岡本全勝 のすべての投稿

ものを拾う

職場で、ゴミや書類などが落ちていたら、あなたはどうしますか。
A 知らんふりをして、通り過ぎる。
B 部下に注意する。
C 黙って拾う。
我が職場は、民間ビルなので、清掃員が毎日掃除をしてくれます。それでも、クリップが良く落ちています。大臣室まで往復すると、3つくらいは貯まります。私が、下を向いて歩いているから、見つけるのでしょうかね(苦笑)。
今日は帰りの地下鉄で、定期券を拾いました。座った向かい側の座席に、手帳らしきものが落ちているのを見つけました。しばらく見ていましたが、左右に座っている人も、気がつかないようです。私が降りる駅が近づいたので、そばに行って「これは、あなたのですか」と聞き、誰も反応がないので、中を見たら定期券でした。駅員に届けましたが、落とした人は困っているでしょうね。
私もこれまで、いろんなものを落としたり、電車に忘れたりしたので、他人のことを言えた立場ではありません。万年筆、傘・・・。

都会の小鳥

今朝、出勤する時です。玄関で、キョーコさんが、「あれ」と空を指さします。見ると、電線に黄緑色の鮮やかなインコが2羽留まっています。「どこからか逃げてきたのかね。どうして生きていけるのだろう」と思いましたが、お向かいのベランダにある小鳥のえさ置きに飛んでいきました。
お向かいは、小鳥が好きで、果物などのえさを置いておられます。いろんな種類の鳥がやってきます。東京の住宅街なのですが。
我が家の椿は、まだつぼみです。花が咲くと、メジロが来ます。

言葉で伝わること


今日は、岡本真一郎著『言語の社会心理学―伝えたいことは伝わるのか』(2013年、中公新書)を紹介します。既に読んであったのですが、このホームページに書くのをサボっていました。先月、「目は口よりも、ものを言う」(1月17日)を書きました。その延長で見つけたのが、この本です。内容は、題名の通りです。次のような例が、紹介されています。あなたは、どのような場面の会話かわかりますか。

しおり:あなたはブタね。
めぐみ:そうよ、わたしはブタ。ブタは最高だよ。

高橋:うちの娘は男ですよ。
松村:そうですか。うちの娘も前は男だったんですが、今度は女です。

高橋:うちの孫は、おじいさんですよ。
松村:うちの孫は、おばあさんですよ。

種明かしはしません。本をお読みください。読むとわかりますが、これらの会話は、十分な日本語の会話です。きっと、「な~んだ」と思われるでしょう。
この本では、これらの「変な会話」から始まって、しゃべっていないのになぜ伝わるか、対人関係の基本、誤解はなぜ生まれるかなどが詳しく解説されています。素人にはやや冗長な部分もありますが、新書ですからすぐ読めます。そして、「普段、こんなことがあるよな」と納得されるでしょう。
でも、学者が専門的に分析するまでもなく、私たちって学校で習わなくても、これらのコミュニケーションを子どもの時から実践しているのです。すごいですね

シングルマザーの職業紹介

2月11日の朝日新聞に、「求む有能シングルマザー、東京杉並の職業紹介会社」という記事が載っていました。社会に埋もれた有能なシングルマザーを掘り起こして、企業の正社員にする。そんな会社を、5年前に一人の女性が始めました。社員5人だそうです。
私は、この記事を読んで、「なるほど」と思いました。シングルマザーは子どもさんを抱え、収入を得るために必死です。しかし、普通の職員採用では、はねられることもあると思います。でも、腰掛けやええ加減な意欲の人より、よく働かれるでしょう。有能な人も多いです。その人たちを斡旋する。とても効果的な職業紹介です。
これまでに、100を超える会社に紹介してきたとも、書かれています。ぜひ、これからも紹介を求める人からの登録と、斡旋がうまくいくことを期待します。
新卒一括採用、年功序列、終身雇用。これが日本の「標準的雇用」でした。しかし、そのコースを外れる人も多いです。子育てのために退社した女性。就職した会社が、合わなかった若者。会社の職員整理にあった職員。体を壊した職員などなど。そのほかにも50歳代や60歳代で途中退職した人や定年退職した人など、働きたい人はたくさんいます。その人たちの意欲と技能と経験を、生かしたいです。
日本には、まだまだ潜在的労働力がたくさんいます。それを活用しない手はありません。その人たちと職場をつなぐ。そのつなぎ手が必要なのです。これら「働きたい人」の斡旋業が出てくることを期待します。
これからの行政や商売のキーワードの一つは、「つなぐ」ですね。被災地のニーズと支援したい人や支援制度をつなぐ。働きたい人と求めている企業をつなぐ。人やお金はたくさんあるのですが、それが生かされていない。それをつなぐ。これまでの制度や常識を破って、新しい仕組みを考えるのは、両方の知識を持った人しかできません。

ソーシャルワーカーという仕事

宮本節子著『ソーシャルワーカーという仕事』(2013年、ちくまプリマー新書)を紹介します。「ソーシャルワーカー」という言葉は、皆さん聞かれたことがあると思います。でも、その仕事の内容を知っている人は、多くはないでしょう。私も、そうです。
カタカナであることが、まだ身近でないことを表しています。例えば「介護保険」という言葉の方が、後からできたと思いますが、こちらはほとんどの人が知っているでしょう。「ケア・マネージャー」となると、どうでしょうか。

宮本さんは、次のように書き出しておられます。
・・・私たちは、生まれてから死ぬまでの人生を歩む時、さまざまな幸せな出来事や不幸な出来事に遭遇します・・不幸せな時にはさまざまな手助けを得ながら持ち直して暮らしを立て直していきます。ソーシャルワーカーの仕事は、この”手助け”をすることです。つまり、この社会で生きていく中でのある種の生きづらさに遭遇してそれを緩和したい、よりよく生きていきたいと人が願う時、ソーシャルワーカーの出番がきます・・・
そして、次のような場合を挙げておられます。
・失業、疾病、老齢、障害等で、経済的に生活が立ちゆかなくなった時
・経済的には何とかなるが、疾病、老齢、障害等で、日常生活を過ごすことができなくなった時
・高齢となり身体やメンタルな介護が必要になった時
・離婚等で家族関係を再構築しなければならなくなった時
・保護者がいなくなったり、虐待をする不適切な保護者であったりする時
・学校に居づらくなったり、学校に行けなくなってしまった時
・配偶者から深刻な暴力を受けて生活を維持できなくなった時
・地域社会から孤立している時
・刑務所から出所したが生活の再建がうまくいかない時
「ひとの生活に介入し、個人と社会をつなぎ直す」とも、書いてあります。私のこのHPで書いている「社会関係リスク」の、「お医者さん」と言ってもよいでしょう。

この本では、著者の経験した実際のケースを元に、一人で暮らしていけない人を救うとはどういう仕事か、そして知識と技術と心が必要だということが、述べられています。かなり「厳しい」ケースが載っています。この職業が大変なものだとうことが、わかります。
プリマー新書は、中高生を対象とした新書のようですが、この人たちにわかるように書くのは、難しいです。だから、大人が読むと、わかりやすいです。