フランスの売り上げを支える日本人

9月22日の朝日新聞経済欄に、フランスの高級食材店フォションの最高経営責任者のインタビューが載っていました。
日本では高島屋百貨店などで売っています。日本での売り上げは年間約99億円、世界での売り上げの56%だそうです。
へ~。半分以上が日本とは。ルイヴィトンの売り上げの多くが、日本人だと聞いたことがあります。
日本人って、フランスが好きなんですよね。かくいう私も、若い頃にパリで、フォションの紅茶を買ってきました。あの金色の缶です。
かつて三越や高島屋では、イギリスフェアやフランスフェアが定番でした。次にイタリアフェアになりました。日本人のあこがれでしたが、日本も豊かになり、海外旅行も珍しくなくなって、最近はかつてほどの輝きがないです。
それでも、日本人が買っているのですね。次は、中国人が買うのでしょう。
日本が考えなければならないこと。それは、日本のおいしい食品や産物を、成長著しいアジア諸国に売り込むことです。日本の果物は、結構高い評価を得ています。日本ブランドで、もっと売りましょう。そして、国内より国外での売り上げが多いというように、なりませんかね。

自治体間の職員応援

岡山市が職員を公募して、宮古市に送ってくれます。その職員採用が決まりました。合計5人の職員を送ってくださいます。すでに3人の職員を応援に出していますが、さらに任期付き職員を採用して、送ってくださいます。ありがとうございます。
先日、「東京都が47人を採用して送ってくださる」ことを紹介しました(9月4日の記事。長浜市は9月9日の記事)。都庁にお礼に行って、気づきました。都や大きな市が職員を採用して送ってくださる際には、職員研修をじっくりとしてくださいます。会計事務や文書事務だけでなく、公務員倫理もです。
他方、被災地の自治体、特に小規模な自治体では、即戦力が期待されていて、かつ職員研修にそんなにも時間を割くわけにはいきません。東京都などで職員研修を受けた職員なら、折り紙付きです。この点も、送り出し自治体に、お礼を申し上げます。

「自治体や役所は、とかく前例踏襲で、新しいことをしない」と批判されます。でも、今回の被災地支援を見てください。かつては、消防と警察を送ることと、物資と義援金を送ることが、主な被災地支援でした。それが今回は、職員応援、被災者受け入れ、事務の代行など、次々と知恵を出して新しいことに挑戦しています。
阪神淡路大震災がボランティア元年と呼ばれましたが、東日本大震災は、企業の社会的責任と自治体の新たな支援の元年と言えると思います。
これらの新しい取り組みも、一覧表に整理する必要がありますね。今回の大震災で、政府が取った新しい取り組みは、こちら

川内村の復興

今日は、福島県川内村に行ってきました。原発事故で避難を余儀なくされた12市町村について、復興庁で各自治体ごとのチームを作って、県と一緒に課題を解決することとしています。帰還を始めている自治体、帰還の準備をしている自治体、まだ当分の間戻れない自治体と、条件が違うので、各自治体ごとに進めることが効果的と判断しました。復興庁の参事官を、それぞれチーム長としているのですが、今日は第一回目でもあり、私もついて行きました。
川内村は、阿武隈山地の東麓にある、盆地の村です。のどかな山村の風景が広がっています。村に行くのは、去年の秋以来です(2011年10月29日の記事)。その後、村長が帰村宣言をして、役場も戻っています。住宅の周りで、除染作業が進められていました。また、村の中心部では人通りも増えて、去年とは様変わりでした。人がいるといないとでは、これだけも違うのですね。
ただし、まだ戻っている人は多くありません。理由は、放射能への不安、サービス再開が進んでいないこと、働く場が失われていることなどです。
この村は、双葉郡を生活圏としていました。東へ山を下りると、20分で富岡町です。病院や高校、さらに勤め先も、この富岡町に依存していました。ところが、富岡町の帰還は、まだめどが立っていません。すると、南のいわき市、西の郡山市のサービスに頼らざるを得ませんが、山道で1時間半以上かかります。
このように分断された地域経済・生活圏を、どのように復興するか。大きな課題です。

