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少し古本を処分6

少し古本を処分5」の続きです。今日は、本や書類の処分ではなく、小物類の話です。職場を引き払ったので、職場で使っていた小物類を自宅に持ち帰りました。

まず、文房具です。万年筆とインク、ボールペンと替え芯、レターオープナー、文鎮、用箋など、お気に入りのものを置いてあります。銀座の伊東屋などを覗いては、気に入ったものをそろえました。礼状を書く際の便せん、絵はがき、封筒、切手、落款印なども。かつて職員にメモを渡す際に署名代わりに押していた(『明るい公務員講座』83ページ)、笛吹き中年の絵のはんこ(このホームページの表紙の絵。)もあります。

ほかに、お香と香炉、オードトワレ、湯飲み(これは友人に頂いた名匠の器)とコーヒーカップ(これもお気に入り)、歯ブラシ、散歩の際の運動靴なども。机の上に置いて戒めにしていた広目天の写真(2018年5月31日の日経新聞「あすへの話題」に書きました)や、壁に掛けていた絵もあります。
これらは、職場を変わる度に運んでいたのです。なので、箱詰めも簡単にできました。自宅書斎にも同じようなものがあるので、重複します。時間をかけて整理しましょう。絵はどうしますかね。壁は、ほかの絵や写真で埋まっています。

フリーアドレス(社員の座席が決まっていない職場。先日「フリーアドレス制の欠点」を書きました)だと、どうするのでしょう。パソコンで全ての業務が完結し、紙を使わないのなら、これら文房具の多くは不要でしょうが。お礼状を書いたり、メモを取ったりはしないのでしょうか。お気に入りのマウスパッドは使わないのかな。しなければならない仕事を付箋に書いて、モニターに貼っていた人は、やめたかな。

このホームページの分類では、「こだわりのモノ」に入れておきます。

IT人材、日本が安い

9月24日の日経新聞夕刊「富士通の海外体制「量から質」に 労働力高騰、AI活用の新戦略」から。

・・・富士通が海外でのシステム開発体制を見直している。IT(情報技術)技術者の人員拡大という規模を追う路線から、生成AI(人工知能)活用による生産性向上に軸足を移す。地政学リスクや海外人材コスト上昇など変化の激しい国際情勢をにらみ、量から質に重きを置く人材戦略に切り替えて旺盛なシステム需要に応えられるようにする。

富士通は2024年度、世界のシステム開発事業の運営で重視する「重要業績評価指標(KPI)」から人員数目標をなくした。富士通はインドやフィリピン、マレーシア、中国など世界7カ国でIT開発拠点を持ち、日本の拠点を含めた世界のシステム開発・運用保守の人材を25年度に22年度末比3割増の4万人とする数値を掲げていた。
背景の一つにあるのが、海外技術者の給与高騰だ。日本のIT業界は従来、コストの安い中国や東南アジアといった海外を示す「オフショア」に拠点を置き、開発や運用を委託してきた。
しかし、多くの国・地域でIT人材の給与が高まり、コスト面でのオフショア開発の利点を得にくくなっている。富士通でグローバルのシステム構築事業を担当する馬場俊介執行役員専務は、一般論と前置きした上で「5年後、10年後を見据えると、単純にコストの安い国・地域にどんどん案件を流せということではなくなってきている」と話す。

例えばインドだ。馬場氏は事業部長クラスなど熟練者に限ると「すでに日本の同等の人材よりも給与が高い」という。富士通では現在日本と海外7カ国含めたシステム構築人材が約3万人おり、うちインドが約8000人を占める。
人材サービスのヒューマンリソシア(東京・新宿)がまとめた調査(24年10月時点、ドルベース)によると、IT技術者の給与増減率の首位は、前年比10.2%増となったポーランド。インドも3.7%増と6位に入った。一方、日本は16.7%減と69カ国中59位となった。日本は円ベースでも給与が下がっており、低下傾向が世界でも際立つ・・・

経済原則では、安い労働力のところに企業が立地します。1990年代以降、日本の企業は安い労働力を求めてアジアに拠点を移しました。それが産業の空洞化を生みました。日本の労働力が安くなれば、外国人観光客だけでなく、工場なども日本に戻ってきませんかね。

元交付税課の会

昨日10月3日夜は、私が総務省交付税課長(2001~2004年、3年間)時代の同僚による、叙勲祝賀会でした。北海道、山形県、長野県、京都府、長崎県など各県から派遣されていた職員たちも、遠くからも参加してくれました。申し訳ない。

私は、自治省での仕事の出発が自治省財政課(1980~1983年、3年間)で、自治省交付税課長補佐(1990~1992年、2年9か月)、そして交付税課長を務めました。自治省と総務省での原局勤務のほとんどが、地方交付税担当でした。かつてはとても過酷な職場で、忙しい12月から1月、5月から6月は、深夜残業が当たり前でした。
自分も遅くまで残業し、部下にも「同等の勤務」を求めました。一方で部下の作業を減らし、職場を楽しくすることを考えました。作業手順書を作ったり、課内の雰囲気作りに努めました。職員に倒れられたら困るのは、課長補佐の私です。職員たちも助け合っていました。職員ごとに担当する費目(教育費、社会保障費、道路費など歳出分野)は異なるのですが、作業は同じなので、助け合って仕事ができるのです。

