5月24日の日経新聞別刷り「くらしの数字考」に「マルチタスクは能率2割低下 メモして脳に余白を」が載っていました。会社員も公務員も、同時に複数の仕事を処理しなければなりません。一つのことに集中できれば良いのですが。この記事は参考になります。全文をお読みください。
・・・職場などで、複数の作業に追われる「マルチタスク」に悩む人は多い。ひとりで複数のタスクを負う能力は現代の必須スキルと目されている。ただ、能率が2割ほど下がってしまうようだ。
そもそもマルチタスクとは何か。大阪大学大学院生命機能研究科准教授の渡辺慶さんは「ワーキングメモリー(作業記憶)という短時間情報を保持して、操作する認知能力と関連が深い」と話す。
古い記憶など様々な情報の中で、いま必要なものだけに注意のスポットライトを当ててアクセス可能にしておくのがワーキングメモリーだ。一度にアクセスできる状態にしておける情報の量がワーキングメモリーの容量。この範囲内で人は複数のタスクをこなしている。
脳科学が専門の明治大学理工学部専任教授、小野弓絵さんは「若い人もマルチタスクをすると平均2割程度、正答率が下がることがわかった」という。実験は渦巻きを描きながら足し算するというもので、2つの作業を同時に行う日常の場面に置き換えて考えられる。マルチタスクでは能率が2割ほど落ちるようだ。
このときの脳内の活動を観察すると、タスクを順調にこなせているときは左脳が中心的な役割を担い、右脳も連携して働いているが、タスクの負荷が高まると右脳の活動が活発になり、左右の連携がうまくいかなくなる様子が現れる。
「左脳は言語や論理を、右脳はイメージや感情などをつかさどるが、左脳だけで処理しきれず右脳に助けを求めるようになる」(小野さん)。だが、右脳はもともとの担当と異なる仕事のためできる量に限界がある。
徐々に能率が下がり、普段使わない右脳も駆使して処理しようとするフル回転状態になる。これがマルチタスクを完全に処理しきれずに頭がパンクしそうになっている時の様子だそうだ・・・
・・・避けがたいマルチタスクで頭がパンクしそうになったらどうしたらいいのか。
明治大の小野さんはメモを勧める。一度書き出せば、安心して忘れることができるからだ。「ワーキングメモリーの容量は限られていることを意識して、いっぱいになりそうだったら少し脇に置く」。意識的に脳に余白をつくることが肝心だ・・・