カテゴリー別アーカイブ: 仕事の仕方

生き様-仕事の仕方

文書整理=廃棄

29日の日経新聞別冊は「書類整理し、机すっきり」を載せていました。仕事の書類を分類すると、捨てられるもの5割、捨てられないが手元に置いておかなくてもよいものが3割、残った2割が手元に置いておいた方がいいもの、という「5対3対2の法則」を紹介しています。半年過ぎた文書を見る確率は10%、1年過ぎた文書を見る確率は1%という、アメリカ政府の調査結果も。
複写機のなかった時代を想像すれば、多くの文書(複製)は持つ必要がないですよね。鹿児島県の文書課長時代に、文書廃棄運動をしました。県庁から運び出した文書の量は、厚さにして(大きさを問わず)20キロメートルを超えたと記憶しています。皆さんの事務所でも、会計課に行って、年間のコピー用紙購入枚数を調べてください。膨大な量です。それと同じ分量を捨てないと、事務所はパンクします。職員が文書を見る時間は増えません。とすると、増えた文書は積み上げられ、化石となるのです。と書いていて、自らも反省。

書類整理

今日は、執務室の書類片付けをしました。油断すると、数日のうちに総務課長席は書類に埋もれてしまいます。本業関係の書類の整理は簡単です。決裁はたくさん来ますが、ほとんどはサインして終わり。いくつかは、疑問点を確認してお持ち帰りいただけば済みます。決裁書類はたまりません。そのほかに、課長が持たなければならない書類は、まずありません。担当者がいるので、その人に返せばいいのです。
問題は、勉強のために取ってある資料・新聞切り抜きのたぐいです。原稿を書いたり、自分の勉強のために、関心ある記事や資料を取っておく癖があります。かつては、数ヶ月に一度、部門別に分類していました、最近は、このHPに載せたものは袋に入れて、一件落着としています。保存してありますが、たぶん再度見ることはないでしょう。それ以外の、政治・行政・経済・社会・文明論・国際政治・官僚関係の記事などが困るのです。しばらく時間が経つと「鮮度が薄れて」、捨てる気になるものがあります。これはその段階で処分。残ったものは、分類して封筒に整理しておきます。原稿を書いたりするときのために。もっとも、いつになるかわかりませんが。時々整理しては、「オッ、こんないい議論もあったな」と反省します。
今日はその他に、ここ数年間分の講演会や講義の資料を、一気に捨てました。段ボール箱1箱分です。まあ、よくもこれだけしゃべりに行っていたものだと、自分で感心しました。こんなところも行ったよな、こんなこともしゃべたんだ、こんな資料も使っていたな・・。これらを捨てることも、思い出を捨てるようなものですね。でも、そんなことは言っておられないので、これも思い切って捨てる。でも、今日一日でできたのは、部屋にある資料の3分の1ほどでした。今日は夕方からは一橋で講義、そのあと別の懇親会。あすは、大阪市立大学で講演会です。職員曰く「課長、本業は何ですか?」「うーん、なんだろうね」

組織論

(上からの割付方式)
私の研究テーマの一つに、組織論があります。日々の仕事のなかで、次々と考えさせられる問題が生じます。今日は、「下からの積み上げ方式」と「上からの割付方式」について述べましょう。
どの役所でもあると思いますが、国会(議会)答弁をどの課が書くかで、もめることがあるでしょう。これまでにない質問や複数の課にまたがる質問だと、関係課同士で、譲り合い(押し付け合い)をするのです。これを、下からの積み上げ方式でやっていては、いつまでたってもけりがつきません。早く結論を出すためには、上からの割付方式(より上位のものが担当課、担当者を決めること)が良いのです。
割付方式の場合には、最も良い答弁を早く書ける課に、答弁作成を割り付ければいいのです。このことは、明るい係長講座中級編に、体験談を交えて書きました。
役所としては回答しなければならないけれど、担当する適当な部署がないことも、まま生じます。それは、各課の編成(所掌事務の割付)が時代に合っていないか、あるいはこれまでにない問題が生じたからです。それをこれまでの各課で議論していても、引き受けるところがないのは当たり前です。このような場合に、「積み上げ方式」は役に立たないのです。役所の縦割り組織(各課の編成)は、既存テーマについては積み上げ方式で機能を発揮しますが、これまでにないテーマの場合はそれでは機能しないのです。割付方式で、ある課に割り付けてあげないといけないのです。
組織内での意志決定方法として、「ボトムアップ方式とトップダウン方式」の対比があります。これはあるテーマについての意志決定の方法についてですが、私の言う「積み上げ方式と割付方式」は、同じことを組織論として述べています。
(上司の仕事)
これに関連してもう一つ、「誰が書くか」という問題があります。各課が答弁作成を拒否するのは、担当者が今までに書いたことがない質問だったり、回答が難しい質問だからです。すると、それ以上課員に対し書くことを強要しても、良い答えが出るとは思えません。その場合は、誰か上司のしかるべき人が書くべきでしょう。
ここには、二つの課題が含まれています。これまでにない問題である場合は、下位の職員が書くと良い答えにならない。その場合は、上司が筆を取るべきであること。もう一つは、各課にまたがる課題なら、それぞれの課が書いても良い答えにならない。その場合は、その両課を所管する上司が書けば良い答えになるということです。課長になったら、自分ではペンを持たず部下の書類にノーを言うだけ、というのは間違った考えだと私は思います。
(何でも屋が必要)
もう一つ、そのような運用改善だけでは、解決できない問題もあります。どうしても、引き受け手のない問題の場合です。そのような場合には、誰も引き受けない問題を引き受ける部署を作っておく必要があります。総務課とか企画部は、そのようなときに機能を発揮します。
上司の立場から見ると、早く良い答弁を書いてくれることが良い結論であり、それが良い組織なのです。これは、関係職員にとっても同じです。みんな早く帰って寝たいのですから。「上からの割付方式」とは、そのような観点から見た組織論です。