オールド・ボーイズ・ネットワーク

7月4日の日経新聞女性欄に「男性向き合う「閉鎖的人脈」」が載っていました。

・・・女性のキャリアアップを阻む壁の1つとして指摘されるのが「オールド・ボーイズ・ネットワーク(OBN)」。男性中心の組織が作り上げてきた独特の仕事の進め方や人間関係を指す言葉だ。近年はイノベーションを阻むものとしても見直す機運が高まっている。男性が中心となりこのOBNを考えたり、他の人に知らせたりする取り組みも広がってきた。

「女性活躍推進の阻害要因となっているのは大きく3つ。1つめが将来像が見えないこと、2つめは仕事と家事・育児の両立。そして実は1番大きい壁が、オールド・ボーイズ・ネットワークです」。企業の女性活躍を支援するJ-Win(東京・千代田)会長理事の内永ゆか子さんは6月上旬、会場とオンラインで集まった70人ほどの男性の前で協調した。
OBNとは、男性同士の独特の文化や目に見えない約束事、人間関係のこと。海外発祥の言葉で、その閉鎖性から米国などでも女性の活躍を阻む要因といわれてきた。国内では例えば「男性同士の雑談やコネ・人脈で物事が進む」「たばこ部屋・飲み会・ゴルフでの話が決定事項になる」といったことがあげられる・・・

人事院の初任行政研修講師2

今日14日は、人事院の初任行政研修その2に行ってきました。先週4日に基調講義をした初任行政研修です。
90人の研修生たちが15班に別れて、与えられた課題を議論し、発表します。指導教官は、私のほかに2人。それぞれ5班ずつを指導します。後の二人は、被災者支援本部で一緒に苦労してくれた、福井仁史君と、辻恭介君にお願いしました。私たちは研修所(別々の部屋)ですが、研修生たちは新型コロナ対策で自宅や職場からのオンライン参加です。

各班ともよく調べてあって、論点の整理、資料の作成、発表も良くできていました。とても、入省して4か月目の新人たちとは思えない出来でした。各課題とも、正解のない問題です。他省庁の職員と集まって、議論をして、一定の結論を出す。それがこの研修の狙いです。成功でした。

霞が関、増える業務、増えない人員

7月1日の朝日新聞連載「2022参院選」「きしむ霞が関 増える業務・増えぬ人員、180人で7400船舶事業者カバー」から。
・・・観光船業者へのずさんな監査や基幹統計の不正――。国土交通省で相次いだ問題の背景にあるのが「人」の「不足」だ。現職官僚からは「ブラック霞が関の悪い部分が表れた」との声も漏れる。省庁のきしみは市民生活にも響きかねないが、選挙戦ではあまり語られない。識者は、官僚のあり方について「候補者はスタンスを明らかにして」と訴えている・・・

・・・4月に起きた北海道・知床半島沖の観光船「KAZU1(カズワン)」沈没事故では、乗客・乗員計26人のうち14人が死亡、12人が行方不明になっている。
事故をめぐっては、運航会社の安全管理のずさんさが明らかになったが、あわせて浮き彫りになったのは国交省側の監督の甘さだった。同省は昨年、運航会社に特別監査に入り、その後は改善の事後確認まで行っていたが、今回の事故後、改善されたはずの点を含め、17件もの安全管理規程違反が判明した。
国会では「国の確認がずさんだ」との声が相次ぎ、斉藤鉄夫国交相は「確認や指導が十分にできていなかったと認識している」、岸田文雄首相も「国交省として責任を十分に果たしていなかった」と認めた。

背景に見えてきたのは仕事量が膨らむ一方で人員は減らされてきた現場の厳しい実態だった。観光船の監査などを担う同省の「運航労務監理官」は2005年、安全担当の「運航監理官」と労働担当の「船員労務官」を統合してできた。「公務員の定数削減が求められる中で人減らしの側面があった」(同省幹部)とされ、1人が担う仕事が一気に増えた。
以降も業務量は増え続け、ここ数年に限って見ても、技能実習生の保護(17年)、飲酒規制の強化(19年)、働き方改革に向けた労働時間の管理強化(今年)などが加わっている。
一方で人員はここ10年で微減。今は180人で旅客船・貨物船計約7400事業者をカバーし、船員約7万6千人の労働にまで目を光らせる。北海道内に限れば16人で、カズワンの運航会社がある道東の広大なエリアの約70事業者をカバーするのは、わずか2人だ。
事故を受け、業務量はさらに膨らむ見通しだが、人員が手当てされるかどうかは、あくまで「政治の判断次第」(同省幹部)という・・・

市町村アカデミーで講義

今日7月13日は、市町村アカデミーで講義をしました。「管理職を目指すステップアップ講座」のうち、「目標設定と職場のマネジメント」の科目です。この研修とこの科目は従来からやっているのですが、今回、担当教授から「この科目を学長がしゃべれ」との指示がありました。

この研修は「人材育成・人事管理の在り方、行政経営、リスクマネジメント等に関する講義、演習等により、管理職(所属長)になった場合に求められる能力の向上を目指します。今後、管理職(所属長相当職)として活躍が期待される課長補佐等の職員を対象とします」ものです。いくつか実施している管理職研修の一つです。

管理職に必要な能力については、いろいろ話したいとがあります。今回は2コマ分(2時間半)あったので、かなり話すことができました。いつものように、私の体験談(失敗談)を豊富に織り込みました。骨子には要点を書いて重要なことは覚えてもらうようにしました。みなさん、千葉まで研修に来られるだけあって、熱心に聞いてくださいました。
参考。このホームページに書いている「明るい課長講座」。

維新の会で見える自民党の今後の道

7月12日の朝日新聞オピニオン欄に、砂原庸介・神戸大教授の「維新の立ち位置 自民の動向が左右」が載っていました。日本維新の会を分析したものですが、自民党の今後の道を示した解説と私は読みました。

・・・55年体制下の自民は、右派で、かつ公共事業を通じた生活保障を重視する政党と見なされていたと思います。しかし現在の自民の中核支持層は、政治的には右派で、経済的には将来への投資を重視する。維新の支持層もここに重なります。取り合う支持層を見る限り、維新の競争相手は立憲民主よりも自民です。

維新が自民との対立軸を作ろうとしたら、まず経済の軸でしょう。リーダー層の政治的イデオロギーは自民に近いからです。経済の軸とは、人々のニーズを細かく分けて生活保障を重視するか、ざっくりと社会的投資を重視するかという対立です。維新は、岸田文雄政権は改革が足りないと批判しますが、自民との違いを明確にするために、自民が昔の生活保障重視に戻ったという印象を与える戦略でもあるのでしょう。

しかし、自民がこの先、以前のような政党に戻るとは考えにくい。生活保障を手厚くするといっても、公共事業を以前のようにはできません。農業や自営業者の支持基盤も細っている。かつて「抵抗勢力」が守っていたような利益を維持すると言っても支持は得られません。

いま自民には、世襲でスキルが比較的高い若手議員がかなりいます。この層の政治姿勢は極めて維新に近い。右派で将来への投資を重視し、社会を変えることに関心を持っている。党内で世代交代が進んでこの層が多数派になり、「改革」を進めていけば、立ち位置が重なる維新は国政での居場所を失い、「大阪の政党」に戻るかもしれません・・・