岡本全勝 のすべての投稿

本屋さんのない町

9月14日の読売新聞夕刊の読書欄に、書店のない自治体が増えていることが紹介されていました。全国では330団体にも上るそうです。全国の市町村数は1700あまりですから、2割近くが本屋さんのない自治体です。しかも、市町村合併後ですから、合併前の旧市町村で見るともっと多いのでしょうね。47都道府県ごとの市町村数が載っていますが、香川県がゼロで、栃木・富山・石川・福井・広島・大分が1市町村です。
インターネットでどんな本でも買うことができますが、それは目的を持った人だけでしょう。子どもや一般の人は、やはり本屋の棚を見て、読みたい本を探すのではないでしょうか。もちろん、学校や公立の図書館がその代替機能を果たしていると思いますが。私の育った村にも本屋さんはなく、隣の町の本屋さんがバイクで届けてくれる月刊学習雑誌はうれしく、また本屋に行くことはとてもうれしかったです。その「病気」がいまだに続いていて、本屋に行くことが一番の趣味になっています。

被害が大きく事業の遅れる団体

9月12日の産経新聞は、被災40市町村の首長アンケートを載せていました。復興状況について、進んでいる+どちらかといえば進んでいるは、合わせて21人で約半分です。復興完了時期は平成32年度までが24団体で、33年度以降が15団体です。
ところで記事でも紹介されていますが、前回調査は平成26年3月で、対象は170市町村でした。その際は、復興の進捗が予想通りという首長が7割で、復興完了期間は平均で4.6年でした。今回は被害の大きかった40団体を対象としているので、遅れている・時間がかかる割合が大きくなっています。たぶん今回の対象から外れた130市町村は、ほぼ復旧が終わっていると推測されます。

CSRは社会貢献ではない。CSVとの違い

CSRという言葉を、聞かれたことがありますか。Corporate Social Responsibility、「企業の社会的責任」と訳されることが多いです。あなたは、どのような活動を、CSRだと考えていますか。ボランティアや寄付活動、また法令順守や環境保護活動といったものででしょうか。しかし、社会貢献とか、企業の本業に関係がない追加的に実施されるものという認識は間違いなのだそうです。「CSR=社会貢献という考えは、時代遅れ」(東洋経済オンライン、2014年3月3日、下田屋 毅さんの解説)。
・・・欧州委員会が2011年10月に発行した「CSRに関する欧州連合新戦略」によれば、CSRとは、「企業の社会への影響に対する責任」と定義されている。具体的には「株主、広くはそのほかステークホルダーと社会の間での共通価値の創造(CSV)の最大化」と、「企業の潜在的悪影響の特定、防止、軽減」の2つを推進するとしている。法令順守や労働協約の尊重は前提条件と位置づけ、「社会」「環境」「倫理」「人権」「消費者の懸念」を企業活動の中核戦略として統合するというものだ・・・
他方で、CSVという言葉も出てきています。Creating shared value :共通価値の創造は、アメリカの経済学者マイケル・ポーターが提唱した概念です。一部に「CSRは古く、これからはCSVだ」と言う人もいるようです。それが間違いであることも、この下田屋さんの論文をお読みください。
そこに出てくる、ネスレのCSRのピラミッドが、わかりやすいです。いちばん下が「コンプライアンス、人権、行動基準など」で、2段目がサステナビリティ、そしていちばん上がCSVです。
田村太郎さんに教えてもらったところによると、次の通りです。
「CSRは企業が事業をする上で、経営・環境・社会に関する 情報開示を行い、改善計画を示して活動するもので、本業と 不可分なものです。社会貢献活動はCSRのほんの一部であり、 また本業での社会責任に関連しない社会貢献活動は、CSRの 中にも入りません。 CSVは企業行動を通じた価値創造というコンセプトですから、 CSRとは次元が異なる概念です」

日本広報学会シンポジウム基調講演

今日9月12日は、東京大学(本郷)での日本広報学会シンポジウムで基調講演をしてきました。演題は「東日本大震災からの復興と情報発信」です。広報学会には、発災の2011年秋にも呼んでいただき、「行政機関の情報発信の課題」を話しました(2011年10月22日)。今回は、4年経って復興の現状と情報発信の課題を話せとのことでした。
災害に関する情報発信は、事前の防災、発災時の緊急事態、そして落ち着いてからの情報提供に分けることができます。前回お話ししたのは、発災直後の緊急事態についてでした。今回は、4年経って復興庁として何を心掛けているか、何が課題として残っているかです。
現在では、特段変わったことはしていないのですが、復興の進み具合や今後の見通しを正しく理解してもらえるように、ホームページを通じてできる限り情報を提供しています。わかりやすく早く提供できるように、かなり力を入れています。「復興庁のホームページ」。関係者には、結構良い評価をもらっています。ホームページは、新しい情報を追加したり更新するだけではダメで、定期的に構成を見なおす必要があります。事態がどんどん変わっていくので、関係者の関心も私たちの仕事の重点も変わっていくのです。それなのにページの構成をそのままにしておくと、What’s new が、What’s old になってしまいます。そして必要な資料がどこにあるのか分かりにくく、探すのに一苦労することになります。
残る課題はなんと言っても、風評被害対策と、放射線についてのリスクコミュニケーションです。今日のシンポジウムでも、福島からの発言があり、勉強になりました。
これで、木金土曜と続いた3連続の講話講演が、終わりました。次は、待ってもらっている原稿を、片付けなければなりません。

大震災から4年半

9月11日は、東日本大震災から4年半の節目でした。各紙とも特集を準備してくださったようですが、豪雨災害に紙面をとられたようです。読売新聞は見開きで、写真や図表を多用して、高台移転を詳しく解説していました。他紙も、数日前から連載などをしていました。朝日新聞は9月12日に、「東日本大震災から4年半」として「仮設 今も6.8万人」を特集していました。