その後、富山県総務部長を経験し、「このような勤務慣行はいけない」と自覚して、良い管理職を目指しました。『明るい公務員講座』は、後にその時の勉強をまとめたものです。
交付税課長になったときは、良い管理職を実践しました。係員として担当分野の算定を行い、課長補佐で算定取りまとめを経験していたので、交付課の作業の全体を把握していましたから、自信を持って仕事ができました。また部下の仕事内容や難しい点も、把握していました。
算定作業は課長補佐が中心となるので「仕事は課長補佐に任せる。相談にはいつでも乗る」「課長は残業せず早く帰る」を実践しました。そして、渉外など課長しかできない仕事に精を出しました。原稿の執筆、東大での講義なども。
当時は三位一体の改革の前段階で、交付税算定の見直しが求められました。段階補正と事業費補正の縮小、留保財源率の引き上げなど、久しぶりの大きな改革を行いました。これらも、方向を示し、部下に任せました。

昨日の会合では、あまりに多くの人数なので、一人一人話すことができませんでした。全員に、当時の思い出と近況を語ってもらいました。「長時間労働で大変だったけど、楽しかった」「仕事を任せてもらえて、勉強になった」「国の課長はこんな仕事ぶりなのか驚いた」との発言がありました。「事前に聞いていた全勝課長の厳しさと、実際とは違った」「苦しかったことは忘れました」との発言も。
ありがとうございました。みんなのおかげで、楽しく充実した職業人を過ごすことができました。

東大大学院工学系、講義を英語化

9月22日の日経新聞に「東京大の大学院工学系研究科の講義英語化 「内なる国際化」に弾み」が載っていました。
・・・東京大学の大学院工学系研究科は今年度から講義を原則、英語で行うことにした。英語化により世界のライバルに伍する国際的な教育空間に近づく半面、教員は「教え方を学ぶ」ことも必要になる。他の有力大でも、同様の動きが徐々に広がる。

「英語化は当然やるべきだと思っていた。学生は英語が飛び交う環境に抵抗感がなくなる。海外に出ていくチャンスも広がる」。工学系研究科の加藤泰浩研究科長(工学部長)は、講義の英語化に踏み切った理由を熱っぽく語る。
加藤氏は1990年代、米ハーバード大で初めての在外研究を経験した。当時37歳。学部の卒論から博士論文まで全て英語で書いていたが、現地での会話に苦労した。「同じ思いを学生にさせたくない」と話す。
23年4月、研究科長に就任すると英語化の検討を始めた。ただ、講義の英語化は10年以上前から懸案として引き継がれていたという。

修士課程、博士課程で計約3900人いる学生の3分の1が留学生。講義の英語化は、アジア出身者が多い留学生の国籍の偏り是正にもつながると見る。政府が10兆円を投じた大学ファンドで支援する「国際卓越研究大学」への認定を東大が申請していることも考慮し、大学院は英語化に踏み切ることにした。
講義の英語化率は現状で7割強。目標は、これを9割に引き上げる。日本建築を扱う建築学などの分野や外部講師に配慮し、日本語で教える余地を残した。
この件を担当する津本浩平副研究科長によると、英語化は知識の更新が速くなっていることとも関係がある。
「最先端の研究成果は英語で発信され流通している。その流れがどんどん速くなり新しい言葉が出てきている」と津本氏。翻訳する時間はなく、日本人同士の会話も自然とほぼ英語になる。「英語を道具として使う必要性が一段と高まってきている。波に乗り遅れる理由の何割かは言語ではないかと思うこともある」

もう一つ、津本氏が挙げたのが隣国のトップ大学の状況だ。授業を交換している韓国ソウル大の教員や学生の英語力が近年、向上著しい。「ソウル大は相当議論して英語化を進めている。中国の清華大もそう。私たちも努力を加速していい」と話す・・・

私は先日、時事通信社の会員制評論誌「コメントライナー」に「英語が国語になる日」を書きました。明治初期の帝国大学では講義は英語でした。
その時と状況は異なりますが、世界で活躍するためには英語は必須なようです。

福井ひとし氏の公文書徘徊6

『アジア時報』10月号に、福井ひとし氏の連載「一片の冰心、玉壺にありや?―公文書界隈を徘徊する」第6回「王臣蹇蹇たり―「公文録」の時代」が載りました。ウェッブで読むことができます。

今回は物騒なことに、10人もの人を死なせてしまうのです。誰を、どのようにして? それは本文をお読みください。みなさんがご存じの有名人ばかりです。
ところで、公文書なので、決裁の過程ではんこが押されています。
19ページのはんこは、いかにも安物で、「ほんまにこんな政府幹部がこれを使ったの」と思います。「三文判」ですよね。本文にあるように、原本は焼失し、再生する際に三文判を使ったのでしょうか。
27ページのはんこは、個性が出ているようです。山縣は「有朋」としているし。大山も「巌」です。ひっくり返して押している人もいます。渋々押したのでしょうね。