総務省統計局が、面白い比較をしています。まずは、第1回の国勢調査(1920年)と現在(2010年)との比較です。
人口は、5,600万人から1億2,800万人まで、2.3倍になっています(現在の国土の範囲で比較しています。昨日「いわゆる本土」と書きましたが、誤解を招くので修正します)。世帯数は4.6倍になり、1世帯当たり人員は4.9人から2.5人に半減しています。合計特殊出生率は、5.1から1.4にと、4分の1になっています。平均寿命は男が42歳、女が43歳だったのが、80歳と86歳になっています。倍になっているのですね。子どもの体格も良くなっています。
米の収穫量が950万トンから、850万トンに減っています。人口が倍になったのに、米が減っても余っています。日本人が米を食べなくなったということです。
年平均気温が、14.2度から16.9度に上がっているのも、驚きです。
このほか、東京オリンピックの頃(1964年)と、現在を比べた表もあります。世帯の1か月の収入は、5万8千円から52万円に9倍にもなっています。消費者物価指数が4倍になっているのに、バナナやテレビ(白黒からカラーに変わっても)の値段がほぼ同じ、正確にはやや安くなっているのは、驚きです。他の数字もご覧ください。
私の父は1921年生まれ、私は1955年生まれなので、この2つの比較はいろいろと思い出すこと、考えることがあります。
私は『新地方自治入門』で、50年前(戦後)と現在の富山県の数値を比較して、いかに地方行政が成功したかを論じました。毎年の変化は小さくても、長期で比較するとその間の変化や、努力が見えます。
月別アーカイブ: 2014年10月
今日の失敗
地下鉄に乗っていたら、私の前に、年配の夫婦が立たれました。さっと立って、「どうぞ」と席を譲ったら、おじさんの方が「私ですか?」と尋ねました。「ええ」と返事したのですが、座るような雰囲気がないので、「失礼しました」と言って、座り直しました。私より年上と見えたのですがねえ、私の方が年上に見えたのでしょうか(苦笑)。次の駅で、私の隣の席が空いたら、座られました。
けんかの仕方と付き合い方、2
すると、喧嘩にも、限度や流儀があります。将来もう一度顔を合わせたときに、ばつの悪い思いをしなくてすむように、しておかなければなりません。もちろん競争や勝負である以上、勝ち負けは避けられません。
しかし、スポーツ競技のように、ルールを守った勝負をすること。ルールがない場合でも「何でもあり」ではなく、後で恨まれないような勝負に、しておかなければなりません。相手に「逃げ道」を用意することも、古来、戦争の世界では常道でした。相手を消滅させるのなら別ですが、そうでないなら、100%の勝ちは良くありません。
罵り合いもほどほどにしておかないと、将来立場が変わったときとか、後世の子孫に負の遺産を残すことになります。孫がしっぺ返しを受けるのです。いずれにしても、大人の付き合いに、罵り合いは上策ではありません。
明治や昭和初期の政治指導者や軍部の指導者は、100年後・80年後にこんなことになっているとは、考えなかったのでしょうね。もし、その人たちに見せることができるのなら、今の日本とアジア諸国との関係を見てもらいたいです。
ある時点でとるべき行動を判断する場合、その時点での評価だけでなく、将来の人から見たらがどのように見えるかという視点が重要です。いっときの勝ちか、長い勝ちかです。感情で盛り上がる応援団や国民に対して、指導者や選手たちがどれだけ理性的に判断し行動できるか、ということでもあります。
首相と与党との力関係
読売新聞連載「時代の証言者」西尾勝先生、10月4日の「思いがけない活動延長」から。
・・「省庁再編で巨大官庁が生まれるといわれるので、国の仕事を自治体に移譲する勧告に再挑戦して欲しい」。これが、橋本首相の地方分権推進委員会に対する追加要請でした。しかし、それからが大変でした。
国の仕事を自治体に移譲するとなれば、当時の建設・運輸・農林水産の3省が行う道路・河川・ダム・港湾・農業構造改善という公共事業に的を絞らざるを得ない。私はそう考えました。ところが、抵抗が強かったこの3省は、今度は国会議員に訴えたのです。
当時の自民党の政務調査会が動きました。各省と密接につながっている部会ごとに、地方分権改革対策会議などというような委員会を設置した上で、全体を統括するという体制を築き上げたのです。ここが抵抗の拠点となって、各省の官僚には「分権推進委員会からの出席要請には応じるな」と指示を飛ばす事態に発展していきました。
「国会の先生方に止められているので・・・」各省の官僚たちはそう言って、折衝に出てこなくなりました・・
・・首相の発言は非常に重く、官僚に強い影響力を及ぼすことを私は実感していましたが、橋本首相は結局、公共事業の移譲に反対する与党議員を束ねるまでの力は持っていなかったのかと思い知らされたわけです・・
キャリアデザイン、欧米型雇用と日本型雇用の違い
10月1日朝日新聞オピニオン欄、海老原嗣生(雇用ジャーナリスト)さんの「キャリア「設計」必要あるの?」から。
・・「キャリアデザイン」という言葉がもてはやされていますが、そもそも日本でキャリアをデザインできる可能性は少ないし、必要もないと思います。
キャリアデザインは欧米型の雇用では必要です。日本なら○○という会社に就職しますが、欧米では○○社××支店△△課□□職で契約する。隣の課に横滑りもできない。昇格も、上のポストが空いたときに応募してオーケーが出た時しかできません。何もしなければそのまま。だから、キャリアデザインが必要になるんですね。
日本の会社では、入社して経理に配属されると、まず一番簡単な債権管理から始める人が多い。簿記や仕訳ができるようになると、財務会計に行かされる。次は支店決算、その次は本社決算。少しずつ難しい仕事を与えられていくので、文学部卒でも5年もすれば経理の仕事ができるようになる。自分でキャリアデザインする必要性が乏しいんです。
キャリアデザインにこだわると、「この仕事は将来に役立つけれど、あの仕事は役に立たない」と区分けしてしまう。でも、どんな仕事がプラスになるかは、後から振り返ってみないとわからない。日本の会社だと職務間異動もあります。経理のスペシャリストを目指していても、総務や営業に一時行った時に身につけた視点や知識、コネが役立つこともある。それは事前にデザインしてもわからない・・
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