北村亘先生「2019年官僚意識調査基礎集計」3

北村亘先生「2019年官僚意識調査基礎集計」2の続きです。「はい」「いいえ」の順に、割合(%)を並べます。

12.幹部には組織の将来像に関する明確なヴィジョンがある 36、64
前前回紹介したように、業務の増加や複雑化に対し、対応できていないことから、否定的な回答が多くなっているのでしょうか。

次に、職場の働きやすさです。かなりよくなっているようです。
13.直属の上司は、気持ちよく仕事をできるように配慮してくれる 82、18
14.直属の上司は、仕事以外のことについても十分に気配りをしてくれる 54、45
15.新しい業務が付加されたときや既存の業務を改善するときに同僚たちが協力してくれる 71、29
28.育児休暇などをとりやすい環境になっている 80、20
45.私は「ワーク・ライフ・バランス」をとることができている 78、32

処遇については、意見が分かれています。
19.給料は、自分の業績や成果を適切に反映している 50、50
20.官民含めて他の同様の組織と比較して、自分の給料は適切である 42、58
25.人事評価をもとにした昇進管理が適切に行われている 47、53
26.昇進の遅れが仕事のやる気を落としている 32、68

鎌田先生『新版 一生モノの勉強法』

鎌田浩毅先生が『新版 一生モノの勉強法─理系的「知的生産戦略」のすべて』(2020年、ちくま文庫)を出版されました。『一生モノの勉強法』(2009年、東洋経済新報社)を、その後の変化を取り込んで、新しくしたものです。

目次を紹介すると、内容がよくわかるでしょう。
第1章「戦略的」な勉強法は、面白くてためになる
第2章 勉強の時間をつくり出すテクニック
第3章 知的生産の環境と情報をどう整えるか
第4章 知の武器である本の上手な選び方
第5章 最強の「知的生産」読書術はこれだ
第6章 知的生産の「システム作り」のコツ
第7章 人から上手に教わると学びが加速する

勉強の方法は、各人各様です。それぞれが試行錯誤しながら、自分に合った方法を身につけます。でも、先達の苦労を見て、よいところはまねをして、失敗は避けることで、無駄がなくなります。ノウハウとは、そのようなものです。
先生は、「勉強は苦手だと思う人」に「私の50年に及ぶ勉強経験をもとに」「できればラクに進める技術を披露しています」と述べておられます。880円(税込み)で、それを教えてもらえるなら、安いですよね。

時あたかもコロナウィルスで、先生の京都大学だけでなく、4月中は休校の大学も多いでしょう。この時期にこそ、このような本を読む良い時間です(といっても、大学生はこのホームページを見ていないでしょうが)。

万が一、「私の方が、もっと良い方法を身につけている」と思ったら、その自信をつけるための代金だと思うと、これも安いです。拙著『明るい公務員講座』も、そのように利用してください。

『物語 チェコの歴史』

薩摩秀登著「物語チェコの歴史―森と高原と古城の国」 (2006年、中公新書)を読みました。西欧の歴史は習いますが、この地域のことは知りませんねえ。勉強になりました。

「物語」と銘打ってあるように、チェコの通史ではありません。時代を代表する人物や出来事を取り上げて、チェコという国がどのようにしてできたかをわかりやすく描いています。
事実の羅列のような通史や、分厚い歴史書より、読みやすいです。膨大な史実から何を取り上げ、何を切り捨てるか。そこに筆者の力量が問われます。
池上俊一先生に、「××でたどる○○史」シリーズがあります。「池上 俊一 著『情熱でたどるスペイン史』

チェコという国が大昔からあったのではなく、19世紀になってつくられたことがわかります。欲を言えば、20世紀以降の記述が少ないことです。チェコスロバキアとの合体と離縁は触れられているのですが。
チェコは20世紀に、ハプスブルク支配から独立、ドイツへの併合、共産主義支配、プラハの春、そして民主化と、激動の時代を過ごしてきました。この本は2006年の出版なので、増補版での追加を期待しましょう。

去年、キョーコさんに連れられて、中欧3都市に行ったので。いくつか関連書を買ったのですが、積ん読でした。少し前に読んだのですが、このページで紹介するのが遅れました。今年は、ヨーロッパには行けそうもないので、記録のために書いておきます。

連載「公共を創る」第40回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第40回「日本は大転換期―驚異的な経済成長」が、発行されました。
前回から、第2次世界大戦後の、日本社会の変化を見ています。今回は、経済成長を振り返っています。戦後日本の経済成長を、表と折れ線グラフで示しました。これは、いつも私が使っている図表です。今回も、小黒 桂 君(内閣府のエコノミスト)の協力を得ました。

昭和後期の「高度成長期」と「安定成長期」、平成時代の「失われた20年」と「復活中の現在」の4期に分けました。それぞれの時期の平均経済成長率は、15,5%、8,2%、-0,2%、1,7%です。こう分けると、時代がよくわかるので、優れものだと自賛しています。「復活中の現在」は進行中であり、このようになるかはまだ定まっていませんが。
表の方は、元は故貝塚啓明・東大教授に教えていただき、それを私なりに延長し改変しました。グラフの方は、かつて経済企画庁が使っていたものを、延長し改変しています。

あわせて、農村の変化を説明しました。農業就業者数は、明治初年には全就業者数の8割を占めていました。1920年に5割になり、1950年でも45%でした。漁業と林業を加えて49%。戦後まで、日本人の半分は農業だったのです。現在は、わずか3%です。

答を考えて質問する

4月7日の日経新聞夕刊「人間発見」、オルガン製作者 横田宗隆さんの第2回目に、次のような話が載っています。
横田さんは、大学卒業後、オルガン作りを志し、お師匠さんである辻宏先生に弟子入りします。そこでのことです。
・・・先生に質問する時は、想定される答えをあらかじめ10くらい考えておき、瞬時に答えを理解できるように心がけました・・・

「質問力」という言葉があります。記者さんの相手をしているときに、それを感じます。何を聞きたいのか。それが整理できている記者と、漫然と質問に来ている記者との違いです。事前にどれだけ勉強してきているかが、わかります。講演会の後の質疑応答の時間でも。よい質問が出ると、うれしいですね。

上司に報告をあげる際も、同じです。『明るい公務員講座』P89で、「予行演習をする」をお教えしました。「あの人なら、たぶんこう聞いてくるだろうな。そうしたら、こう答えよう」とです。

次のような話も、載っています。
・・・仕事場の掃除をしながら、先輩にそっと近づき盗み見をして、仕事を覚えました・・・