所は、自動車と不動産です。他にも、これまで私たちになじみがあったのは、古本屋さんでしょうか。古道具屋や質屋もあります。自治体による不要品のリサイクルの場もあります。また、バザーやフリーマーケットも盛んです。
ここで紹介されているのは、これら既存の売買や交換でなく、新しい業態として発展している分野です。

一つは、ブランド品や女性の中古衣料です。商店街でも、たくさん見かけるようになりました。古本も、ブックオフのような形態が多くなりました。そして、ゲームやコミックなども扱っています。
古くさいという印象が亡くなり、店に入りやすくなりました。また、中古品を買うだけでなく、売ることにも抵抗がなくなりました。
以上は、対面販売です。

近年拡大しているのが、ネット販売です。業者がいったん買い取り、消費者に売るという形態もありますが、消費者同士が直接売買する形ができました。フリーマーケットをインターネット上でできる「フリマアプリ」です。
経産省の推計では、フリマアプリの市場規模は2018年で約6千億円、2年で倍になっています。ネットオークション全体では、1兆円を超えるそうです。フリマアプリ大手のメルカリでは、月間利用者数は1350万人で、増え続けているようです。不要品を売ることに、手段や心の抵抗がなくなったのでしょう。

廃棄物を減らす、リサイクルにとっては良いことですが、偽物を防ぐなどの課題があります。

生活のリズム

今月も、もう23日です。いつの間にか、22日も過ぎてしまいました。「今月は何をしたのか」と悩んでしまいます。毎日いろいろと忙しいのですが、振りかえると、これと言ったこともしていないのに。時間だけは、過ぎていきます。そして、もう1週間で、今年も終わります。さて、今年は何をしたか。

かつて、休日もなく忙しかったときに、「リズムに欠ける、節目の少ない仕事の仕方をしているから、時間が経つことを忘れる」といった趣旨のことを書きました。
最近は、その頃に比べれば、それほど忙しくはありません。毎週、福島と東京を行き来し、その中で毎日リズムのある生活をしているのに、時間が早く経ってしまいます。

そのときも書きましたが、1週間、1か月という単位で、「何をしたか」を振りかえらないと、充実した時間を感じることはできないのでしょう。
学生時代は簡単でした。勉強が進むことが、自分でも分かりましたから。公務員になると、期首と期末の自己申告と上司との面接で、その期間に何をしたかが明らかになります。

管理職にも自己申告はあるのですが、何をするか何をしたかは、より自分で考える必要があります。「何をしたか」を評価するには、事前に「何をするか」を決めておく必要があります。
そして、事前に書き出した来週の予定、今月の予定、今年の課題を達成して、「よっしゃー」というかけ声とともに、書いてある項目を赤鉛筆で消していくのです。『明るい公務員講座』p40以下、『明るい公務員講座 仕事の達人編』p20

充実した生活を送るには、リズムとともに、節目節目の成果とその確認が必要ですね。

冷戦後30年、ポピュリズムの台頭

12月16日の朝日新聞オピニオン欄、国末憲人・ヨーロッパ総局長の「冷戦後30年、世界はいま 強権政治がモデル化、民主主義脅かす」から。

・・・1989年、ベルリンの壁崩壊と冷戦終結に、私たちは自由と平和、民主主義が息づいた世界の将来像を思い描いた。2019年、目前には荒涼たる風景が広がっているかのようだ。
欧米の多くの国で、ポピュリズムが大手を振る。その手法を取り入れた指導者が、米国で野放図に振る舞い、英国では欧州連合(EU)離脱の旗を振る。民主化したはずの旧社会主義圏で権威的ポピュリスト政治家が政権を握り、社会への締め付けを強める・・・

・・・ポピュリズム台頭を招いた背景には、米ソ、東西、左右といった冷戦時代の対立軸の薄れがある。代わって上下の格差が浮き彫りになり、グローバル化の進展がこれに拍車をかけた。
もちろん、冷戦時代にも格差は存在したが、政党や労組、商工団体、農協といった中間団体が上下を結びつけていた。こうした組織が力を失い、指針を失って途方に暮れる人々に甘言で近づいたのが、ポピュリスト政治家だ。
ただ、当時のポピュリズムは、不平や不満を吸収するばかりで、具体的な理念や政策に乏しかった。政権担当能力は低く、「放っておけば消える」(欧州大学院大学のハンスペーテル・クリージ教授)というのが、政治学の専門家の一般的な認識だった。

しかし、2010年代に入り、ポピュリズムはアイデンティティーを理念の中心に据え、次第に政治イデオロギーへと変貌。国家や民族の結束を呼びかけることで支持を結集する排他的、強権的な政治モデルを確立した。「白人米国人」「イングランド人」といったアイデンティティーを軸に支持を集めるトランプ米大統領やジョンソン英首相は、既成政党の枠組みを維持しながらこうした手法を取り入れた点で、その完成型といえる・・・
原文をお読みください。

連載「公共を創る」第28回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第28回「公私二元論から官共業三元論へ 中間集団の意義」が、発行されました。

前回、民間非営利活動として、NPOを取り上げました。今回は、その他の中間集団のもつ意義について説明しました。
近代の政治思想では、市民は自立し、政府や市場と向き合います。経済学でも、個人は自ら合理的な選択をします。しかし、個人はバラバラな砂のようなものではなく、政府もまた、個人を別々には把握しません。

中間集団の政治的機能を考える際に、中間集団を嫌う政治体制を考えると、わかりやすいです。
一つは、大革命後のフランスです。そこでは、結社は禁止されました。
もう一つは、全体主義国家、ナチスドイツ、戦時中の日本、現在の中国です。そこでは、中間集団は否定されず、促進されることもあります。ただし、国家は、それらの組織を通じて国民を把握し、国家や党の意に添わない集団は禁止されます。

これまで最も身近にあった、助け合いの中間集団は、地域コミュニティです。しかし、都市においても、田舎においても、地域共同体は小さくなりました。他方で、ムラの代替をした会社も、助け合い機能は低下しています。
今後、どのようにして、孤立する個人を共同で支えるか。新しい時代の課題になっています。

被災地での手仕事

12月17日の朝日新聞第2東京面に、「被災地の手仕事、どう継続 復興支援の機運薄れ岐路」が載っていました。
・・・東日本大震災の被災地では、住まいや仕事場を失った人々が外からの支援を受けて手がける「手仕事」が生まれた。新たな名産として定着したものもあるが、時とともに「復興支援」の機運が薄れる中で同事業を続けていくか、支援者たちは模索している・・・

小物つくりや、刺繍、セーターの編み物などです。
当初は、仮設住宅で、することがない被災者が、集まって話をする、手を動かすために始まりました。心の支援という意味があったのです。
事業として黒字にならなかったものも多いようです。しかし、心の支援、孤立防止としては、大きな意味がありました。
漁業が復活して、手仕事をしていた人たちが本来の漁業に戻って、手仕事が終わったという例もあります。
事業として継続が困難な場合、どのように続けるかは、難しい問題です。