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連載「公共を創る」執筆状況

久しぶりに、連載「公共を創る」の執筆状況報告です。かつては、しょっちゅうぼやいていたのですが、最近書いていませんでしたね。調べると、前回は10月10日でした。
それから約半年、執筆が順調に進んでいたわけではありません。相変わらず、締め切りに追われる日々を送っています。ひとまず、4月25日発行分を編集長に渡して、今週は乗り切りました。

原稿の内容は、私の経験や考えてきたことを基に、全体構想に沿って文章にするのですから、「大発見」というような難しいことではありません。問題は、執筆に専念する時間が取れないことです。
本業があり、お呼びがかかる講演の準備や、ほかに引き受けている原稿などもあります。原稿執筆は集中すればはかどるのですが、ほかの案件で細切れになり進まないのです。時間があっても、暴走する好奇心でいろいろなことに手を出してしまいます。あれも読みたい、これもしたい・・。『明るい公務員講座』で、だめな仕事の進め方としてお教えしたことです。反省。

でも、締め切りがあるので、穴を空けないように自らに鞭を打ち、暖かくなってきたので時には早起きして頑張っています。
忙しい中、手を入れてくれる右筆のおかげで、締め切りを守ることができています。

いつの日にか「今週は原稿締め切りがないぞ」と、心安らかな土曜日を迎えたいです。と、土曜の朝に書いています。ホームページ加筆も、時間がかかるのですよね。苦笑。
そして土日には、原稿執筆より重要な孫の相手があります。キョーコさんの料理で飲む日本酒はおいしいし、これからはビールもおいしいです。

連載「公共を創る」第182回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第182回「政府の役割の再定義ー幹部官僚の職責」が、発行されました。
組織には、管理職とは違った職責を求められる幹部が必要になります。今回から、幹部官僚の育成と選抜について議論します。

管理職は自らが長を務める課や室が何をすべきかを考え、部下の職員に指示を与えるとともに、その仕事ぶりを管理します。その課長は、職務に関する指針を幹部官僚から与えられます。課長たちが部下を動かしていくためには、幹部官僚がその方向性を指示しなければならないのです。
では幹部官僚が示す方向性は、誰がどのようにして決めるのでしょうか。もちろん大臣からの指示もありますが、それだけではありません。幹部官僚の任務は、その方向性を考え、特に新しい課題への取り組み方針を立案し、大臣と調整して組織の目標に据えることです。幹部官僚には、管理職とは違った任務があるのです。

経済成長期に高く評価された官僚機構は、成熟社会になって評価を大きく落としました。その理由は、「豊かで便利な社会という目標を達成した後に、次の目標を設定できなかったこと」と「約30年にもわたる経済停滞が続き、格差と孤独・孤立に伴う不安が生まれていたのに対応できなかったこと」です。
この30年間に幹部官僚だった人たちは、それぞれの立場で職責を果たしてきたと弁明するでしょう。しかし幹部官僚は、自分の所管だけに対応していればよいわけではないのです。結果として日本社会は良くならなかった、それどころか悪くなったのですから、官僚機構への評価は低くならざるを得ないでしょう。

北日本新聞に載りました

4月1日の北日本新聞1面「とやま再起動 人口減とともに」「復興へ歩む インタビュー編」に、私の発言が載りました。「小集落復活に反省点」です。

能登半島地震からの復興に際し、東日本大震災での経験を話しました。記者の質問は、小さな集落を復旧することの是非についてです。
どこにどのような家を再建するかは、住民の意志が尊重されるべきですが、集落の復旧となると難しい点もあります。
私が話したのは、小さな集落では維持が難しいということです。商店や病院、学校が近くにないと不便です。その集落から町の中心部まで車で出かけるより、町の中心近くに家を建てて、そこから漁港などに通って仕事をしてもらう方が、住む人にとって便利なのです。
参考「復興事業の教訓、集落の集約」「復興事業の教訓、人口の減少

連載「公共を創る」第181回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第181回「政府の役割の再定義ー管理職が果たすべき「役割」とは?」が、発行されました。

前回から、管理職の育成について議論しています。これまでは、優秀な職員の中から管理職を選んできました。しかし、それではうまくいかなくなりました。
管理職には、非管理職とは異なった職責があり、違った能力が求められます。前任者と同じことをしておればすむのなら、上司のやり方を勉強した職員が管理職を務めることができました。しかし、新しい仕事に取り組むときや、これまでにない問題が生じると、そのような育成方法では対処できません。例えば、困った部下がいる場合の指導方法は分かりません。部下の能力評価の仕方も、教えてもらっていません。

職員の中から管理職を選ぶという「昇進競争」は、部下に忠誠度を競わせる仕組みでもあります。上司に気に入られないと、出世できません。また、一握りの「勝ち組」の陰に、多くの「負け組」を生む仕組みです。負け組だけでなく、そのような競争に参加しない職員も居づらい職場です。

連載「公共を創る」第180回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第180回「政府の役割の再定義ー管理職、どう育てるか?」が、発行されました。第178回から、官僚の育成の見直しを議論しています。今回は、管理職の育成についてです。

会社員の間では「管理職は罰ゲーム」という言葉が、はやっているようです。管理職になると責任が重くなる割には給与は増えず、やりがいも感じられないため、管理職になりたくない人が増えているのです。学校では、教頭や校長になりたくない人がいて、管理職試験を受けないことは、かなり前から話題になっていました。近年では、校長や教頭から、一般の教員に戻る制度もできています。

この背景には、次のようなことがあります。
・日本の職場では、管理職と非管理職の違いを目立たせないようにしてきた。戦後民主主義の一つの表れです。
・職員と一緒に汗を流すことが、よい管理職と考えられてきた。
・部下に任せるのが、よい管理職と考えられてきた。

この連載で既に指摘したように、それでは生産性が上がらず、管理職には管理職の仕事が求められるようになったのです。
管理職が仕事の管理、部下の管理をせず、企業で不正が起きています。