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平成17年度国の予算案

昨年、警察官の増員に関し、「財務大臣は、地方警察官を3150人増員し、3.5億円を認めた」という記事を笑いました(→マスコミ論)。今年は既に18日に、地方財政対策の中で、3500人の増員が発表されました。読売新聞なども、「総務大臣が3500人の増員を認めた」と報道しています。さて、各紙は、国の予算をどう報道するでしょうか。(2004年12月21日)

また、やってくれましたね。23日の朝日新聞は、「復活折衝の主な結果」に「警察庁:地方警察官3500人増員=3億円」と載せていました。3億円で3500人。1人当たり8万6千円です。「激安警察官」。
書いた記者や載せたデスクは、何を考えているのでしょうかね。進歩がありませんね。でも、財務大臣と国家公安委員長の折衝って、何を議論していたんでしょうか。(12月23日)

朝日新聞だけを取り上げると不公平なので、他の新聞も指摘しておきましょう。読売新聞も23日、「閣僚折衝で復活した主な項目」で「警察庁:地方の警察官3500人増員(3億7400万円)」を載せていました。この社は、既に「総務大臣が、3500人増員を認めた」と報道したのにもかかわらず、再度こんな記事を載せています。矛盾した記事を載せて良いのですかね。
総務省のPRが不足なのか、地方公務員を増員するのは財務省の仕事と思っている新聞記者が悪いのか、10万円で警察官が一人雇える(年間ですよ)という記事を変に思わないデスクが悪いのか・・。僕のこのHPは、読まれていないということか。来年はどうなるかな。

17年度交付税総額

12月18日に、麻生大臣と財務大臣の折衝が行われ、17年度の地方財政対策が決まりました。地方交付税総額は、前年度並みとのことです。地方団体には、これで安心してもらえます。
ところで、大臣折衝に先立ち、今朝の各紙に交付税総額の記事が出ていました。大臣折衝の前に、なぜ「漏れる」のか不思議ですが。A新聞は、1面大きな見出しで「交付税4000億円削減」と書いていました。驚きますよね。よく読むと、これは国の一般会計での歳出予算額の数字です。地方団体関係者や国民が知りたいのは、この数字でなく、地方への配分額である「地方交付税の額」です。この見出しの数字は「財務省側の数字」です。と言うことで、どこから数字がリークされているかも、見え見えです。
去年も、いくつかのマスコミは、この「間違い」を犯していました。記者さんが1年で転勤する弊害、役所がリークすると深く考えずにそのまま記事にしてしまう欠点が、また出ています。一方、Y新聞やN経済新聞は、正しい報道をしていました。

政治の在り方

読売新聞政治面では、最近の政治主導について、「政策決定」の連載を載せています。まずは、経済財政諮問会議を取り上げています。日々の出来事を追いかけるのではなく、このような分析を期待します。

大臣等規範

今日、平沢総務大臣政務官が、「大臣等規範」に違反したとして、麻生大臣に辞表を提出しました。この規範は、平成13年1月6日に閣議決定された、大臣・副大臣・大臣政務官の服務規律です。今回問題になった国内外の旅行については、その1(9)に定められています。
新聞なども書かないので知られていませんが、政治家が大臣等に就任したときに渡される規範です。拙著「省庁改革の現場から」p202に書いてあります。制定された日付は、あの省庁改革の日です。その趣旨は「政治家であって国務大臣等の公職にある者としての清廉さを保持し、国民の信頼を確保するとともに、政治的中立を確保すること」です(出張の許可より、この方が重要なんです)。
書物としては、たぶん私の本にしか出てこないのではないのでしょうか。新聞記者もあまり知らないと思います。日本政治に関する系統だった教育を受けていないようですし、1年で異動することが多い記者に、期待する方が無理ですか。「番記者」として政治家を追いかけるより、もっとすべきことがあると思います。(拙著「新地方自治入門」p312)。

資質を疑う

2004年3月10日の日経新聞記事に、「ここ20年で国の予算歳出の伸びに比べ、交付税と赤字地方債の合計の伸びは大きく、その差は7兆円にもなる。そのために、財務省は7兆円交付税を削減する」とありました。
びっくりした人もいたでしょう。でも少し読んだら、おかしいとわかりますよね。国の「歳出」と地方の「収入の一部」とを比べるなんて。国の歳出と比べるべきは、地方の「歳出」です。地方の赤字地方債と交付税の合計を比べるなら、国の赤字国債とです。赤字国債がどれくらい増えているか、調べて見てください。
こんな資料をもらって、そのまま記事を書く記者は・・・、それを紙面に載せるデスクも・・・。