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復興の加速

今日29日、官邸で復興推進会議を開きました。そこで、次のようなことを決めました。
1 5年間で19兆円としていた予算枠(財政フレーム)に6兆円追加し、25兆円とすること(資料1、後ろの方に図がついています)。
2 福島復興の体制を強化するため、福島に復興再生総局を置くこと(資料2)。
3 そのほか、10日に出た総理指示を踏まえ復興を加速する取り組みを行うこと(資料3)。
新政権になって1か月、総理指示から20日間で、これらをとりまとめることができました。年末年始や休日を返上して仕事をしてくれた職員、協力してくれた各省職員に、感謝します。
福島対応強化には、人事・組織の変更も含まれていて、その準備は結構大変でした。事柄の性格上、秘密で行う作業もあったので。
今日決まったことを、実行に移す必要があります。予算(平成24年度補正予算、25年度当初予算)の国会審議、組織の拡充と人事異動、関係法律案の作成など。これからが、大変です。

放射線量の低下

1月26日の日経新聞が、福島県内の放射線量を、事故直後からの変化を表にして示していました。震災前の平常時、2011年3月、9月、2012年3月、9月、そして2013年1月です。
それによると、例えば福島市では、震災前が0.04だったものが、2011年3月には24.24に跳ね上がりました(単位は毎時マイクロシーベルト)。その後減って、現在では0.41です。南相馬市では、平時0.05が、震災直後に2.46になり、現在では0.27です。いわき市では、平時0.05~0.06が、直後には1.32になりましたが、現在は0.09です。
毎日の数値を見ていても、この変化は気づきません。良い資料を載せてくれました。放射能は半減期があり、時間とともに減っていきます。もっとも、原発近辺で高濃度の地区は、このようには低下していません。

NPOが活用できる予算

復興庁では、NPOの活動を支援しています。平成24年度補正予算案に盛り込まれた事業で、NPOが利用できるものをとりまとめました。活用してください。
特によく使っていただいているのが、「震災等緊急雇用対応事業」です。被災者を雇って、仮設住宅の見回りなどに従事してもらっています。この基金も、現地での要望を受けて、積み増しして延長しました。ただし、これはまだ予算案なので、成立しないと使えません。ご注意ください。

科学者が、自ら失った信頼

原発事故によって、科学者や技術者への信頼が大きく損なわれました。1月24日の朝日新聞オピニオン欄、有本建男・政策研究大学院大学教授のインタビューから。
「なぜ信頼が失われたと思いますか」との問に対して。
・・原発事故に加えて、事故後の科学者や技術者のふるまいが大きかったと思います。危機のときは、専門家の知識や経験を総動員して対処すべきですが、その先頭に立つべき立場にあった人たちの言動からはその責任感が十分には感じられませんでした。
政府内から学会まで、科学者たちの組織も、積極的に動こうとせず、多くの人の目に触れたのは、テレビなどで個人的見解を披瀝するばかりの人たちでした。まっとうな専門家も大勢いたはずで、そうした人たちが事故に関する情報を得て冷静な議論をし、発信できたらよかったのですが。結局、個人の資質に加え、専門家の知恵をうまく動員する仕組みがなかったことが響きました。市民が一番必要としていたときに役割を果たせなかったのですから、信頼が失われて当然です・・
・・日々の生活から、環境・エネルギー問題、そして経済や外交に至るまで、社会活動の全般にわたって、科学技術は大きな影響を与えています。さまざまな政策決定に、専門知識を持った科学者や技術者の役割は本来、不可欠なはずです。
彼らが信頼されず、原子力規制委員会の人事をめぐる議論でもあったように、ともすれば排除の風潮すらあることは、社会にとって不幸であることはもちろん、日本という国自体が海外から「信頼できない国だ」とみなされるのではないか、と心配しています・・

「どうすれば良いか」との問に対して。
・・科学者とその集団の思考の枠組みや価値観を変えることです。相変わらず「論文か死か(publish or perish)」という古い価値観にとらわれている研究者が多い。社会や学問体系の中での自分たちの位置を明確に意識し、公共、公益についての深い思考が求められます・・研究者は研究だけしていればいい、というわけではないのです・・
・・社会や政治とつなぐ仕組みを築くことです。欧米諸国には、エネルギーから国土の安全、農業に至るまで国策全般にわたって、科学的根拠に基づいた選択肢を示し、それをもとに政治が判断する仕組みがあります。科学顧問を中心に専門家の知恵を集めて政府に助言し、政府は必ずしもそれに従わなくてもいいが、その場合は理由を明らかにする、といった手続きも決まっています。たとえば、ドイツの指針には、科学者が助言する場合の独立性、透明性の原則があります。さらに、政策助言における知識は学術的な知識を超えることが必要とあります。
欧米の議会には、科学や技術を評価する機関があります。原発事故をめぐって国会に初めて事故調査委員会ができましたが、これからは、国会にも科学技術をきちんと評価する役割が求められると思います・・
(それが)決定的に欠けていました。日本の科学や技術は大変立派だが、社会や行政、政治の中で生かすための仕組みが機能していないのではないか。日本の実情をよく知る外国人にいわれたことがあります。科学的な判断ができ、組織運営にも通じた実務家が日本では評価されていない、との指摘もあります・・
詳しくは、原文をお読みください。

日本の技術の実力

日経新聞1月26日朝刊「アルジェリア人質事件」の記事によれば、世界の液化天然ガス(LNG)の製造設備は、日揮と千代田化工建設の日本の2社を含め、4社で世界の8割を占めているとのことです。
同じく「温水洗浄便座の開発」の記事では、発売以来30年で、7割の家庭で使われているとのことです。あのウオッシュレットの中に、160個の部品が詰まっています。