「著作」カテゴリーアーカイブ

著作

令和3年の回顧2、執筆や講演

今年の回顧、その2は執筆や講演についてです(かつては副業と言っていました)。今年も繁盛しました。

まず、執筆です。連載「公共を創る」は、103回まで続きました。細かく手を入れてくれる右筆たちのおかげです。休むことなく続けたことは誇らしいのですが、締めきりに追われる毎日で落ち着く日がありません。精神衛生に良くありませんねえ。

マスコミの取材もたくさんありました。
3月は東日本大震災から10年ということで、いくつもマスメディアの取材を受けました。私としてもこれまで、その時々に考えたことを発信したのですが、改めてこの10年を振り返る良い機会でした。震災復興の公職を離れたこともあり、ひとまず区切りです。
官僚のあり方についての発言も、求められました。5月の日本記者クラブ「政と官」、8月の読売新聞「総理秘書官の役割」が代表でしょうか。

講演は、新型コロナで延期や中止もあったのですが、けっこうな数をこなしました。オンライン方式や録画方式もありました。
力が入ったのは、内閣人事局の幹部候補研修(係長級、課長補佐級)です。1月から配信するとのことなので、視聴した若手官僚たちがどのような反応を示すか、楽しみです。

このホームページも、毎日欠かさず記事を載せました。年間で、合計700本を超えています。週末などの時間のあるときに書いておき、ホームページ作成サイトに予約投稿しておきます。すると、決められた日時に公開してくれます。
カウンターは年初に350万人でしたから、延べ19万人の方が見てくださいました。ありがとうございます。
今年も充実した1年でした。

連載「公共を創る」103回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第103回「「通念」を変える─その方策と障害」が、発行されました。

かつて日本の経済発展や社会の安心を支えた日本独特の「通念」「社会の仕組み」が、成熟社会になって、負の機能を生んでいます。それを変えるためには、教育の内容を変えることが重要でしょう。
そして、通念や社会の仕組みは、自然とできていると考えるのではなく、国民や住民がつくるものだという意識に代える必要があります。自然に対する作為です。

近代市民革命や、国民による革命的な政権交代(韓国や台湾)を経ている国は、政府や社会は国民がつくるという経験と意識があります。それに対し日本は、長い歴史とその間変わらなかったと考えられている日本文化と社会があります。
その日本文化と社会は高い評価を得ていたので、変える際には大きな障害となります。

連載「公共を創る」執筆状況報告

恒例の、連載「公共を創る 新たな行政の役割」の執筆状況報告です。
「2社会と政府(2)政府の社会への介入」の前半を書き上げ、右筆たちに手を入れてもらって、編集長に提出しました。

国民の幸福のため、政府はどのような機能を果たしているか、いないかを検討します。その第一として、市場経済への介入から始めます。
この話は、経済学や財政学、公共経済学の分野です。しかし、私の議論から見ると、教科書が扱っている範囲と角度では狭いのです。そこで今回も、いろんな人にお知恵を借りました。

書き始める前は、1回分くらいの分量と想像していたのですが、3回分にもなりました。この3回は、来年1月の掲載になります。ひとまず、年を越せます。

連載「公共を創る」102回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第102回「「新しい通念と仕組み」構築の方向性」が、発行されました。
経済発展期には効果を発揮した日本型の雇用慣行と職場慣行が、今や負の機能を生んでいるという話を続けます。

経済成長期に効果的だったメンバーシップ型雇用は、いまや職場への不満を持つ社員を生んでいます。転職する仕組みが少ないこと、いったん就職すると会社に甘えることが原因でしょう。家族、親族、地域での付き合いから離れ自由になりましたが、それに代わる付き合いをつくれていないために、孤独になっています。自由は人生の選択肢を増やしましたが、自分で選び責任を持たなければならなくなりました。そして、人生双六が読めなくなりました。

このような暮らしの変化に応じた、安心のための仕組みと通念をつくる必要があるのです。社会保障は経済的な防護柵(落ちないようにする仕組み)と安全網(落ちた際の支え)を用意していますが、今問題になっているのは、社会生活での自立です。
そのためには、まず教育内容を変える必要があります。

連載「公共を創る」101回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第101回「家族と職場に見る「ずれ」の実像」が、発行されました。経済成長期に私たちの暮らしが大きく変化したのに、社会の仕組みや通念が追いついていません。そのずれが、不安を生んでいます。

家族の形では、サザエさんやちびまる子ちゃんのような3世代同居から、一人暮らしが増えました。家族という保障機能が小さくなると、孤立の問題が出てきます。男女共同参画は大きく進展しましたが、男性の家事従事時間は、女性よりはるかに短いです。

労働の形では、家族で働く農業や商工業から勤め人になりました。かつての農業に比べ、給料の良いきつい肉体労働でない月給取りは憧れでした。しかし、勤め人がすべて条件の良い労働ではありません。職場での人間関係に悩む人が増え、非正規雇用は給与も条件も良くありません。

終身雇用慣行は、社員が定着するには良い仕組みだったのですが、転職を妨げています。職場での大部屋主義と全員一致制は、非効率になりました。「部下に任せるのが良い上司」という通念は、上司が責任を取らないことにつながっています。