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書類整理

今日は、執務室の書類片付けをしました。油断すると、数日のうちに総務課長席は書類に埋もれてしまいます。本業関係の書類の整理は簡単です。決裁はたくさん来ますが、ほとんどはサインして終わり。いくつかは、疑問点を確認してお持ち帰りいただけば済みます。決裁書類はたまりません。そのほかに、課長が持たなければならない書類は、まずありません。担当者がいるので、その人に返せばいいのです。
問題は、勉強のために取ってある資料・新聞切り抜きのたぐいです。原稿を書いたり、自分の勉強のために、関心ある記事や資料を取っておく癖があります。かつては、数ヶ月に一度、部門別に分類していました、最近は、このHPに載せたものは袋に入れて、一件落着としています。保存してありますが、たぶん再度見ることはないでしょう。それ以外の、政治・行政・経済・社会・文明論・国際政治・官僚関係の記事などが困るのです。しばらく時間が経つと「鮮度が薄れて」、捨てる気になるものがあります。これはその段階で処分。残ったものは、分類して封筒に整理しておきます。原稿を書いたりするときのために。もっとも、いつになるかわかりませんが。時々整理しては、「オッ、こんないい議論もあったな」と反省します。
今日はその他に、ここ数年間分の講演会や講義の資料を、一気に捨てました。段ボール箱1箱分です。まあ、よくもこれだけしゃべりに行っていたものだと、自分で感心しました。こんなところも行ったよな、こんなこともしゃべたんだ、こんな資料も使っていたな・・。これらを捨てることも、思い出を捨てるようなものですね。でも、そんなことは言っておられないので、これも思い切って捨てる。でも、今日一日でできたのは、部屋にある資料の3分の1ほどでした。今日は夕方からは一橋で講義、そのあと別の懇親会。あすは、大阪市立大学で講演会です。職員曰く「課長、本業は何ですか?」「うーん、なんだろうね」

受講生への連絡

昨年度に引き続き、今年も一橋大学政策大学院で講義をします。内容は、昨年度と同様に「日本行政の成功と失敗」です。骨子は変わりませんが、より、今起こりつつある政治と行政の変化について、具体事例を取り上げて説明します。まずは、三位一体改革を例に取り上げ、日本の政治と行政を分析します(第1章、第2章)。その後、日本の行政の解説に移ります(第3章)。

配付資料
これまでに配付した資料は次の通り(6月29日現在)。
1 レジュメは、p20まで
2 資料は、1-32、2-34、3-8、5-26まで
3 冊子は、4種類。 「地方交付税のあらまし(白表紙)」、「日本の財政を考える(財務省パンフレット)」、「ここまで進んだ小泉改革(内閣府)」、「行政評価」
まだもらってない人は、レジュメと資料は4階の講師控え室(岡本の箱)に置いてあるので、高橋さんに了解を得て複写してください。

講義予定
4月13日 開講、授業計画の説明。第1章 三位一体改革(日本の政治と行政を浮き出させたもの)経過。
4月20日 (続き)何を変えようとしているのか・その1。分権と見えてきた日本のかたち。
4月27日 (続き)なぜ進まないか、なぜ進んだか。中央集権と官僚主導。
5月11日 第2章 何を変えようとしているのか・その2。財政再建と負担を問わなかった日本の民主主義。
5月18日 (続き)日本の財政の仕組み。改善策。
5月25日 第3章 日本行政の成功と失敗(政治と行政を見る視角、政策を問う、私たちの成功)
6月 1日 (続き)私たちの失敗、近年の政治と行政の評価
6月 8日 第4章 行政機構と官僚制(官僚の失敗への批判、日本の公務員制度の特徴)
6月15日 (続き)官僚制の限界
6月22日 (続き)。第5章 政治の役割と行政の役割(統治の機構)
6月29日 (続き)行政改革
7月 6日 (続き)政と官、政治の役割
7月13日 休講
7月20日 第6章 転換の方向。質疑の時間

国家公務員の配置転換

政府は27日、国家公務員の人件費抑制の全体計画と、政府系金融機関改革の制度設計を決めました。このうち国家公務員削減は、5年で約1万9千人、5.7%を純減します。これまでは削減といっても片道(一方で増員あり)だったので、純減としてはその規模も大きく、また一律でなく部門別重点削減ということも、これまでにないことです。
しかし、もっとも大きな方向転換は、配置転換です。これまでは退職不補充の範囲で削減をしていたので、職員の配置転換がありませんでした。簡単に言うと、省庁を越えた大幅な職員移動はありませんでした。それが今回初めて実現するのです。
民間の方や地方公務員にとっては、配置転換など当たり前のことです。「今まで何をしていたの」と不思議に思うでしょう。しかし、いつも私が主張するように、日本国には各省公務員はいても、国家公務員はいないのです。国家公務員は、各省に採用され、政府には採用されていないのです。霞ヶ関には人事課長が13人います。実質的には100人くらいいると私は見ています。それごとに、人事は管理されています。
こんなことが今まで続いてこれたのは、右肩上がりだったからでしょう。これまでに大規模な配置転換は、国鉄分割民営化の時に行いました。国鉄職員を各省で受け入れたのです。もっとも、これは省庁間は移転ではありません。
さらに問題は、この多くの職員が地方出先機関の職員であるということです。生活の場が地方にあり、県を越えた転勤を想定していない職員が大半だと思います。もちろん、これまでと違った業務を覚えなければならないという課題もあります。これからも、解決しなければならない問題はたくさんあります。
さらに今回、政府に対策本部を作りました。それは、政府に人事政策・制度・運用の統一機関がないからです。私はこれも大きな問題だと思っています。

慶応大学大学院法学研究科「公共政策論」

今日は、大山耕輔先生にお招きをいただき、慶応大学大学院法学研究科「公共政策論」に、しゃべりに行ってきました。いただいたテーマは「地方分権の行方」でしたが、「三位一体改革はなぜ進んだか、進まなかったか」に絞ってお話ししました。18:30からという時間帯にかかわらず、小林良彰先生を始め、院生が熱心に聞いてくださいました。私の悪い癖で、内容を詰め込みすぎ、早口になったので、わかりにくかったかもしれません。反省。質疑応答の時間には、鋭い質問が次々と飛んできて、精一杯知っていることと、考えていることをお答えしました。

2006.06.25

23日の朝日新聞経済面が、「農水省に誕生3年。消費・安全局、農政変えた?」を解説していました。
私は、これまでの行政の任務は生産振興であり、結果として業界と一体となった生産者の保護が主であった。これからの行政に期待されるのは、競争のルール作りと、消費者の保護であることを、主張しています。そこで、手法も事前調整から、事前のルール作りと事後チェックになります。補助金行政から、アンパイアになるのです。
授業では、生産者重視で失敗した行政の例として、水俣病、薬害エイズ、金融行政、BSE牛、輸入肉偽装、B型・C型肝炎などを取り上げています。また、転換した行政の例として、大蔵省銀行局・証券局から金融庁へ、内閣府の食品安全委員会とこの農水省消費・安全局、航空・鉄道事故調査委員会を挙げています。