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推進委員会視察

今日は、復興推進委員会(伊藤元重委員長)の視察に同行して、福島県に行ってきました。避難指示が解除された田村市都路地区、大熊町の居住制限地域、復興拠点となる大河原地区、富岡町の復興拠点となる駅前地区、試験操業をしているいわき市の漁協などです。
放射線量も、時間と共に、そして除染によって下がってきています。状況が落ち着いて、わかってきたので、少しずつですが、復興に向けて取り組みが進んでいます。すなわち、放射線量の高い町では、全地域が一時に帰還することは困難です。よって、条件の良いところから帰還するべく、復興の拠点を作ろうという計画です。

参議院復興特視察

今日は、参議院復興特別委員会の視察に同行して、宮城県石巻市雄勝地区と、女川町に行ってきました。
雄勝地区は、町の中心が、津波で壊滅的な被害を受けました。特産の硯と、「雄勝スターズ」が有名です。硯になる粘板岩は、平らに割れて、スレートになります。東京駅を復元する際に使われたので、ご存じの方も多いでしょう。やって見せてもらいましたが、薄い板が、タガネを入れるとさらにきれいに剥がれます。横方向の力には強く、落としても割れません。すごいものです。「雄勝スターズ」は、漁師の奥さんたちによる、地域興し食堂といったら良いでしょうか。ちょうど昼食時なので、おいしいホタテ炊き込み弁当を食べてきました。
女川町では、山を削り土地をかさ上げする工事が進んでいました。女川駅舎も姿を現しています。「女川町震災復興のあゆみ」の10月17日「第3回おながわまちづくり見学会」の写真をクリックしてください。また、大きな公営住宅もできていました。町内会も、設立されたそうです。

各部局との交渉は公平に、嘘を言わない

日経新聞10月21日「私の課長時代」は、TOTO社長の喜多村円さんでした。1999年3月期に上場以来初の赤字に転落。喜多村さんが経理課長になった2000年3月期も業績は厳しく、経費を削減する必要がありました。現場の人に会社の状況を理解してもらうために、全国の拠点を行脚して予算交渉をします。
当時、営業企画本部長だった後の張本邦雄会長との議論です。数億円の予算カットをめぐり、20分議論する予定が2時間経っても話がまとまりません。「もう時間切れだ、帰れ」と言われ、「ここに(会議室に)布団を敷いてくれ。納得いくまで話をさせてくださいよ」と言い返したそうです。
・・経理は公平性以外に武器がありません。嘘を言わないことと、駆け引きをせずストレートに接することを心がけていました。相手によって態度や判断を変えていたら、信用を得られません。役員にたてついたこともありました・・
管理職になってから、部下から決裁を求められた際に、「あなたの意思は何ですか? 何がしたいの?」と聞くことにしておられるそうです。
・・自分の思いがなく、人にやらされていることでは長続きしないし、成功する確率も落ちる。固い意思があれば、周囲の人を巻き込んで新たな成果を生む原動力にもなるのです。人を巻き込むには甘い仮説では通用しません。仮説に至るまで、客観的な事実の積み重ねが大事です。それには勉強しなければなりません・・

賭博は白昼堂々とするものではない。内田樹さん

朝日新聞10月21日オピニオン欄、内田樹さんのインタビュー「カジノで考える民主主義」から。カジノを含む統合型リゾート開発を推進しようという法案(カジノ推進法案)について。
・・僕は別に賭博をやめろというような青臭いことは言いません。ただ、なぜ人は賭博に時に破滅的にまで淫するのか、その人間の本性に対する省察が伴っていなければならないと思います。
賭博欲は人間の抑止しがたい本性のひとつです。法的に抑圧すれば地下に潜るだけです。米国の禁酒法時代を見ても分かるように法的に禁圧すれば、逆にアルコール依存症は増え、マフィアが肥え太り、賄賂が横行して警察や司法が腐敗する。禁止する方が社会的コストが高くつく。だったら限定的に容認した方が「まし」だ。先人たちはそういうふうに考えた。
酒も賭博も売春も「よくないもの」です。だからと言って全面的に禁圧すれば、抑圧された欲望はより危険なかたちをとる。公許で賭博をするというのは、計量的な知性がはじき出したクールな結論です・・
「十分な依存症対策を取れば、カジノ法案に賛成ですか」という問に対して。
・・賛成できません。法案は賭博を「日の当たる場所」に持ち出そうとしている。パチンコが路地裏で景品を換金するのを「欺瞞だ」という人がいるかもしれませんけれど、あれはあれで必要な儀礼なんです。そうすることで、パチンコで金を稼ぐのは「日の当たる場所」でできることではなく、やむをえず限定的に許容されているのだということを利用者たちにそのつど確認しているのです。競馬の出走表を使って高校生に確率論を教える先生はいない。そういうことは「何となくはばかられる」という常識が賭博の蔓延を抑制している。
賭博はあくまでグレーゾーンに留め置くべきものであって、白昼堂々、市民が生業としてやるものじゃない。法案は賭博をただのビジネスとして扱おうとしている点で、賭博が分泌する毒性についてあまりに無自覚だと思います・・
このほかにも、メディアの責任について鋭い指摘をしておられます。原文をお読みください。

復興状況、被災者の認識

河北新報が、復興についての、仙台市民と市役所の認識の隔たりを報道しています。10月24日付け「復興施策『進んでいる』3割以下・仙台市民」。
市役所が行った市民意識調査で、仙台市が取り組む東日本大震災からの復旧・復興の施策10項目について、「進んでいる」と感じる人の割合が、一部を除き3割以下にとどまっています。
他方、市は、震災復興の重点54事業の2013年度の進行状況に関し、一部で遅れが生じているものの、目標達成に向けて着実に進んでいると判定しています。その差は、どこから来るか。奥山恵美子市長は、定例記者会見で、次のように述べておられます。
「災害公営住宅を例にすれば、市は計画通りの着工を順調と判断するのに対し、市民は8~9割の入居が済んだ時点で復興したと感じるだろう。」
ご指摘の通りです。被災地では高台移転やかさ上げ工事が進んでいます。一部に遅れがあるものの、ほぼ計画通りです。しかし、被災者や外部からの視察者は、「3年半経っても、まだ家が建たないのか」とおっしゃいます。がれきを片付けたら家を再建できた阪神淡路大震災と違い、今回の被災地では高台移転の工事に時間がかかるのです。また、住民の意見を聞き合意を取り付けるのにも、結構な時間がかかりました。その点を理解してもらいたいです。
また、津波被災地では、海岸部であって危険なので住宅を建てないため、更地のままの土地が広がっています。これを見て「何も進んでいない」と指摘する人もいます。これも、困ったことです。