投稿者アーカイブ:岡本全勝

1914年と2014年の類似

2014年4月22日   岡本全勝

第一次世界大戦が始まった1914年から、今年で100年です。第一次世界大戦を振り返る企画がされるなあと思っていたら、実世界が1914年に似てきたという指摘が出ています。例えば、日経新聞経済教室4月16日、中西寛京大教授「第1次大戦前、不吉な相似」。わかりやすい解説が、東京財団に載っていました「欧州とアジアにとっての1914年と2014年」。
それらが指摘する要点、そして現在にもある程度共通する点は、次のようなものです。
・当時、国際貿易が拡大し、相互依存が高まったのでもう戦争は起こらないと識者は考えていたのに、貿易量の多い英独の間に戦争が起きたこと。
→現在も国際化が進展し相互依存が進んでいるが、それだけでは、戦争を防ぐことはできないのではないか。
・関係国の誰もが、そんな大きな戦争を望まなかったのに、世界大戦になってしまったこと。
→意図せざる戦争は、起きる可能性がある。
・当時のドイツと同様に、中国が覇権国に挑戦する経済力をつけつつあること。
→近年、アメリカの覇権が揺るぎだしている。
・イギリスの覇権が揺るぎだし、次なる覇権国になるアメリカに、まだその用意がなかったこと。
→現在は、経済大国中国の国際社会での役割と意図が、不明確である。
・現在のロシアと中国は、西欧各国と違う政治体制・政治哲学にあること。
→西欧先進国の国内政治と国際政治は21世紀に入っているが、他方で19世紀の状態にいる国がある。
→各国は今もなお、国際関係(世界の常識や評判、理想)よりも、国内事情(政権基盤、力学、世論)で行動する。
・クリミアでのロシアの振る舞いが、力による国境変更を実績にしてしまったこと。
→東ヨーロッパだけでなく、アジアも不安定さを増している。

さて、この不安定を、人知によって制御できるか。2008年の世界金融危機は、各国の協調によってある程度押さえ込むことに成功し、1929年の世界恐慌の再来にはなりませんでした。世界金融危機と国際政治(国家間紛争)の危機は、ともに統一権力(世界政府)がないことによって生じ、増大し、制御が難しいです。国際金融や国際経済の場合は、カネという「共通言語」と経済という「共通利害」があるので、国際紛争より話が簡単だとも言えます。
それに比べ、国際政治では、表(公式の場)での議論や発言と、裏(密室)でのやりとりに大きな違いがある場合があり、また裏での発言も本音とは別の場合もあります。それが「政治的」であるゆえんです。

愛国心、いびつな言説はメディアにも責任、2

2014年4月21日   岡本全勝

・・日米安保体制の強化で中国の行動への抑止力を高めることは必要でしょう。けれども20年後、さらに50年後はどうか。米国に頼って中国と軍事的に対峙する路線が、どれだけ賞味期限をもつのか。そうしたリアリズムこそ日本に必要なものです。
13億人の中国は、多少の挫折はあっても将来米国と肩を並べ、さらに米国を超える超大国になる可能性が高い。他方、百年国恥の屈辱感の裏返しである現在の中国の攻撃的な路線が永久に続くわけではない。対立するより、諸国と共に中国の過剰な被害者意識をなだめ、卒業してもらう工夫を日本はするべきです・・
・・中国が持たないソフトパワーをいかすことです。日本の学者が主導してアジア国際法学会を日本で開催した際、参加した中国人が必死に運営のノウハウを学ぼうとしたことは象徴的です。製造業やサービス業、医療のシステム、アニメやファッション、さらには秩序だった市民生活のルールなど日本には中国にとって魅力のあるソフトがあります。それで中国の懐に入り込み、ウインウインの関係をつくり出すべきです・・

復興推進委員会

2014年4月21日   岡本全勝

4月18日に、復興推進委員会を開きました。平成25年度の先導モデル事業の評価を報告するとともに、26年度の先導モデル事業のうち、先行する「継続事業」と「横断的課題」を選びました。さらに、「提言」をまとめてもらいました。
提言では、これまで進めている5つの項目(子ども、高齢者、エネルギー、回復力、地域資源)の他に、産業復興が取り上げられています(提言p57)。地域の活力は、なんと言っても産業、働く場です。これを受けて、被災地での産業復興の体系化に、取り組むことになりました。

統計数字の錯覚、都道府県別有効求人倍率

2014年4月21日   岡本全勝

日経新聞4月21日の「地方の雇用、本当は元気求人倍率、働く場所で集計すると都市部は減少」が、興味深かったです。都道府県ごとの有効求人倍率ですが、その算定方法を探ると、公表数値と違う結果が出てくるのです。
・・
厚生労働省が公表するのは、本社所在地ごとの有効求人倍率。東京都に本社があるスーパーが青森県内の店の求人を出すと、原則として東京都の求人として計算するため都市部が上昇しやすい。これを就業地別に青森県の求人として数え直すと、地域雇用の実態がみえやすくなる。
2013年の実績を本社地別でみると東京都が1.33倍で首位。就業地別で計算すると1.00倍と大きく下がり、15位にまで転落する・・
そうだったのですか。これでは、都道府県別の数字をそのまま鵜呑みにするわけにはいきません。
松尾洋平記者、良い記事を書いていますねえ。彼は、2010年10月4日にもこのホームページに登場しています。