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国会審議

今日5月23日は、参議院復興特別委員会で審議がありました。昨晩は、遅い議員では、19時50分に質問項目の通知があり、職員が議員会館に行って説明を受けたのが22時までかかりました。
私は、夕方から、順次できあがった答弁案を確認しましたが、最後の問が送られてきたのが、27時5分でした。う~ん、今日は眠かったです。
ある人曰く、「××党は、労働者(公務員)の味方じゃないなあ・・」。
審議では、寺田典城議員と、復興のあり方について議論しました。議員のご指名です。
一つは、「復興交付金」の効果です。これまでの災害では、元に戻すまでしか国費は出ませんでした。今回初めて、復旧だけでなく、復興までできる、この交付金を作ったのです。「もっと自由に使いたい」との声があることは承知していますが、国民の税金である以上、使用目的を決めなければ、説明責任が果たせません。
「一定額を渡しきりにすれば良い」という意見もありますが、各自治体ごとの金額をどのように決めるか、これは難問です。なお、別途、取り崩し型基金を渡してあり、これは自由に使えます。
もう一つは、人口減少下での、まちづくりです。これについては、住民の減少を反映して、高台移転やかさ上げの規模を見なおしています。また、女川町や岩沼市のように、コンパクトシティを目指している町もあります。
議員の指摘の一つは、「他の多くの自治体では、そこまでコンパクトにできていない」という指摘です。それは、事実です。復興の際に、多くの集落を一つに集約する方が、経済合理性に沿っているのですが、多くの町ではふるさとへの愛着があって、集約することができなかったのです。経済性か、住民の愛着か。難しいところです。
また、「過大な町や施設をつくると、後々の維持管理費が自治体の重荷になる」という指摘です。これは、その通りです。自治体と協議を重ねて、困らない規模にする必要があります。

公務員も安心しておられない、2

昨日の「公務員も安心しておられない」を読んだ方(複数)からの反応。
「ここには、40歳代が対象と書いてあります。私は50歳代ですが、もう遅いのでしょうか」
「公務員は職務専念義務があるので、現役の間は再就職先を探してはいけない、と聞いたことがあります。また、副業も禁止されています。第2の人生を、いつ設計したら良いのでしょうか」

無戸籍の人がたくさん生じている

「毎年、無戸籍になる人が500人以上いる」って、理解できますか。5月21日のNHKクローズアップ現代「戸籍のない子どもたち」が、取り上げています。「どうして、そんなことが」と思われるでしょうが、次のような理由だそうです。
・・背景には、DVや離婚の増加がある。夫の暴力から逃げ出し、居場所を知られるのを恐れて離婚もできずに歳月が経ち、新たなパートナーとの間に子供が生まれた場合、法律上は夫の子と推定され、夫の戸籍に入る。そのため、母親が出生届けを出せず、子どもが無戸籍になってしまうのだ。実の父親の戸籍に入れるには裁判所での手続きが必要だが、前夫が関与することを恐れて、断念する人が多い・・
すると、学校に通えない、正規職員になれない、運転免許が取れない、健康保険に入れない、携帯電話を買えない、銀行口座を持てないと、国民としての権利も持てず、普通の生活もできません。その苦労は、察するにあまりあります。
単に、届け出を忘れていたといった問題ではありません。しかも、その子どもには、何の責任もありません。何らかの対応が必要です。

さて次に、行政の立場から、考えてみましょう。
市町村役場の窓口も、困るでしょう。その人の戸籍や住民票を受け付ける規則はないのだと思います。どうするか。この人たちを救う仕組み=規則を変える必要があります。
それを、誰がするか。政治家の役割ですが、行政の役割でもあります。行政には、2つの役割があります。一つは決められた規則通りに運用することです。もう一つは、困っている人がいる場合に、その規則を変えることです。
それぞれの省庁や法律は、その時々の課題に対応するために作られました。国民を幸せにするためにです。しかし、時代が変わると、新たな課題が生まれてきます。あるいは、見落としていた課題も見つかります。戸籍制度も住民基本台帳も、国民にサービスを行き渡らせるために作ったものです(国家として国民を把握するためでもありますが)。ところが、NHKが取り上げたような事態は、想定していなかったのでしょう。
多くの役所は、「決められたことを実行する」ことで、精一杯です。「そう言われても、法律でこのように決められていますから・・」と。特に現場は、そのように教育されています。
これを解決する方法は、「困っている人のために規則を変えること」を任務とする役所を、作れば良いのです。私は、「国民生活省」をつくって、国民の困りごと一般を受け付け、制度改正を仕事とする役所を作れば、多くの課題は拾うことができると思います。もちろん、個別の課題解決は、それぞれの担当省や市町村役場で担ってもらいます
大きな課題が生じた場合、どのように解決するかの対応方法に、「そのための責任者を決める」「そのための組織を作る」ことも、効果的な対処方法です。大震災の際の、被災者生活支援本部や復興庁もその例です。

公務員も安心しておられない

国家公務員も、かつてのような「保障された人生」では、なくなりました。それは、大企業でも同じです。総務省人事恩給局が、40代の職員を対象に、自分の人生設計を考える研修をしています。その趣意書を、一部紹介します。
・・公的年金の支給開始年齢の引き上げによる再任用の義務化等に伴い、職業生活期間の長期化が想定される一方、能力・実績重視の強化、再就職あっせんの禁止等により従来と同様のキャリアパスを見通すことは困難となっている。
また、内外の社会経済情勢の変化、継続的な行政改革などの中で、中高年職員は長期にわたりモチベーションを維持しつつ、環境変化や役割変化に対応することが求められており、そのための能力開発等に自ら努めていくことが重要となっている。
更に、複線型の人事管理、早期退職募集制度等、自らのキャリア選択を前提とした制度の導入がなされていること、民間企業においても40 歳代以降の職員を対象とした自律的なキャリア・デザイン支援の取組を導入する例が増加していることを踏まえると、定年直前ではなく、早期の段階から職員が自らのライフプランについて考えることが必要となっている・・

野党の役割

毎日新聞5月2日論点「あるべき野党の姿は」、宇野重規先生の「世界と日本、見取り図示せ」から。
・・政党政治の祖国といえば英国だが、一朝一夕に仕組みができたわけではない。後に自由党と呼ばれるようになるホイッグ党が、名誉革命をへてウォルポール首相の下で内閣を形成するまでに、30年は経過している。単に与野党があるばかりでなく、政権交代を含めて責任ある政治の仕組みが定着するには、それほど時間を要する。
哲学者のヒュームが面白いことを言っている。重要なのはむしろトーリー党(後の保守党)であった、というのである。野党に転落した後、彼らは単に権力を奪回するだけでなく、野党として権力を批判することが英国の自由にとって重要であることを学んだ。各政党が、権力と自由の両方の視点をもつことが肝心だというのが、ヒュームの教訓である。
自民党が野党期間に何を学んだか、あるいは政権を失った民主党がいま何をしているのかは、ここでは論じない。肝心なのは、政権交代以前の与野党関係にはもう戻れないということだ・・