岡本全勝 のすべての投稿

少数精鋭・やりがいのある仕事

発災以来1年の節目なので、連日、新聞やテレビが、特集を組んでいます。また、それにあわせて、復興・復旧事業が取り上げられています。ありがたいことです。いろいろご批判も頂いてはいますが。以下、記者さんとの会話です。

記者:霞ヶ関には、どれくらいの組織があるのですか。
全勝:大臣を戴いているのは、1府12省。それに加えて、私たち復興庁がある。霞ヶ関にいる国家公務員は、約4万人だと聞いたことがある。これが、いわゆる本省だね。
記者:復興庁には、何人いるのですか。
全勝:本省に160人、現在は民間から派遣してもらった人たちを入れて、約180人かな。出先に90人いる。
記者:え~。それだけで、毎日、あれだけ新聞に出ているのですか。
全:そうなんだよね。ありがたいことです。また、毎日がんばってくれている職員に、感謝しなければ。できれば、復旧が進んでいることも、伝えてほしいね。記事は、「進んでいない」ということばかりだから。
記:たしかに。それは、反省します。「進んでいる」では、記事にならないのですよ。でも、復興以外にも、大事な国政がありますよね。あとの3万9千人がやっている仕事が。
全:そのとおり。それを伝えることが、あなたたちの仕事ですよ。

政府の対応に対する評価

各紙が、復興に対する世論調査のアンケート結果を、載せています。いずれも、厳しい結果です。

3月12日の読売新聞
「政府のこれまでの対応を評価しますか」という問に対して。評価する:24%。評価しない:67%。
「原発事故に対する政府の対応を評価しますか」という問いに対して。評価する:12%。評価しない:80%。

3月13日の朝日新聞
「復興に対する、この1年間の政府の取組を評価しますか」という問いに対して。評価する:19%、評価しない:67%。
「仮に今、大震災のような大地震が起きたら、政府や自治体の対応に期待できると思いますか」という問いに対しては。期待できる:16%、期待できない:71%。
もっとも、「あなた自身の備えは十分ですか」という問に対して、「十分でない」が86%です。
すなわち、多くの人が、「自分でも準備をしない、自治体にも期待しない」ということです。これって、本心なのでしょうか。この通りなら、無常観ですよね。

日本のこれまで100年間の外交政策

フォーリン・アフェアーズ・リポート』3月号、ジェラルド・カーチス教授執筆「岐路にさしかかった日本の外交・安保政策」から。
・・・こと自国の外交政策に限っては、日本は19世紀後半から現在にいたるまで、非常に似たとらえ方をしてきた。 1868年の明治維新後に権力を掌握した指導者たちは、欧米列強が突きつける国の存亡に関わる脅威から国を守ろうと大戦略の構築に着手した。明治の指導者たちは、アメリカの指導者たちのように、自国の「明白な運命」を信じていたわけでもなければ、フランス人のように、自国の文化の美徳を世界に広めようとも考えてはいなかった。日本が直面し克服した課題は、「よりパワフルな大国が構築し、支配している国際システムでいかに生き残るか」にあった。
国際社会で生き残ることへの渇望が、いまも日本の外交政策を規定している。アメリカやその他の大国とは違って、日本が、国際アジェンダを規定し、特定のイデオロギーを標榜することで国益を模索することはない。この国は、外部の国際環境を所与のものとみなすことで、日本人が「時流」とよぶ国際的な流れに乗るために、現実的な調整を試みる。
第二次世界大戦以降、日本はそうしたプラグマティズムに導かれてアメリカと同盟関係を結び、これによって軍事的役割を防衛に限定できるようになった。しかしいまや中国が強大化し、北朝鮮は核開発を続け、しかも、アメリカは経済的苦境に陥っている。・・・
詳しくは、本文をお読みください。

NPOをつなぐNPO

NPOをつないで、支援するNPOがあります。NPOのネットワーク、プラットフォームと言ったらよいでしょうか。3県の「連携復興センター」です。
発災以来1年間、ボランティアには大きな活躍をしてもらいました。避難所での手伝いや泥かきなどです。1年経って、ボランティア活動に期待する業務の内容が、変わってきています。
今日12日の読売新聞社説「ボランティア 被災地に必要な息の長い支援」や昨日11日の毎日新聞社説「震災1年・未来のために 「NPO革命」を進めよう」をご覧ください。

次の段階では、被災地や避難所で、地元の人が中心になって、被災者へのサービスや街づくりを行う。それをNPOが支援することが、期待されます。外からの支援を受けるだけでなく、被災者が主役となって立ち上がることを支援するのです。そのNPOを支援し、行政や域外のNPO、企業とつなぐのが、これらNPOのネットワークです。概要は、たとえば「いわて連携復興センター設立趣意書」をご覧ください。
3県の連携復興センターが、共同で宣言を出しました。これらの活動を活発化させるためには、行政、企業、NPOなど各種団体からの情報や支援金などの協力が必要です。
それぞれのHPで、活動内容をご覧ください。「いわて連携復興センター」、「みやぎ連携復興センター」、「ふくしま連携復興センター」。
「岡本のHPで紹介せよ」と、関係者から指令を受けましたので、紹介します。

大震災一周年

今日は、大震災から1年です。国立劇場で、政府主催の追悼式がありました。天皇皇后両陛下がご出席され、遺族の代表、三権の長、国会議員、外国使節団、県や政令市の代表、民間の関係者、各省の幹部が出席しました。その後、一般の方の献花がありました。また、各地でも、追悼など記念行事が行われました。
改めて、亡くなられた方に追悼の意を表するとともに、ご遺族や避難をされている方にお見舞いを申し上げます。また、これまで支援や復旧に協力していただいた多くの方に、感謝を申し上げます。

大震災で失われたものは、たくさんあります。まず第一は、命です。家族や友人を亡くされた方、特に子どもさんを亡くされた方や、親を亡くした子どもたちの悲しみは、埋めることができません。子どもたちが立派に成人するよう、みんなで支援することが私たちの務めです。
次に失われたものは、家や財産。地域では、街並みや施設。そして各種のサービス。さらには、産業や雇用。その上に成り立っていた、暮らしと賑わいです。これらは、順次復旧中です。
これらの他にも、失われたものがあります。原発への信頼と科学者や技術者への信頼。政府への信頼。諸外国からの日本への信頼です(これは渡航制限や輸入制限となって現れています)。この回復は、先が長いです。

また、津波と地震の被災地では、復旧・復興に入っていますが、原発事故による避難区域は、まだ復旧に入れません。放射性物質を津波の水とたとえれば、まだ水が引いていないのです。
復興庁では、津波・地震被災地の復興と、原発事故からの復興という、2つの大きな課題に分けて、取り組んでいます。私たちも精一杯努力しますので、皆さんのご支援とご協力をお願いします。