成功の負の遺産

9月15日の読売新聞解説欄、東京大学学長室顧問のステファン・ノレーンさん(元駐日スウェーデン大使)のインタビュー「秋入学、東大改革の好機」から。
「大学の国際化は、不可欠な時代になったのか」という問に対して。
・・日本の大学も企業も、グローバル化が進む世界で、競争にさらされている。国際的な感覚や語学力などを身につけて行かないと、日本は負けてしまうと思う・・

「学生に限らず、日本の政治や社会も内向きになっていると言われる」という問に対しては。
・・日本はある意味で、自信の成功の犠牲者と言える・・
「成功体験にとらわれているという意味か」
・・その通りだ。日本は戦後、自力で国を再建し、経済成長した。だが、同じ方法はもう通用しない。経済は一段と国際化している。企業はその流れに乗っていくしかない・・
「変わるしかないと」
・・米国のケネディ元大統領の言葉を引きたい。彼は「変化は人生の法則だ(チェンジ・イズ・ザ・ロー・オブ・ライフ)。過去や現在しか見ない人たちは、必ず未来を失う」と言った。私は社会の変革の必要性を話すとき、いつもこの言葉に立ち返る。日本は1950年代から90年代にかけ、偉大な成功を手にした。しかし、私たちはもう50年前の世界には戻れないのだ・・

国民生活省構想

私の願いに、「国民生活省」があります。各府省に散らばっている、国民の生活に関する部局を集めて、一つの省にするのです。
「国民生活」といっても広いですが、軸は、生活者、消費者、社会的弱者を守る施策です。そのような施策を任務としている課や局を、統合して一つの省を作りたいのです。想定している部局は、次のようなものです。
内閣官房=社会的包摂室
内閣府=共生社会政策政策統括官、男女共同参画局、経済社会システム政策統括官の一部(新しい公共、市民活動促進)
消費者庁、公正取引委員会、食品安全委員会
法務省=保護局、人権擁護局
文部科学省=スポーツ・青少年局の一部(青少年育成)
厚生労働省=職業安定局、職業能力開発局、雇用均等・児童家庭局、社会・援護局、(労働基準局)
農林水産省=消費・安全局
これら対象となる部局は、まだ、たたき台です。議論を深めて、成案を得れば良いと思います。医療や年金なども、国民生活に密接に関係していますが、これは制度ができています。また、これらも統合すると大きくなりすぎるので、厚生労働省に残しましょう。

2001年に省庁再編を行いました。しかし、あの際に行ったのは、「省庁の大括り」でした。今回提案しているのは、これまで生産者育成、サービス提供の視点で作られてきた府省構成に、生活者や消費者の視点を持ち込むことです。
総理官邸のウエッブ・サイトでも、「国民生活」という分野があります。
消費者保護は、庁ができました。家庭や子育て、少子化対策、自殺対策、ホームレスや非正規雇用の問題なども、大きな課題になりました。再チャレンジ政策や社会的包摂という社会的弱者政策も、認知されました。国民生活という視点で見ると、かなりの部局があり、かつ分散しています。
これはまた、大きくなりすぎたと言われる厚生労働省の一部を切り出す案です。

新しい部局や政策を作ろうとしているのではありません。すでにある組織(部局)を、再編するだけです。省の数が一つ増えますが、そこは認めてもらいましょう。
大臣は、現在の数の範囲内で指名します。消費者問題担当大臣か誰かに、横滑りしてもらいます。局や課は、各府省から集めるので、増えも減りもしません(官房組織を作る必要はあります)。
しかし、「国民生活省」という目に見える役所ができることで、政府の仕事がより見やすくなります。そして、組織ができれば、政策も充実していくでしょう。
皆さんの、ご意見をお待ちします。