岡本全勝 のすべての投稿

毎日、時間が過ぎるのが早い。困ったことです

毎日毎日が早く過ぎて、仕方ありません。困ったことです。今週も、あっという間に土曜日です。今週は月曜日が休日だったので、4日しかありませんでした。官邸での会議、自公両党それぞれの復興加速化本部での説明と、いろいろと仕事は進んだのですが。
その他の時間が、いけません。職員の連続攻撃や記者さんたちの面会などで、自分の時間が取れませんでした。15時頃に弁当を食べたりとか。そこを攻撃に来る職員もいて・・。4日しか営業日がなかったのに、机の上には、たくさんの書類がたまりました。先週の週末にかなり整理したのに。
休日にしか仕事が片付かないようでは、仕事の仕方に問題があるとしか思えません。

パワーポイントは嫌い

私は、「パワーポイント」(プレゼンテーション用のコンピュータのソフト)が、嫌いです(2011年11月6日)。1枚当たりの情報量が少なく、観客とのアイコンタクトが切れてしまうからです。講演の時も使いません。仕方なく使うときもありますが、画面操作は別の人にお願いします。
印刷しても嫌いです。用紙を横長に使うのは、人間工学に反します。とはいえ、最近の資料は、この様式を使うことが多いようです。
資料をもらって、困ることがあります。省資源のために、両面印刷が普通です。そのときに、あなたなら、2ページ目(1ページの裏)を、どちらを上に印刷しますか。上辺で綴じる場合は、裏面は表面と上下を逆にします。左辺で綴じる場合は、裏面も表面と同じ上下になりますよね。ところが、会議で配られる資料に、両者が混在していることがあります。左上をホッチキスした資料には、両方が混在しています。資料1は上下に開くのに、資料2は左右に開くのだったり。
あなたも、困ったことがありませんか。紙を横長に使うから、こんな混乱が起きるのです。紙は縦長に使うものです。

資本主義は不平等をもたらすか

朝日新聞9月12日オピニオン欄は、「ピケティ論争、格差は宿命か」でした。フランスの経済学者トマ・ピケティ教授の著書『21世紀の資本論』が、世界中で議論を呼んでいるとのことです。資本主義の下で経済的不平等が進む、という主張です。
稲葉振一郎・明治学院大学教授
・・そもそも、なぜ不平等がいけないのかを考える必要もある。格差と成長の関係を考える場合、「レベリングダウン問題」というものがあります。全体の賃金水準を下げながら格差を縮めるという考え方は採用に値するか、ということです。みんなが平等に貧乏になるという政策は本当に正当化できるのでしょうか。
平等主義の本来の目的は、不平等な社会で困っている人や弱者を助けることです。でも、手段はいろいろある。平等主義はそのひとつにすぎず、困っている人を助けることと同じではない。重要なのは平等ではなく、全員がある最低水準をクリアしていることだという考え方もある。むしろこちらの発想のほうが現実の制度づくりには直結してくるかもしれません・・
大竹文雄・大阪大学教授
・・私たちはできることから始めるべきです。まず、リーマン・ショック時に発覚したような、常識外に高い報酬を経営者たちに取らせないよう、株主や市場が経営監視を強めることです。格差拡大を一定程度和らげることができます。
加えて、日本で喫緊の課題は教育支援です。大学など高等教育機関へ進む道は、資産のない家庭の子どもたちにも同等に開かれなくてはなりません。子どもたちは将来のイノベーションを担う成長の糧です。高等教育を受ける機会を一定の所得層に限定してしまう状況になれば、日本そのものの成長余力が損なわれてしまいます。
競争の機会を等しくするような教育支援は、福祉的な観点から必要なだけではありません。技術革新を促して生産性を高め、社会の持続可能性を維持するためにも欠かせない投資なのです・・

お詫びだけでない、失敗したときの対処

部下や組織が失敗した場合の、お詫びの仕方は「仕事の仕方」に書いたとおりです。しかし、責任者は、お詫びの前後に、次のようなことを行う必要があります。
1 事実の確定
これは、ひとまず、詳細まで確定する必要はありません。おおむねの事実が判明したら、公表やお詫びなどの行為を行う必要があるためです。遅れると、批判を招きます。
2 関係者へのお詫びと、公表
傷つけた相手方や損害を与えた相手方へのお詫び、必要な場合は損害賠償を行います。 また、社会的問題なら、記者会見などで事実を公表し、お詫びする必要があります。
3 関係者の処分
事実関係を明らかにして、失敗をした行為者やその責任者を、処分する必要があります。
4 再発防止策
事実関係が明らかになったら、今後同じことが起こらないように、再発防止策をとる必要があります。これも、関係者や社会は、関心を持って見守っています。
お詫びだけでは、処理は終わりません。それより重要なのは、けじめをつけ、再発を防止することです。
ところで、私の属する官庁では、部内各組織の権限と責任が文書によって明確に定められています。よって、上記3の「関係者の処分」の範囲(責任の所在)は、比較的簡単です。「量刑」は難しいです。
これに対して、記事についての責任は、どのようになっているのでしょうか。門外漢ですみません。今回の朝日新聞の例では、編集担当取締役の職を解き、社長は改革の道筋を付けた上で進退を決めるとのことです。記事を書いた記者や、それを載せると判断した上司の責任はどうなるのでしょうか。記事の責任がどのようになっているのか、今回の事件の処分で見えてくると思います。それはまた、今後の再発防止策にもつながります。
もちろん、他者の評論をするだけでなく、私たち官庁や官僚も、自らの行為の評価と反省を、常に注意しておく必要があります。その際に難しいのは、やったことの失敗とともに、やらなかったことの失敗(不作為の責任)です。行政には、その責任があります。

サービス産業時代の成長戦略

9月9日朝日新聞オピニオン欄、冨山和彦さんの「成長戦略の勘違い」から
「円安で自動車や電機メーカーの業績が好転し、ようやく景気が回復してきたように見えますが」という問に対して。
・・確かに、ものづくりのグローバル企業がしっかり稼ぐことは日本経済にとってプラスです。国際収支の上でも必要です。しかし、そのことが日本経済の全体を浮揚させるわけではありません。
先進国に共通する皮肉な現象ですが、グローバル化が進むほど国内経済におけるグローバル企業の比重は下がります。かつて加工貿易で高度成長をしていた時代は、頂点に製造業の大企業があり、中堅・中小企業が連なって、ざっと日本人の半分はこのピラミッドの中で働いていました。頂点が潤えば、水がしたたるように幅広く恩恵が広がる「トリクルダウン」が起きた。ところがグローバル化で大手メーカーが生産拠点を相次いで海外に移し、この構図は縮小してしまいました。
いまや雇用者数でも付加価値額でも、日本経済の7~8割はサービス産業です。ここは基本的に地域密着型の労働集約的な産業。グローバル競争の世界とは、ルールも経済原理も違う。つまり日本経済の中にグローバル経済圏(G)とローカル経済圏(L)のふたつがあると考えたほうがいい。GとLの連関性はどんどん希薄になり、現実にトリクルダウンはほとんど起きなくなっています・・
「とすれば経済政策も……」という問に対しては。
・・GとLで別々の処方箋が必要ですね。特にLの世界で労働生産性と賃金を上げていかないと、持続的成長など無理です・・
「これまで成長戦略というと、もっぱらグローバル化への対応が柱になってきました」との問に対しては。
・・加工貿易時代の成功体験が強烈だからでしょう。Gが拡大することで高度成長を実現したので。しかも政府が政策を立案する際は、主に大手製造業の経営者が加わるため、どうしてもGばかりに目が行く・・