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復興への取り組み、大きな新聞記事。9

3月9日、朝日新聞は、5面で「仮設商店街、悩む移転」、37面で「福島産、実った自信。トマト・桃 企業、主力商品に採用」です。
読売新聞は、35面で「子育て・教育」、校庭に仮設住宅がある学校が76校あることを伝えています。また、震災孤児についても。38面では、「心の傷、増える不登校」でした。

復興への取り組み、大きな新聞記事。8

読売新聞は、郵送方式による世論調査結果を載せていました。回答は1900人です。
・・復興に関して気になること(複数回答)は、「被災者の暮らしぶり」70%と「復興予算の使い道」69%が、とくに高かった。国の復興予算が適切に使われてきたと思うかを聞くと、88%の人が「そうは思わない」と回答し、「適切に使われてきた」は10%にとどまった。復興予算を確保するために国民の負担を増やすことには「反対」が71%と、否定的な回答が多数を占めた。背景には復興予算の使い方に対する不信感があるようだ・・と、厳しい指摘です(1面と30面)。
また「仮設撤去1%届かず…被災3県、復興住宅遅れ」も、大きく解説しています。あわせて、仮設住宅に空き家が増えていること、集約化の難しさも指摘しています(1面と3面)。31面では、被災地での医療と被災者の健康を取り上げています。
他方で、NHKは、「福島の仮設住宅で空き室増加。孤立懸念」を伝えています。毎日新聞は、多くの紙面を使って、「介護の問題」や「鉄道道路の復旧」などを解説しています。

被災地の課題解決、新しい試み。報道

NHK朝の「サキドリ」は、「“被災地モデル”が日本を変える!?」でした。被災地は課題先進地であり、挑戦の場でもあります。概要はリンク先で読むことができます。
朝日新聞別刷りbeの「フロントランナー」は、藤沢烈さんの「人を結び、築く東北の未来」です。
復興に、コーディネーターはなぜ必要なのでしょうか」という問に対して。
・・復興には、生活再建や新産業の創造、まちづくりなど様々な課題があります。解決するには今まで以上に行政、企業、住民の連携が必要ですが、それぞれの論理があるので、なかなかうまくいかない。そのつなぎ役となり、知恵も絞って事業を効果的に進めていく存在が必要とされているのです。
最初は、役所にこういう仕組みを提案に行っても、なかなか理解されなかったのですが、今は、行政からも企業からも、こなしきれないくらい依頼が来ます。復興支援チームの人件費などは彼らの事業費で賄っています。復興庁も私たちのような人材の必要性を感じて事業に採り入れています・・
烈さんは「サキドリ」にも出演、大忙し。
このように報道が取り上げてくれると、これら新しい試みが社会に認知されます。ありがとうございます。

復興支援、新しいかたち

今回の大震災では、企業やNPOが、復興の支援をしてくださっています。それも、義援金や物資の提供に終わらず、復興過程での「新しい支援」です。
日経グローカル」3月2日号が、「人材育成や起業、NPO・企業が連携」という特集を組んでいます。例えば、女川町の水産加工従業員らを、大企業に短期間受け入れてもらって研修を受けている例。これは、NPO「アスヘノキボウ」が、経済同友会や企業の協力を得て行っています。民間の職員だけでなく、役場職員も参加して、マネージメントやマーケティングを学んでいます。そのほか、具体事例がたくさん載っています。
「新しい支援」と言ったのは、「従来の支援」=物や金の支援ではないことです。人によるノウハウの提供や、問題解決への参加です。これは、「従来の支援」とは違い、難しいです。まず、どこで何が問題になっているかを知る必要があります。そして、誰が何を提供できるか、それを探す必要があります。そして、受け入れ側の信頼が必要であり、継続が必要です。
支援するものが、モノから人・ノウハウへ変化しています。そして、「渡せば終わり」から「引き続き参画すること」への転換です。かつて拙著『新地方自治入門』で、地方自治のあり方の変化を「モノとサービスの20世紀から、関係と参加の21世紀へです」と表現しました。それに通じます(同じことを言い続けていると言うことですね。苦笑)。

イラク行政官への講義

昨日3月6日、JICAの依頼で、イラク政府の行政官に、東日本大震災での経験を講義しました。
去年6月にあのISILが侵攻して以来、イラク国内での避難民が250万人に上るそうです。今回、国内避難民担当の行政官12人(中央政府、地方政府職員)を日本に招き、震災復興現場の視察や意見交換をします。そのトップバッターとして、私が大震災での経験をお話ししました。
アラブの人に話をするのは、初めてです。イラクでは、地震はあるとのことですが、砂漠の民に津波が理解されるか不安でした。また、津波や原発事故からの避難と、戦闘による難民では、条件が大きく違います。こちらはプレハブ仮設住宅ですが、向こうではテント住まいです。さらに、アラビア語に通訳してもらうので、「伝導率」はかなり低くなると想定しました。
そこで、資料は2部構成。第1部は写真と図表集です。津波と被害、体育館への避難、仮設住宅での暮らし、公営住宅建設や高台移転など。各ページに簡単な解説をつけて、それを事前にアラビア語に翻訳しておいてもらいました。第2部は、日本語と数字によるまとめ。これも、事前に翻訳しておいてもらいました。行政官の視察ですから、写真だけでは報告書は書けないと思い、サービスしました。また、肝心なことは文書にしておかないと、通じないし、覚えて帰ってもらえませんからね。
通訳が入るのですが、英語と違い、私の話のどこまでが翻訳されているのか、それすらわかりません。なるべく文章を短く切って、写真や図を指さしながら、話しました。記念に、アラビア語訳した私の資料をもらってきましたが、????です。もちろん、彼らにとっての日本語も、同じですわね。アラビア語が、右から書くのがよくわかりました。ところが、文中に出てくる数字(アラビア数字)は、左から書くのです。
質疑応答は熱が入り、2時間のところ、延長して2時間半かかりました。「各地に避難した住民をどのように把握したか」「行政サービスをどのように提供しているか」など、これは絶対聞かれると思って話したのですが、さらに詳しく聞かれました。
「仮設住宅での一人暮らしが問題だ。特に中年男性が引きこもる」と話したら、笑いながら「そのような発言は、差別にならないのか」と指摘されました。「いや、これは日本社会全体の問題なんだ」と、理解を求めました。「イラクではどうか」と逆質問したかったのですが、時間がなかったので。
「犯罪は多発しなかったのか」については、「日本では暴動や略奪が起きなかった。世界でも珍しい。逆に助け合いの精神が広がった」と自慢して答えました。通訳が「ほんと、コンビニにみんな並んで待つのですから。びっくりしました」と言ったので、「あんたの経験を踏まえて、話してくれ」とお願いしました。
2時間半の講義で疲れ、職場に帰ってきたら、たくさんの仕事が待ち受けていて、昨日はへとへとだったのです。