デンマークの生産性に学べ、16時に帰宅

10月23日の日経新聞オピニオン欄、半沢二喜・論説委員の「デンマークの生産性に学べ モーレツNG、16時に帰宅」から。

・・・スイスの有力ビジネススクールIMDが6月に発表した2024年の世界競争力ランキングで、デンマークは3位。前年の首位から落ちたものの、「ビジネスの効率性」という指標ではトップをひた走る。それぞれ38位と51位に沈んだ日本とは対照的だ。

高い効率性の背景には徹底した無駄の排除と社員のモチベーションの高さ、管理職のマインドセットがある」と針貝氏は指摘する。
働く個人は仕事に優先順位をつけ、4番目以降のタスクは捨てる。会議は相手の時間を奪うため、参加者を厳選し延長しない。ランチは30分で済ませ、午後4時には仕事を切り上げる。家族との夕食や私生活を大切にするからだ。仕事優先で家庭を顧みなければ離婚を迫られることも度々ある。効率化の原点は生活を重視する姿勢にある。

「上司は部下を管理するのではなく、ファシリテーター(促進役)に徹している」と針貝氏は話す。信頼ベースで若い人にも大きな仕事を任せ、日本のように細かく口出しするマイクロマネジメントは一切しない。そんな時間的余裕もないからだ。適材適所を最重要視し、組織のパフォーマンスを最大限に引き上げることを目指している。
上司が業務の必要性を説明できなければ、部下から拒否されることもあるという。就業時間中にスキルアップに取り組めるのはもちろん、週に1日、自由な行動を認める企業もある。個人をプロとみなすフラットな組織運営が士気と挑戦心を高めるわけだ・・・

稲継裕昭著『自治体人事評価Q&A』

稲継裕昭著『よくあるお悩みからレアケースまで 新版 自治体人事評価Q&A』(2024年、ぎょうせい)を紹介します。
国家公務員に新しい人事評価制度が導入され、2018年度から地方自治体でも本格的に導入されています。この評価制度がなくても、「勤務評定」はされていて、出世する人とそうでない人の選抜は行われていました。
人事評価は、能力や業績を見て、給与や昇進に生かすことだけが目的ではありません。対象職員の能力向上、やる気の発揮、そして組織の目標達成に活かすことです。

とはいえ、職員を評価することは難しいことです。通常の業務なら、上司や先輩のやり方を見て覚えることができるのですが、評価はそのような「予行演習」をしにくいのです。また、部下を低く評価することは、嫌なことですよね。
この本には、基礎的なことから、おちいりがちな問題なども、丁寧に解説されています。

パクス・ニッポニカ

10月25日の日経新聞オピニオン欄、イェスパー・コール氏(マネックスグループ グローバル・アンバサダー)の「パクス・ニッポニカは可能である」から。

・・・この21世紀、「パクス・アメリカーナ」も「パクス・シニカ」も世界に受け入れられる解決策ではなかった。ワシントンも北京も、グローバルサウスや欧州が直面する問題に対して、信頼に足る答えを示さなかった。両国の首脳が「我々とともにあるのか、我々に敵対するのか」と言いつのるほど、覇権国家に対する憤りは大きくなり、信頼は失われていった。

だが、「パクス・ニッポニカ」は歓迎されるだろう。日本は新しい秩序の調停役として、世界を穏健化させるのに必要なものを持っている。私が考えるパクス・ニッポニカは、1815年からのパクス・ブリタニカや1945年以降のパクス・アメリカーナのように力ずくで世界を支配するやり方ではない。
強い基軸通貨も、革新的な大手企業も、人材を集める大学も、支配的な軍もない。日本が世界を支配している分野はない。それこそがパクス・ニッポニカが可能な理由だ。

脅威ではなく、恐れられてもいない、真のポスト工業化国である。史上最速で経済発展を遂げ、破壊的な不平等に苦しむことなく、史上最大のデフレサイクルを乗り切れる回復力のある経済を持っている国である。最速の高齢化社会であり、雇用収入に依存するのではなく、資産収入を増やすことで繁栄を生み出す方法を学んでいることなどが世界のロールモデルとなる。
建築、ファッション、食、ゲーム。またスポーツをはじめ数々の分野で西洋文化を輸入するだけでなく完成させ、改良してきた。世界的にみれば日本は東洋でも西洋でもあり、世界の北でも南でも尊敬される文化を保持している・・・

・・・ではいま、日本はパクス・ニッポニカを主導し、組織する準備ができているのか。個人的には答えはイエスである。なぜなら、世界はいまほど信頼できる立派な調停者を必要としたことはないからだ。さらに重要なのは、日本が歴史的な転換点にあるということだ。日本は新たな野心、目標を持たなくてはならない状況にある・・・
・・・ただ、日本のエリートたちの声がいかにも内向きであることに、いつも困惑させられてきた。よりよい世界を築くために役割を果たしたいという願望は感じられなかった・・・
・・・しかし現在の日本は、国家の目標を再設定できるまたとない機会を得た。米国、あるいは中国に対して「ノー」と言うか「イエス」と言うかという問題ではない。世界が待っているのは「我々はこういうやり方を提案します」と言う国だ。東西南北の調停者となりうるパクス・ニッポニカは世界が待ち望んでいる野心であり、日本はそれを受け入れるべきである・・・

今週も乗り切りました

今週も、何とか乗り切ることができました。講演などの出番は、4日祝日を含めて2回だったのですが。原稿や来週の講演の準備が大変でした。

連載「公共を創る」の原稿を書き上げ、右筆に加筆してもらい、締め切りを守りました。コメントライナーも右筆に手を入れてもらって、締め切り前に原稿を提出できました。
来週は、人前で話すことが4回あります。そのうち1回は、これまでの資料を使い回しできるのですが、他は初めての内容ばかりです。それぞれだいぶ前に依頼を受けて、話す骨子は粗々考えていたのですが、先週までも忙しくて。

もちろん、原稿や講演の準備だけでなく、他の業務もあります。それらに結構時間を取られました。朝の通勤電車中で、原稿の加筆をしたり、ゲラの確認をしたり、講演の骨子を考えたりと。頑張った甲斐があって、すべて準備できました。安心して土日を過ごすことができます。

といっても、次の締め切りが来ます。ホームページに載せる記事も、たくさん未完成のままで貯まっています。困ったものです。そのうちに、旬が過ぎ、忘れてしまいます・・・。

日本の稲作反収、世界で16位

10月23日の日経新聞経済教室は、荒幡克己・日本国際学園大学教授の「稲作農政の課題、単位収量増で競争力強化を」でした。詳しくは記事を読んでいただくとして、びっくりしたことがあります。

面積当たり収量(反収)が、世界第16位だそうです。アメリカにも中国にも負けているそうです。
日本は10アール当たり536キログラム、オーストラリアは800キロを超え、アメリカも700キロに近いです。
日本は、1969年には第3位でした。
日本の農業は生育方法の改良や品種改良、それに人手をかけて丁寧に作業しているので、粗放な農業と比べはるかに反収が良いと思い込んでいました。その後、各国は努力して、日本は発展しなかったということですね。