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職員応援

総務省が、平成25年10月時点での、被災地方自治体への職員応援の状況を公表しました。
まず、地方公務員の派遣数(警察と消防を除きます)は、2,084人です。そのうち、再任用職員は44人、任期付き職員は317人です。残りが、派遣元自治体で仕事をしていた職員が、応援に行ってくれているとうことでしょう。県からの派遣が1,026人、市町村からの派遣が1,058人です。ありがとうございます。
次に、被災自治体が自ら任期付き職員を採用したのが、1,135人です。うち、207人は、県庁に採用されて、市町村に派遣されています。また、民間企業から派遣されたのが、27人です(復興庁で採用して派遣している職員は含まれていません)。
被災自治体への職員応援には、さまざまな手法があります。というか、さまざまな手法を採用しています。被災していない自治体が、職員をたくさん応援に出してくれていること、またここに示したように、さまざまな手法で職員を補充していることは、これまでの復興にない新しい試みです。
それでもまだ足りないので、各自治体が職員募集をしてくれています。特に、神奈川県は100人を超える募集をしています。また、民間人を送り込む募集(ワークフォー東北)もしています。

国会が始まりました

今週もあっという間に終わって、今日は金曜日です。26日月曜日から国会が始まったので、霞が関の多くの部署は、国会対応時期に入りました。今風にいえば、「国会モード」です。幹部は、質問が出るのを待って、答弁作り。そして、早朝の大臣へのご説明。若手職員は、国会質問が出そろうまで、職場で待機。関係部署は答弁案ができるまで、残業です。大臣が朝から夕方まで国会に出席しておられるので、その間は現地視察どころか、私たちからの説明もできません。事前に審議日程が決まらないことも、予定を立てられないので、困ります。
もちろん、その間に、国会提出法案の準備があり、通常業務もあります。しかし、人間に与えられているのは1日に24時間です。国会中心の仕事になると、他の仕事の優先順位が後回しになります。答弁案に、完成時刻が28時とか書いてあると、「う~ん、この担当職員に、今日新しい仕事を与えるのは、あかんなあ」と考えてしまいます。国会での審議に答えるのは、民主主主義の基本です。しかし、公務員の仕事や待機を、もう少し効率化できないかは、大きな課題です。

地下鉄の中で

そこのお兄さん、そう、あなたです。
地下鉄のドアの前で、そんなに頑張って、どうするのですか。みんな、降りようとしているのです。あなただけが、その流れに抗して、足を踏ん張って。
一度、みんなと一緒に外に出て、再度乗ったら、どうですか。
それに、その前のおじさん。一声「降ります」と言えば、お兄さんも、譲ってくれますよ。無言で、ぐいぐい押しても、お兄さんには、通じていませんよ。

国際課税の基準を作る。浅川君の活躍

毎日新聞1月29日オピニオン欄に、浅川雅嗣・OECD租税委員会議長が出ていました。「多国籍企業の租税回避」。
浅川氏は、財務省の総括審議官で、OECD租税委員会議長を兼ねています。OECD租税委員会は、国際課税の基準を作る会議です。彼は、初めての日本人議長です。年に何回かパリで会合を開き、英語で取り仕切っているとのことです。麻生総理に一緒に仕えた、秘書官仲間です。別の秘書官仲間から、「格好良い写真と一緒に出ているよ」と教えてもらいました。
・・OECDが 1961年に発足した当時、企業の所得に対し本国(居住地国)と進出先の国(源泉地国)の二つの政府が課税する二重課税が大きな問題となっていました。OECDはこれまで二重課税の防止を主な目的に掲げ、源泉地国での課税を抑制するルール作りを進めてきました。
しかし、グローバル化の進展により国際課税ルールと企業の経済活動との間でミスマッチが生じています。いずれの国でも課税されずタックスヘイブン(租税回避地)で所得を留保する二重非課税のケースや、税金を支払ってはいても、必ずしも経済活動が行われている国に適正な額を納めていないなどのケースが増えてきたのです・・
・・国際課税ルールは欧米主導で始まり、議長はずっと欧米人でした。今やグローバルな視点が不可欠になっています。例えば、中国やインドというアジアの新興国を排除してOECDだけで議論を進めても物事が進まないので、日本に橋渡しをしてほしいという期待が寄せられていることもあると思います。逆に、新興国にとっても、居住地国か源泉地国かに関わらず、経済活動が行われている国での適切な課税を追求するBEPSの取り組みは、関心が高いのです。
本来課税権は国家主権の基本の一つです。他方で個人・法人の経済活動は国家主権を意識せずボーダーレスな広がりを見せています。この二つのギャップをいかに埋めるか。OECDの本プロジェクトは、グローバルな課税権の調整という大きな課題に向けた、始まりの一歩になるかもしれません・・

暴力団排除が生む新しい危険

朝日新聞1月29日オピニオン欄、柳原三佳さん(ノンフィクション作家)の発言「車の保険、組員排除は危険」から。
・・自動車保険の約款に、暴力団員と契約しないという条項を加える損保会社が増えています。任意保険に入らないままハンドルを握る組員に事故を起こされたらどうなるのか。被害者救済という観点から、多くの問題があると言わざるを得ません・・
例えば信号待ちで停車中、無保険の組員に追突されてしまったとします・・このケースでは、被害者が直接、保険を使えず自腹を切ることになる組員と交渉することになりますが、それがいかに困難であるかは明白です・・
損保会社が、暴力団による保険金詐欺を防ぎたいという事情も、悪質な運転で事故を引き起こすような組員に保険金を支払いたくないという気持ちも理解できますが、被害者救済のためにも、対人・対物といった賠償保険だけは引き受けるべきです。保険から暴力団を徹底的に排除するのであれば、その前に、組員に免許を与えない、車を売らない、車検も通さないという取り組みをすべきでしょう。順序が逆です・・