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官尊民卑と社会保険庁

22日の読売新聞「論点」は、八代尚宏先生の「ハローワーク民間開放、行政効率化へ大きな意義」でした。
・・社会保険庁による年金記録のずさんな管理は、公務員でなければ信頼できる業務ができないという長年の神話を打ち砕いた。世の中を見渡せば、電力・ガス・鉄道など、公共的なサービス業務が民間によって立派に運営されている。
公務員の業務が民間に委託される例も増えてきた。昨年の道路交通法の改正で導入された駐車違反の取り締まりは、民間委託で違反件数が大幅に減少している。山口県では初の官民合同刑務所が誕生した。こうした改革の目的は、たとえ警察官や刑務官の仕事でも定型的な部分を民間に委ねることで、その本来の業務に専念させることである・・
ハローワークの民間開放は、官界や学界に多い官尊民卑の思想を変えるとともに、公務員を本来の業務に専念させるきっかけなるに違いない・・

梅雨

22日と24日の東京は、雨でした。このところ、梅雨なのに、真夏のような天気が続いていました。晴天ばかりでは、水不足や作物が心配です。我が家の夏椿は、花の時期が終わりました。これだけも咲いたのかというくらい、たくさん実がなっています。朝顔は、ツルを伸ばしています。同じ時期に種をまいたマリーゴールドは、たくさん芽が出て、15センチくらいのタケで、鮮やかな黄色い花をつけました。もっと背丈が大きくなると思っていたのに、意外でした。

政策の統合

21日の日経新聞経済教室は連載「環境力」、加藤三郎さんの「方向の確立は立法の場で」でした。
・・日本では、欧州のような規制と経済手法を組み合わせて急所をつく対策は、見あたらない。その最大の原因は、相変わらず関係省庁が縦割り行政で、業界団体などの利害の調整に審議会・調査会などの従来のシステムに寄りかかり、大胆な対策を打ち出せない点にある・・
しかし、日本ではこの方法しかないのかというと、そんなことはない。その好例が、60-70年代に産業公害が社会問題化した折、国を挙げて取り組んだ象徴である「公害国会」である。
60年代に入ると開始された日本の高度経済成長は、一方で極めて深刻な産業公害を日本の各地にもたらした。まず地方自治体が条例などで対応しだしたが、国の対応は後手に回った感がある。
・・政府は公害対策本部を設置。公害対策閣僚会議を開催して対応に努めたが、官僚主導の限界はもはや明らかであった。そうした折りに注目が集まったのが、70年11月末から暮れまで開かれた臨時国会である。「公害国会」と称されたその場では、わずか1か月足らずで、一気に14本の公害立法を整備。それらの法律いずれもが、その後の公害対策に大きな役割を果たしたのである・・
70年代といえば、まだ官僚の力も強く、各省に設けられた審議会の権威も今とは比べものにならないほど高かった。制度設計の大枠もそうした行政の場で作られることが大半だったが、公害国会の例は、官僚機構や審議会だけでは遅々として進まない国の方向や枠組みを定めるという機能を果たしたといえよう・・

骨太の方針2007の意義

昨日19日に、「骨太の方針2007」が諮問会議で決まり、閣議決定されました。その評価については、各紙が書いています。
私は関係者でもあるので、それに関しての発言は慎みます。ただし、いままで主張してきた「財政再建」に関して、思ったことを述べておきます。
今回の「骨太の方針2007」は、「骨太の方針2006」で決めた「歳出歳入一体改革」を堅持するとしています。内閣が代わっても、この方針を引き継いだことは重要だと思います。
1997年に、橋本内閣が財政構造改革法を定め、財政再建に踏み出しました。そこでは、厳しい歳出削減を決めました。しかし、折からのアジアの金融危機もあり、1年で中止されました。その後、小渕内閣は公共事業追加や大型減税に踏み切り、ご自身が「世界の借金王」とおっしゃったくらい借金を増やしました。
今回も、昨年決めた歳出歳入一体改革を「はずそう」という動きがありました。その事情は新聞が伝えているとおりであり、大田大臣が記者会見で答えておられるとおりです。しかし、方針は堅持されました。
私は、この意義は大きいと思っています。
もちろん、いったん決めた方針を厳格に適用する必要はなく、状況に応じて柔軟に変更すべき時もあります。しかし、歳出については、各集団が自らの予算を増やそうと行動します。その際に、財源裏打ちがあれば問題はありません。財源を考えずに予算を増やしたから、このような赤字になっているのです。歳出と歳入を一体として議論できるのは、諮問会議くらいです。
昨年の歳出歳入一体改革の意味は、「増税を問う」(2006年6月27日、28日)をご覧ください。