岡本全勝 のすべての投稿

最先端情報の入手・会うことの重要性

今日も、平野雅章『IT投資で伸びる会社、沈む会社』から。
・・技術動向に関する理解の必要性は、企業の属する産業によって違います。ハイテク企業であれば、研究所や駐在員をシリコンバレーにおき、技術者・科学者などとフォーマル・インフォーマルな情報交換を続けていくことが絶対的に重要でしょう。
通常、技術の先端的情報の微妙な部分は、学会・フォーラムやインフォーマルなミーティングなどでの技術者・科学者同士の直接接触を通じて、暗黙情報として交換されるので、これを得るためには先端技術開発の行われている地域に物理的に身を置くことが不可欠です・・(p89)。
そうなんですよね。大概の情報が、インターネットで手に入る時代になりました。ところが、人と会う重要性は、いっこうに減りません。最先端の情報で公開情報はインターネットで手に入ります。しかし、まだ公開されていない情報、それは不確定な、ものになるかどうかもわからない情報ですが、それらはインフォーマルな情報交換でしか手に入りません。これは、科学技術に限りません。
またこれとは違った場面でも、例えば人物評価が必要な場合は、会ってみないとわかりません。多くの場合、採用面接なしでは、人を採用できないのです。

二度とこのようなことが起きないように・・

先日紹介した、平野雅章『IT投資で伸びる会社、沈む会社』から。
・・「情報システムでは必ずトラブルが起きるものです」というと、驚かれるか不愉快な思いをされる読者もいらっしゃるかと思いますが、事実ですから仕方ありません。一般に、機械やシステムの信頼性を100%にすることは、技術的・経済的に不可能です・・
経営者が、あたかもトラブルの起きない情報システムや、事故の起きない原子炉が存在しうるように考えたり説明したり、記者会見で「二度とこのようなことが起きないようにします」と頭を下げることは、不可能なことの空手形を切っているのであり、自分自身と社会に対する欺瞞でしかありません。・・責任のある経営者は、システムトラブルが確率的に起きることを前提に、事業のリスクや責任の取り方を考えているものです・・(p120)。

骨太の方針一覧表

これまでの「骨太の方針」主な内容を、表にしました。授業や原稿に使っているものです。ご利用ください。(6月28日)
28日の日経新聞社説は、「骨太方針は予算要求書に変質したのか」でした。
・・成長力の強化や国民本位の行財政改革など総論や看板には異論がないが、各論となると各省庁や政治家の要望を並べたところや、中身が薄いところが目立つ。骨太の名にふさわしい内容とは言い難い。
01年の小泉純一郎政権時代に始まった「骨太方針」の本来の狙いは首相の指導力発揮によって、改革の障害を乗り越えることだった。各省庁任せの政策決定では、省益や政治家の既得権益の壁に阻まれる。このため、民間の有識者を含めた経済財政諮問会議を「改革の司令塔」として活用、首相が後押しする仕組みをつくった。
小泉首相退陣後の07年の骨太方針からそうした性格は薄れてはいたが、今回はそれに拍車がかかったように見える。昨年夏の参院選敗北で自民党内から改革路線への反発が噴出したことが背景にある。福田首相も、党内からの様々な圧力をはねのけられなかった・・。
この社説の標題が指摘しているように、最近の骨太の方針には、2つのものが含まれています。行財政改革を目指す「メリ」の部分と、施策の拡充を目指す「ハリ」の部分です。「骨太の方針2008」だと、第4章がメリで、第5章がハリになります。

目標による管理

組織の目標による管理の例として、鳥栖市の「部課長の仕事宣言」が、わかりやすいです。紹介します。
ある人曰く、「こんな簡単なので、良いのですか?」。良いのです。難しい複雑なことは、長続きしません。まず書いてみることで、本人にとって仕事の目標と重点が見えます。それが上司・部下と共有されることで、仕事が円滑に無駄なく進みます。さらに市民に見せることで、理解されまた評価されます。
先日、個人の能力と組織の能力は別だと書きましたが、このような仕事の「見える化」が、組織力を高めます。組織の能力を高めるためには、伝統や文化といった見えないものに頼るのでなく、見える化が大切なのです。