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事業にとっての適正な企業規模

16日の朝日新聞経済欄、安井孝之編集委員の「波聞風問」は、「ものづくり―はやぶさからエアバスへ」でした。群馬県富岡市にある、重工大手のIHI(かつての石川島播磨重工業)の子会社「IHIエアロスペース」が、小惑星探査機「はやぶさ」を作り、エアバスの部品を作っている話です。
この会社の源流をさかのぼると、戦前は軍用機を作っていた中島飛行機で、戦後に解体され、その後、日産自動車の宇宙事業部門に引き継がれました。日産が経営不振になり、カルロス・ゴーン社長が事業の選択と集中を進め、航空宇宙事業は売りに出され、IHIが2000年に買い取りました。私が興味を持ったのは、次のようなくだりです。
・・担当部長は「航空宇宙事業は、自動車とは時間軸も規模も違う」と言う。今回のエアバス新型機への納入で、今後30年間で1兆5千億円の売上げを見込む。年間500億円の売上高は、IHIの航空宇宙事業の売上高3千億円にとっては大きな柱だが、日産の売上高の1%にも満たない。
それぞれの技術、商品には、それを育む適正な企業規模があるのだろう。大きな組織が、すべての先端技術を育てられるわけではない・・

なるほど、大企業の1%にいるよりも、それより小さな会社で存在感がある方が、うまく行くでしょうね。「企業は大きくなればよい、いろんな事業を抱えるのがよい」とは、言えないのですね。

福島県での意見交換会

今日は、復興大臣のお供をして、福島県南相馬市相馬市新地町を訪問し、意見交換をしました。南相馬市では、先月末に緊急時避難準備区域が解除されました。子どもや高齢者が戻ってくるので、学校や病院の再開の準備をしています。また、これまでこの区域では、仮設住宅を建てることができなかったので、これから建設し、市外に出ておられる方に戻ってもらう準備もします。
医師や看護師が戻っていないこと、十分な数の住民が戻らないと商店が成り立たないことなど、難しい問題もあります。何度もこのページで指摘しているように、道路と住宅を復旧しても、住民の安心と街の賑わいは戻りません。

復興関係法案、作成作業

次の臨時国会に提出するため、「復興特区法案」と「復興庁法案」の作成を急いでいます。概要は、7日の本部会合に提出しました。まだ、途中段階ですが、意見をもらおうという趣旨です。
特区制度は第3次補正予算と関連するので、補正予算に遅れず提出しなければなりません。復興庁法案は「今年中に成案を得る」と決められていたのですが、大臣の方針で、次の臨時国会に提出すべく作業しています。
今日は、民主党のプロジェクトチームが開かれ、現時点での内容を説明しました。これから地方団体の意見も聞き、法案として閣議決定を目指します。

内容を決めることと、それを法文にする作業があります。復興庁という「新しい省」を一つ作るので、それなりに大変な作業です。1府12省のほかに、もう一つ庁ができるのですから。いろんな法令に影響が出ます。さらに復興庁は、12省とは違い総理大臣が長で、内閣府と同様の一段上の組織になります。各省から集まった、我が事務局の精鋭たちが、連日残業をして作業しています。
諸君、ありがとう。でも、このような経験は、なかなかできないよ。将来、きっと役に立つと思います。私は、2001年の省庁再編に参加した経験が、役に立っています。そのほかに、その時の若手も、今は幹部となって参加してくれています。

全国避難者数

定例の全国の避難者数調査が、発表されました。10月6日現在で、いわゆる避難所にいる人は、1,700人です。その後、岩手県の避難所は解消され、宮城県石巻市の避難所も閉鎖されました。現時点で多くの方がおられるのは、埼玉県(福島原発からの避難者)と宮城県です
一方、仮設住宅の生活環境改善(建て付けが悪い、寒い、不便だなどの改善)が、課題になっています。各市町村と県が、取り組んでいます。