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組織の能力、2。仕事の仕方と社風

次に、仕事の仕方があります。上司からは明確な指示が出て、部下がそれに答えているか。指揮命令系統は、はっきりしているか。各人に与えられた目標は明確か、成果はきちんと評価されているか。
また、庶務がしっかりしているかどうかも、重要です。職員が仕事をしやすいように、パソコンや備品をそろえたり、出張旅費や福利厚生を素早くやってくれるかです。表からは見えにくいですが、「縁の下の力持ち」です
このほかに、「社風」とも言うべきものがあります。職員が新しい仕事に挑戦する雰囲気にあるか、会社がそれを許すか。自由闊達な雰囲気で、風通しがよいか。職員は、のびのびと仕事ができるか、それとも上司の顔色をうかがっているか。派閥で人事抗争を繰り返しているかなどなど。これは、最も目に見えない要素です。
同じように職員をそろえていても、良い上司がいて、良い雰囲気の職場だと、良い成果が出ます。その逆もあります。
このように、単に人数を集めただけではダメ、職員一人ひとりの質を向上させるだけでもダメなことが、わかってもらえるでしょう。組織の能力とは、職員の数と質の合計ではないのです。
さて、職員の人数は多い方が、そして職員の質は良い方が、上司としてはありがたいですが、常に満足できる水準とは限りません。ほとんどの場合は、不足している中で、やりくりを考えなければなりません。
他方、組織編成、明確な指揮命令系統や指示、職員にやる気を出させること、社風は、上司が努力すれば、かなりの部分は改善できます。そして、経験不足の職員を育てること、腐っている職員を再活性化することも、上司の仕事です。

組織の能力。職員の数と質、組織の編成

ずーっと考えていることに、「組織の能力は、何で決まるか」があります。それは、「組織の能力を向上させるには、どうしたらよいか」でもあります。
会社や官庁が良い成果を出すためには、責任者は「業務の管理」と「組織の管理」をしなければなりません。良い成果を出すために、「いつまでに、どのような成果を出すか。そのために何をするか」と、業務を管理する必要があります。しかし、それを支える組織がきちんと動かないと、成果は出ません。上司が指示を出しても、「笛吹けど踊らず」です。組織を管理する、すなわち組織を作り、その質を向上させる必要があるのです。
まずは、人数が必要です。仕事量に応じた職員数がないと、仕事はこなせません。
次に、その職員集団をどのように編成するかという、分割・編成論があります。製品や政策ごとに分けるのか、地域ごとに分けるのか。全体を、どのような「分野別」小集団に分けるかです。そのような分野別(縦割り、方面軍)とは別に、本社(参謀系、官房系)の組織があります。人事、会計、企画などです。これらは、縦割り小集団を側面から助け、統一を取る、横串になります。そして、この縦割りと横串を、どう組み合わせるかです。これらをうまく分別し、組み合わせないと、組織全体は能率良く動きません。
その次に、職員の質があります。能力のある職員とそうでない職員。また、その仕事に向いている職員と向いていない職員がいます。さらに、やる気(モラール)の差があります。能力があっても、腐っている職員では、良い結果が出ません。それぞれのポストにふさわしい人を配置する人事配置も、重要です。ここまでは、職員とその質の問題です。
この項、続く。

火と人間の関わり方

鎌田浩毅・京都大学教授が監修された『図説 火と人間の歴史』(S・パイン著、2014年、原書房)が、出版されました。
題名の通り、人間と火との関わりを、太古に遡って解説したものです。写真が多く、楽しめます。もっとも、内容は、かなり広く深いものです。これまでにない角度からの分析なので、勉強になります。
鎌田先生の最近の活躍ぶりは、先生のホームページをご覧ください。いつもながら、そのバイタリティに脱帽します。

経団連の法律改正働きかけ

2月10日の日経新聞「企業とルール」、阿部泰久・経団連経済基盤本部長の発言から。
「商法、会社法関連を中心にロビー活動をしているそうですね」という問に対して。
・・この分野の政策提言に力を入れ出したのは、1990年代後半だ。特定の企業に限られていたストックオプションの一般化や、原則禁止だった金庫株の解禁など、企業活動に柔軟性を持たせる施策を推進してきた。国際化に対応する企業ニーズに合わせた立法を速やかに進めるため、当初は議員立法の形が多く、条文作りも手がけた。
政策への影響力を認めてくれたのか、法務省も審議会に声をかけてくれるようになり、この10年は議員立法を利用していない。直近の会社法改正案の審議でも、法務省と直接意見交換して主張をほぼ受け入れてもらえた・・