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不正経理

『帳簿の世界史』にも、第13章「大恐慌とリーマン・ショックはなぜ防げなかったのか」として、不正経理を防げなかったこと、そしてそれが会社をつぶしただけでなく、世界経済を危機におとしいれたことが、書いてあります。『バランスシートで読みとく世界経済史』の第9章は、「会計専門職の台頭とスキャンダル」です。どうも、会計には、不正がつきもののようです。
エネルギー会社のエンロンは、帳簿の上では超優良企業でしたが、不正経理がばれて倒産します。それだけでなく、経営者は倒産の前に自社株を売り抜いて、大もうけをします。ご関心ある方は、お読みください。犯罪者と警察の追いかけっこと同じと思えばよいのでしょうが、企業会計、会計監査とは何なのか、疑問になります。まじめにやっておられる関係者の方には、申し訳ないのですが。どこに、問題があるのでしょうか。
さて、エンロンの事例では、電力価格を高値で維持するために、電力会社に発電を停止するように要請したり(それで住民はえらい迷惑を被ります)、森林火災が起きると、高圧線の鉄塔が焼け落ちるのを見ながら、職員が「燃えろ」とはやしたてたそうです。企業利益を優先し、モラルに欠ける行動に出るのです。これは、企業会計とは別の次元の問題です。

複式簿記はどこまで企業を表すか

先に、ジェイコブ・ソール著『帳簿の世界史』(2015年、文藝春秋)を読みました(2015年6月21日)。思い出して、積ん読の山から、ジェーン・グリーソン・ホワイト著『バランスシートで読みとく世界経済史―ヴェニスの商人はいかにして資本主義を発明したのか』(2014年、日経BP社)を発掘して、読みました。
これも、勉強になる本です。もっとも、表題は誤解を与えます。目次を見るとわかるように、複式簿記の発明と普及、それが経済の発展に不可欠だったことが書かれていますが、「世界経済史」までは書かれていません。原著は、「Double Entry – How the merchants of Venice shaped the modern world and how their invention could make or break the planet」という表題です。
ところで、本書でも書かれていますが、複式簿記が企業の財政状況をどこまで表しているのか。その発展系である国民経済計算GDPが、どこまで一国の経済を表しているのか。著者は、環境の価値や健康状態などが含まれていないことを指摘しています。金銭に評価できないものは、記入されないのです。
以下、会計学には素人の疑問です。
会社の場合、いちばんの価値である従業員は、どのように載っているのでしょうか。給与や退職金の引当金は計上されますが、従業員そのものの価値は計上されません(よね)。会社の経営が悪化し、従業員を削減する際には、減らすべき「負債」であり、よい商品を生みだす場合は「資産」でしょうか。
人数が少なくても、「有能な社員」「良質の労働力」と、人数が多くてもそうでない社員とは、金銭評価できないので、帳簿には載らないのでしょうね。従業員は、利益を上げる手段でしかないのでしょうか。もっとも、同じく利益を上げる手段である機械類は、資産として計上されます。また、その会社が持っている「評判」(ブランドとしての力)も、複式簿記では計上されないのでしょうね。 さらに、研究機関、大学、官庁は、企業会計だけでは、その価値は評価できないのでしょうね。
ところで、複式簿記って英語では、Double-entry bookkeeping system って言うんですね。

福島、国と地方の協議会

今日8日、福島市で、「原子力災害からの福島復興再生協議会」を開きました。原発災害からの復興のために、国と地元とが集まって協議する場です。国からは、復興大臣、環境大臣、経産副大臣、官房副長官らが出席し、地元からは知事や県会議長、市町村や団体の代表が出席しました。忙しい方たちに集まってもらおうとすると、土曜日になってしまいました。
最近は、進んだ点の報告や課題についての意見交換のほか、8月には翌年度の概算要求の前に意見を聞き、2月には新年度予算案を報告するために、年に2回開催しています。当然、個別の課題については、随時、意見交換をしているのですが、このように法律で設置し、定期的に開催することも、意義があります。
国から、復興庁が、子ども被災者支援法基本方針の改定案、12市町村の将来像の提言、福島復興特措法の改正、風評被害対策、後期5か年事業枠組みなどを報告し、原子力災害対策本部からは福島復興指針の進捗状況、第1原発の廃炉汚染水対策を、環境省からは除染と中間貯蔵施設について報告しました。資料は、追って、復興庁のホームページに載せます。

福島の桃

スーパーのダイエーが、各紙に全面広告を出しています。「わが街をおいしいと言わせたい」と、福島の桃が大きくカラー写真で紹介されています。ありがとうございます。
福島の桃は、大玉で、おいしいですよ。わが家でも、食べています。お薦めです。通販でも買えます。いろんなお店や農園があるので、インターネットで検索してください。