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心を病む人

職場に、心を病む人がおられます。国家公務員に関する資料を、教えてもらいました。総務省が、平成22年6月にまとめた「福利厚生施策の在り方に関する研究会」の「報告書」です。
それによると、国民での精神・行動の障害者数は、15歳~59歳で、平成11年には1.37%であったものが、20年には2.25%になっています(報告書p9)。40歳代が多いです。
国家公務員にあっては、精神・行動の障害者は全職員のうち、平成8年には0.21%(1,050人)だったものが、平成20年には1.39%(3,922人)に急増しています。これは、一般職非現業国家公務員の70人に1人の割合になります(報告書p10)。年齢別では、30歳代が多いです。また、自殺者は、平成11年では138人、(10万人に対し17.1人)、平成19年では62人(同じく20.3人)です(母数になる国家公務員数が、民営化や独法化などで減っているので、このような比率になります)。
その原因が、仕事によるものか、家庭の事情か、それ以外の事由なのか、わかりません。いずれにしろ、大きな問題です。また、病気とまではいかないまでも、職場不適応の職員もいます。ご本人もつらいでしょうが、役所に限らず、管理職の人は悩んでおられると思います。

日本人の消費・モノから人のつながりへの変化

三浦展著『第四の消費―つながりを生み出す社会へ』(2012年、朝日新書)を読みました。大正元年(1212年)から現在までを、国民の消費という切り口から4つの時代に分けて、日本社会と国民の意識の変化を分析しています。
私は、日本の行政を考える際に、社会の変化が重要な要素であると考えています。家族、地域社会、消費、幸福感、勤労、ライフステージなど。当然のことながら、社会の課題によって行政の任務が変化するのです。『新地方自治入門』でも、そのような観点を取り入れ、三浦さんの著書も紹介しました。ウイキペディアの三浦さんの項でも、取り上げてもらっています。
私の問題意識や社会の見方に、三浦さんの考えと共通するところが多く、今回もいくつも納得しながら読みました。詳しくは本を読んでいただくとして、私が最も共感を覚えた点は次のことです。
すなわち、消費が、モノの消費から、人的サービスの消費に変化すること。そしてそれは金銭を払うことでサービスを受けるだけでなく、人間の関係を求める人が増えること。すなわち、豊かさがモノからつながりに変化すること(例えばp204)。これは拙著『新地方自治入門』の基本テーマでした。三浦さんの本は家族・個人の消費についてであり、私の本は地方自治体の課題についてです。
そしてそれは、消費が個人にとって、時間や人生の消費(消耗)ではなく、時間や人生の充実に変わることです。人生を浪費するのか、人生を満足するのかの違いです(p246)。地方行政にあっては、「住民が行政サービスを受ける客体から、参加する主体になることです。モノとサービスの20世紀から、関係と参加の21世紀へ」と、拙著(p346)では書きました。

そのほかに、なるほどと思うことが、たくさん書いてあります。例えば、16~24歳の若者が自動車運転で起こした死亡事故で、スピード違反が主因になったものが、1990年には1,600件あったのに、2009年には120件に減少しています。若者の車の使い方・かっこよさが、変化しています。
近過去や現代を扱った教科書・概説書が少ない中で、この本は重要な教科書だと思います。日本社会の変化にご関心ある方は、ぜひお読みください。

復興庁ホームページの作りかえ

復興庁のホームページが、日々増殖を続けています。復興本部の時代に立ち上げたものですが、担当者曰く「こんなに増えるとは思っていませんでした」。よって、いろいろ支障が出ているようです。
本格的な作りかえを検討していますが、まずは、表紙を整理してくれました。大括りや、その下の階層を再分類してくれたのです。かなり探しやすくなったと思います。ありがとう。

災害関連死の調査

今日、復興庁で「災害関連死に関する検討会」を開きました。東日本大震災から約1年間で、1,600人もの方が関連死しておられます。その原因を探り、対策を打つためです。高齢者の方が多く、発災後1か月以内に亡くなられた方が多いです。
復興庁だけではできないので、関係各府省さらには自治体の協力を得て行います。