カテゴリー別アーカイブ: 仕事の仕方

生き様-仕事の仕方

潜水艦でのリーダーシップ、上官の命令が絶対の組織で部下のやる気をどう引き出すか

L・デビット・マルケ著『米海軍で屈指の潜水艦艦長による「最強組織」の作り方』(2014年、東洋経済新報社)が、興味深かったです。
軍隊とは、上司の命令に部下が従う、トップダウン方式の典型例でしょう。アメリカ海軍も、当然そのような命令系統になっています。
著者が艦長を務める原子力潜水艦は、全長100メートル、乗組員135人、いったん出航したら半年間は戻ってこない、しかもそのほとんどは水中での隠密行動です。原子力機関、ミサイルや魚雷の扱いは、間違いが許されない高度な操作です。艦長の命令は絶対です。
しかし、上司の命令が全て、多くのことはマニュアルに書かれている、部下はそれに従うだけでは、士気は上がりません。著者は、部下に委ねるリーダーシップを取り入れようとします。しかし、前任の潜水艦で、一度挫折を経験します。そして、新たに乗船を命じられた潜水艦サンタフェは、乗員の質は悪く、関係者の間で有名な艦です。
彼が、どのようにして、部下にやる気を出させ、委ねるリーダーシップを成功させるか。そして、サンタフェは、平均以上の点数をとるほどに変わるだけでなく、最高点をとるまでに変わります。ご関心ある方は、お読みください。

情報セキュリティ対策、インターネットのマナー

先日、職場で、情報セキュリティ研修を実施しました。不用意に悪質なメールを開いたりすると、不正なプログラムに感染して、大変なことになります。政府機関を狙った攻撃もあります。また、部内限りの情報を漏らしたり、個人情報を漏らすことも、起きないようにしなければなりません。ソーシャルメディアの使い方も、研修内容に入れてあります。
これまでの事故の事例を見ていると、便利になったが故に危険も増し、被害も一気に広がります。自動車を運転する際には、教習を受け免許が必要です。それと同じくらいの研修は必要でしょう。
全職員が受講できるように、何度かに分けて研修をしました。幹部は全員が受講しました。ごくわずかな職員が日程が調整できず、受講できていません。毎年、職員に偽メールを送って、訓練もしています。これに引っかかる職員もいます。
担当者と、どうするか、議論しました。職員が軽率に事故を起こしたら、統括官の私が、「管理不行き届き」になるのだそうです。それで、もう一度、補充の研修をして、それでも受講しない職員に対しては「パソコンの使用を停止するくらいのことも考えなければ」という意見もありました。
岡嶋裕史著『ネット炎上 職場の防火対策』(2014年、日本経済新聞出版社、日経プレミアシリーズ)が、勉強になります。インターネット上の失言や悪ふざけが、大きな被害をもたらします。昨年ニュースになった例では、アルバイト先の飲食店で悪ふざけをしてツイッターに写真を投稿したら、「炎上」してしまい、お店が閉店に追い込まれたとか。昔も若者が悪ふざけをして、近所の人に叱られていました。ところがインターネット上では、「ご近所デビュー」でなく、直ちに「世界デビュー」になると書かれています。
この本を読むと、ツイッターなど怖くてできませんね。子どもであっても多くの者が、スマホなどインターネットを使う時代です。インターネットの使い方、行儀作法、怖さを、きちんと教える必要があります。交通安全ルールと同じです。
私も実名で、このホームページを書いています。知人からは、「よくそんな危ないことをしているな」と、忠告を受けます。ツイッターのように「即座に条件反射で書く」ことは、しないようにしています。記述には気をつけていますが(これでも)、深夜に書いた文章を、翌朝削除することは、時々あります。酔っ払って書くと、危険です。

会社が求めるのは大学の成績だけではない

朝日新聞5月23日オピニオン欄、ニューヨークタイムズからの「グーグルが求める人材5条件」から。
・・世界で最も成功している企業の一つ、米グーグルで採用責任者を務めるラズロ・ボック人事部門担当上級副社長は昨年6月、ニューヨーク・タイムズ紙のアダム・ブライアント記者のインタビューでこう述べた。
「大学の成績評価(GPA)は採用基準として価値はなく、試験の点数は何の役にも立たない。こうした数字からは何も予測できないことがわかった」・・
・・「全社的な採用条件は五つある」という。「技術関連の仕事なら、プログラミング能力を評価する。仕事の半分は技術職だ。ただし、どの仕事においても我々が一番求めているのは、全体的な認識能力であり、知能指数(IQ)ではない。認識能力とは学習する能力であり、状況に応じて処理する能力であり、種類の異なる情報の断片を組み立てる能力だ・・
・・次に求めるのは「従来型のリーダーシップではなく、創発的なリーダーシップ。従来型は、チェスクラブの会長だった、販売部門の部長だった、どれくらいの早さでその地位に就いた、とかだ。そんなことはどうでもいい。重視するのは、問題に直面したときに適切なタイミングで進み出てチームをリードできるかだ。同じく重要なのは、自分は後ろに下がり、指揮をとるのをやめ、ほかの誰かに任せられるかだ。実行力のあるリーダーに重要なのは、いつでも権力を手放す覚悟だからである」・・

今日も、職員に感謝する会

昨日は、仙台でのシンポジウムの後、、宮城復興局で、職員との意見交換会でした。新年度になって、新しい職員を迎えました。民間からもたくさん来てもらったので、悩み事がないかも、聞きました。仕事の流儀が違いますからね。夕方からは職場で議論。その後は国分町に出かけて、市場調査とあわせて、ささやかな景気刺激と、さらに濃密な懇談会でした。
今日は放課後に、職場のある班の打ち上げに、参加しました。いつものように、職員が「岡本統括官に、部下職員に感謝する機会を与えてあげるので、参加しなさい」とのことでした。
何人かの職員には、ビールをついで回ったのですが、なにせ人数が多くて、みんなに回ることができませんでした。それでも、上司は早く帰った方が良いので、途中で中座。
職員が「もう帰るのですか」と問い詰めるので、「あんたたちと違って、これからホームページを加筆せにゃならん」と答えました。すると、「統括官のホームページで、優秀な部下を誉めてくださいよ~」との指示。
これで良いかな、小川君、柿沼君、石川さん、倉井君、広瀬君、吉次君・・。明日、「私の名前が載っていません」と、他の職員から、しかられそうです(笑い)。

鏡は、姿を写すものか、心を写すものか

5月10日日経新聞インターネット版に、帝国ホテルの電話受付係の仕事が紹介されていました。「受話器の向こうから笑顔でおもてなし」。着信から対応までの時間が1秒以内とか、お門違いの電話「孫の夏休みの宿題をどう解くのか」といった質問にいかに手早く和やかに終わるかなど、興味深い内容です。
特に、なるほどと思ったのは、担当者(全員女性のようです)が座る電話交換機の前に小さな鏡を置いてあることです。「口角は上がっているか、目元は笑っているか。電話をとる前に一瞬鏡を見つめ表情を整えてから応対する。笑顔に込めた思いが声だけでも十分に伝わると信じて」とのこと。
鏡は身だしなみを整えるものですが、気持ちも引き締める道具ですね。朝出かける前、玄関の姿見と、職場の鏡は職業人にとって必需品です。