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亭主関白型から平等家庭へ、この半世紀の大転換

NHKウエッブニュース、News Up「50年前の「育児書」今も支持される理由は」(11月1日掲載)に、興味深いグラフが付いています(記事の中頃です)。
「男は仕事、女は家庭」についてです。
NHK放送文化研究所が1973年から5年ごとに行っている「日本人の意識」調査の項目に、家庭における男女の在り方があります。「夫唱婦随」「夫婦自立」「性役割分担」「家庭内協力」の4つの中から、理想とする家庭を選んでもらいます。

図を見てもらうと一目瞭然なのですが。
1973年では、性役割分担が39%、夫唱婦随が22%、家庭内協力が21%、夫婦自立が15%です。性役割分担と夫唱婦随を「古典的亭主関白」と考えると、合計で61%です。家庭内協力と夫婦自立を「新しい平等家庭」と考えると、合計で36%です。
2018年では、家庭内協力が48%、夫婦自立が27%、性役割分担が15%、夫唱婦随が8%です。「新しい平等家庭」が75%で、「古典的亭主関白」は23%です。劇的に変わっています。1980年代が変わり目のようです。
元の調査は、NHK放送文化研究所「第10回「日本人の意識」調査(2018)の結果」です。

さだまさしさんの歌「関白宣言」がヒットしたのは1979年です。いまは、はやらないでしょうね。
私自身の経験でも、両親は典型的な亭主関白型でした。その息子であるわが家は随なので、この4つの選択肢にはありません。しいて言えば、性役割分担としておきましょう。両親を見て育ったので、キョーコさんとの関係を今のように築くには「コペルニクス的転換」が必要でした。私の世代の男性の多くは、同じ経験をされたと思います。
日本の家庭のあり方は、この半世紀の間に大きく変わったのです。また、変わりつつあります。子供の数、学歴、選ぶ職業、女性の社会進出、核家族・・・。

ところで、この記事は、松田道雄さんの『育児の百科』についてです。松田道雄さんの著作は、学生時代に結構読みました。いくつかの岩波新書、『俺様の宝石さ』(これは浮谷東次郎さんの文章を編集したもの)『私のアンソロジー』など、懐かしい思い出です。アマゾンで検索したら、1970年代の本も売っているのですね。

秋の休日、美術展巡り2

秋の休日、美術展巡り」の続きです。
最近、上野の東京国立博物館に行くと、外国からの観光客と思われる人がたくさん来ています。ヨーロッパ系もアジア系の人も(それ以上の見分けは付かないので)。先日の「正倉院展」も入場までに30分以上並んだので、観察しました。
良いことですよね。日本の文化に触れてもらうことは。私たちが海外旅行をしても、ルーブル美術館をはじめ、美術館や博物館を巡りますよね。

私が大学に入って上京したとき、一つの楽しみが上野の博物館でした。本館とともに表慶館に、古代の文化財が展示されていました。奈良や飛鳥から持ち出されたものもたくさん並んでいました。人気のない部屋で、かつ並べてあるだけの展示で、静かにゆっくりと見ることができました。
その後、博物館は大きく変わりました。

展示室が明るくなり、展示もわかりやすい解説がつくようになりました。かつては、品が並んでいただけでしたから。また、ビデオによる解説も増えました。これは、文字を読む以上に、たくさんのことを教えてくれます。特に美術展では、その威力は大きいですね。NHKの日曜美術館も、参考になりますが。その小型です。
特別展が多くなりました。館が所蔵するものだけでなく、ある主題で全国から関係する品を並べて、意義を説明してくれます。
売店が大きくなり、品数が増えました。高価なものからちょっとしたものまで。お土産や部屋に飾る装飾品として使えます。

そして、日本の興味ある人だけを相手にするのではなく、日本人でも門外漢や外国人観光客を相手にするようになりました。その解説が、日本の文物、文化、さらには伝統を日本人にも理解させてくれます。
一言でいえば、珍しいものを並べてあった倉庫のような展示場から、国の内外の人に文化を紹介する、楽しんでもらう場所に変わりました。梅棹忠夫さんが作った、民族学博物館がその走りだったと思います。

私は、外国からのお客さんに、国立博物館に行くことをお勧めしていました。地方から来られる方にも、上野の博物館と江戸城跡(皇居東御苑)を勧めています。
欧米からやアジアからの芸術を紹介する展覧会でも、外国からの観光客を見かけます。企画展だと、現地にいてもそれだけのまとまったものを見ることは、なかなかできないでしょう。
これだけの宝物を1500円ほどで見ることができるのは、東京にいることの、ありがたい点です。奈良国立博物館の正倉院展も行きたいのですがね。

お詫びの乱発?

