ワープロソフト「一太郎」

私は日本語ワードプロセッサは、「一太郎」を使っています。市場では圧倒的に、「ワード」が売れているようですが。なんと言っても、日本語で文章を書く際の使い勝手が違います。その日本語入力システム「ATOK」は、単体でも売れているのだそうです。日経BizGate10月12日「日本語入力の先駆者で独走者「ATOK」強さの理由

・・・誰もがパソコンを日本語で扱える、現在のような仕組みをつくるうえで、最大級の貢献を果たした企業の1つがジャストシステムだ。ワープロソフト「一太郎」、その心臓部といえる日本語入力システム「ATOK(エイトック)」は国産ソフトウエアの宝物。ATOKは今や空気のように当たり前の存在として多くの電子機器やサービスに溶け込んでいる。

首都圏に偏りがちだったIT(情報技術)ベンチャーの時代にあって、徳島市での創業は伝説的だ。同社が異色だったのは、創業の地だけではない。日本語入力という、必須の領域で独創性を示した。当初は日本語でじかに文字を打ち込めず、プログラマーに閉じた「箱」だったコンピューター。日本人が考えるままに文字を打てるようになったのは、同社のおかげと言っても大きな間違いではないだろう。

パソコンのハード性能がまだ高くない頃から日本語入力に取り組み始めた。浮川和宣・初子夫妻が1979年に創業し、85年に一太郎の前身ソフトを発売した。パソコンOS(基本ソフト)の「ウィンドウズ95」が登場し、パソコンが一気に普及し始めるのは10年後の95年。つまり、ジャストシステムは日本にパソコンが根付く前から日本語入力の下地を整え始めていたことになる。

89年にはATOKを単体製品として売り出した。一太郎以外のソフトでもATOKの日本語変換機能を使えるようになり、格段に入力が楽になった。多くのユーザーが日本語入力ソフトの役割を意識するようになったのはこの時期からだろう。「黒子」のような存在だった日本語入力システムが表に出た格好だ。

ATOKのなめらかな変換は文章をつづる際のストレスを減らし、効率を高めた。ビジネス文書が手書きから打ち文字に切り替わるにあたって、その貢献は絶大だった。2023年2月の大規模バージョンアップでは入力傾向に応じて変換をパーソナライズし、使い込むほどに変換精度が高まる機能を盛り込んだ。「開発当初から打ち間違いの補正や、推論、学習などのテクノロジーを注ぎ込んで変換効率を高め続けてきた。ATOKの歴史はバージョンアップの積み重ね」と、同社ソリューションストラテジー事業部 企画開発グループ 國貞暁セクションリーダーは軌跡を振り返る。

今日に至るATOKへの高い評価は、変換効率の良さによるところが大きい。当時はワープロソフト「松」を開発した管理工学研究所や、日本語入力ソフト「MS-IME」をウィンドウズOSに付属させた日本マイクロソフトなどとの競合関係があった。とりわけ、MS-IMEはOS付属なので追加費用が無料で手ごわい存在となった。しかし、競合ソフトの出現後もATOKはユーザー層を失うことなく支持を得ている。有償ソフトを購入してでもユーザーが使い続けた最大の理由は違いが実感できる変換効率の高さだろう。

ATOKの変換効率を支えてきたのは、ソフトを鍛え直し続ける社内の仕組みだ。1992年に発足した「ATOK監修委員会」は象徴的な取り組み。文筆家や国語学者、言語学者、教育者などを集めた有識者の集まりで、初期の座長は膨大な書籍を集めたことでも有名な紀田順一郎氏が務めた。書誌研究者でもある紀田氏は当時の日本語入力ソフトへの不満をしばしば発言していたが、そうした当時の機能やありようへの批判から目をそむけず、むしろ進んで議論の場を用意した「カイゼン」がATOKの足腰を強くした・・・

毎年同じことを講義した教授

読売新聞連載「時代の証言者」化学者の岡武史さん、11月23日に次のような文章があります。こんな時代があったのですね。それとも、自分で勉強せよという時代だったのでしょうか。

・・・1951年春に東大に入り、最初の2年間は駒場キャンパス(東京都目黒区)での教養課程です。これはよかった。まだ有名になっていない、新進気鋭の先生方が素晴らしいんです。好きな数学はもちろん、近代経済学なども、ズバズバッとよく分かる講義でした。
ところが、理学部化学科へ進み、本郷キャンパス(文京区)で講義を受け始めたら、全く面白くない。化学教室の先生方はもう堕落しててね。ある先生なんか、1学年上の人から貸してもらったノートと、話すことが冗談まで一言一句同じ。何十年一日のごとく、毎年同じものを読み上げていたのでしょう。偉い先生はとにかく威張ってばかり。

ちょうど学外の活動で忙しくなったこともあって、大学へ行くのは、学生同士で自主的に専門書や論文などを読む輪講くらいになりました。朝4時に起きて自習した後、8時から10時頃まで輪講をして、偉い先生方が講義室へ来る時間になると、僕は大学から逃げ出していました・・・

クラウドファンディング

クラウドファンディングという言葉を、よく聞くようになりました。上野の科学博物館が実施したところ、1億円の予定に9億円集まったとか。ところで、クラウドファンディングという言葉は、分かったようでよく分からないので、調べました。

クラウド(群衆)とファンディング(資金調達)組み合わせた言葉とのことです。ウィキペディアによると、「多数の人による少額の資金が他の人々や組織に財源の提供や協力などを行うことを意味する」。
インターネットで使われるクラウドは雲ですが、こちらは群衆なのですね。

さらに、「クラウドファンディングという言葉はカタカナ語としては新しい言葉ではあるが、後述の通り古くから使われている言葉である。また、全く同じ意味としてロシア語由来のカンパという言葉もある」
なるほど。それなら、募金と言えばよいのに。あるいは特定目的募金でですかね。
(追記)
読者から、「群集型資金構築」ではどうかという提案がありました。

次のような説明もあります。
「クラウドファンディングは資金提供者に対するリターン(見返り)の形態によって下記の3類型に大別される。
・金銭的リターンのない「寄付型」
・金銭リターンが伴う「投資型」
・プロジェクトが提供する何らかの権利や物品を購入することで支援を行う「購入型」」

商品だけでなく、事物にもカタカナの名前を付けて新奇性を売ることが多いです。でも、内容を理解してもらい、長く覚えてもらうなら、従来からある日本語を使うとか、それを改変して新語を造るべきでしょう。このような言葉は関係者がつくりますが、それをそのまま使う報道機関に責任があると思います。

ネクタイの補修

気に入ったネクタイはよく使うので、痛んできます。まず、大剣の3つの角がすり切れてきます。これは、補修(少し内に折りこむこと)で隠れます。
もう一つは、結び目が顎の脂で汚れてきます。クリーニングに出すのですが、何度か洗うと生地が傷みます。目につくところなので、どうしようもありません。いよいよあきらめて捨てれば良いのですが、思い入れがあって。

修理をやってくれていた近所のクリーニング屋がなくなって、やってくれる店を探しました。孫と散歩に行く途中にあることを発見し、現物を持って相談にいきました。
結び目の傷みは、全体の長さを縮めることで、正面に来なくなって見えなくなります。なるほど。ヨーロッパ製のネクタイは長くて困ることがあるのですが、このようなときは都合が良いです。多くのネクタイは、途中で生地を継いであります。そこを切って縮めるのだそうです。
できあがったネクタイを締めると、問題なかったです。