しばしば、お詫びを聞きます。そのお詫びを聞いて、そこまで謝らなければならないのかと、疑問に思うことがあります。

まずは、電車の遅延です。台風や乗客の救護などによって電車が遅れたことを、車掌さんがお詫びします。でも、これって、電車会社は防ぎようがないですよね。会社も、被害を受けたのです。
自らに責任がない、あるいは会社にとって防ぎようのないことを、お詫びをするのはなぜでしょうか。たぶん、乗客からの苦情を受けて、お詫びしているのでしょう。
でも、逆に「お詫びをしておけばすむ」という意識を育てないでしょうか?
本当にお詫びをして再発防止をすべき場合と、手の打ちようがないことを一緒にすると、危険です。

次は、新聞の遅配です。先日の台風の際に、新聞の配達が遅れたり、翌日になることがありました。この際にも、新聞社と配達店から「遅れて申し訳ありません」というお詫びが入ります。かつて、購読者から苦情が来ることがあったのでしょう。
これは、はっきり言って、間違いだと思います。あの荒天で配達員が配るのは、身の危険もあります。
「荒天なので(従業員の安全も考え)配達をやめます」と言ってよいと思います。
「お客様は神様」ではありません。従業員を大切にしてください。

短くなった秋

今日の福島市は、最高気温が14度、小雨の降る寒い日でした。街ゆく人も、コート姿が目立ちます。私が泊まっているホテルは、暖房が入っています。

もう秋を通り越して、冬ですかね。少なくとも、晩秋の気配です。つい最近まで、半袖で過ごし、冷房をかけていたのに。急に寒くなって、合い物の服装では寒くなりました。
「秋はいつですか」と聞かれれば、多くの人は「9月、10月、11月」と答えるのではないでしょうか。
しかし、最近の9月は暑いですよね。10月は、今年は台風が来て、夏の続きでした。地球温暖化と言われつつ、11月になると、コートや暖房が必要になるのでしょうか。
皆さんも、秋が短くなったと感じておられるのではありませんか。

なぜ、秋が短いと嘆くのか。それは、1年で最も過ごしやすい季節だからです。
服装だけでなく、秋晴れの良い季節。行楽と運動会の季節、そして果物の季節と思っています。
それなのに、実質1か月少しだとすると、困りものです。

そんなことを考えていたら、10月19日の朝日新聞オピニオン欄が、「秋、短くなった?」を取り上げていました。

外国料理は技能、和食調理は技能外?

日経新聞の連載「和食リセット」、10月22日の第1回「板前の卵は留学生 魅力発信 担い手に」から。この記事の趣旨は、外国人に和食の技を身につけてもらい、世界に伝えてもらおうということですが。

・・・和食の担い手が足りない。和食に携わる外食関係者はこう口をそろえる。厳しく指導されるイメージも若者たちを和食から遠ざける。
一方で2016年に開校した東京すし和食調理専門学校の生徒は半数以上が留学生だ。学校長の渡辺勝は「インバウンドが増え、外国語ができる料理人を求める声は多い」と期待をかける。
こんな期待を裏切る現実もある。日本の在留資格制度では、外国人の料理人は「技能」の資格で働く。しかし在留が認められるのは中華などの「外国料理」だけだ・・・

この技能は、在留外国人の資格での区分ですが。これまで、和食調理で外国人が働くことを想定していなかった、さらには洋食と中華は技能で、和食は技能と考えていなかったのかもしれません。
また、和食を海外に広めようと、考えていなかったのでしょう。日本酒は、海外への売り込み努力を続けています。

私たちも、和食は毎日家で食べることができる。洋食や中華は、かつては家では食べることがなかったので、外で食べる「ハレの食事」と考えていたようです。
ところが、和食にも、家庭料理と町の食堂と高級店があり、洋食や中華も家庭料理、町の食堂、高級店があります。でも、呼ばれる結婚式は、洋食が多く、和食は少ないですね。ホテルでも、和食の店があるのですが。
私の子供の頃は、結婚式(親父の持ち帰り)は、和食でした。宮中の饗宴は和食です。京都の魅力も、和食ですよね。