国による自治体への計画策定義務づけ

全国知事会の地方分権改革の推進に向けた研究会に、興味深い資料があります。国による計画策定の義務づけについてです。資料1の20ページです。
平成4年(1992年)の157件から、令和元年(2019年)の390件まで、230も増えています。

1 どのような分野で、どのような計画づくりが増えたのか。分析が欲しいです。それによって、近年の行政が取り組んでいる分野が分かります。

2 知事会が問題にしているのは、これら増えている計画づくりが義務ではなく、任意だということです。義務づけは、自治体の自由を拘束するとして、問題としました。だから、任意が増えたのでしょう。
では、任意なら良いか。表面的にはそう見えます。ところが、
・計画づくりが、国庫補助金交付などの要件とされているのです。補助金が欲しければ、計画を作らざるを得ません。
・たぶん自治体では、「法律に規定され、他の自治体も作っているのに、我が市では作らないのか」と聞かれると、右にならえで、作らざるを得なくなることもあるのでしょうね。
計画を作ったかどうかは、国のホームページで公表される場合もあるそうです。

3 390件もあると、首長も職員も、全体像を把握できないでしょうね。もちろん、1市町村が、390全ての対象に該当するわけではありませんが。町村役場では、職員数も少なく、一人あたりどれくらいの計画を担当しているのでしょうか。

4 その計画を作るのに、市町村ではどれくらいの労力が費やされているのでしょうか。時に指摘されるのが、コンサルタント会社への委託(丸投げ)です。小さな町村では、こんなにたくさんつくることはできないでしょう。

各府省の役人は、それぞれの分野で「良かれ」と思って、このような法律や計画づくりを考えたのでしょうが、全体をまとめると、とんでもないことになっています。
自治体も、きっぱりと「我が町は、この計画は不要です」と拒否できれば良いのですが。

あの日から9年、3月11日

今日は、3月11日。あの日から9年が経ちます。コロナウイルスを考慮して、政府主催や各地の慰霊祭は、縮小や取りやめになったようです。

新聞各紙が、先週から特集を組んでいます。どこまで復興が進んだか、課題は何かを、大きな紙面を使って報道してくれます。役所が知らないことも、拾って取り上げてくれます。ありがたいことです。

このホームページでも報告しているように、地震津波被災地ではほぼ復興工事は終わり、その面では10年の復興期間に事業は終わります。課題は、産業の再建やコミュニティの再建です。

原発被災地は、状況が全く違います。放射線量が高く、まだ避難指示が解除されていない地域もあります。避難指示解除は順次進んでいますが、住民は戻っていませんし、戻らないと決めた住民も多いです。
世界でも初めての課題に取り組んでいます。この難しい課題に、継続して取り組む必要があります。

産業復興支援の難しさ

3月9日の日経新聞地域面が、「被災前に戻す 難しさ露呈 東日本復興 公的支援に制約」を解説していました。大震災後、公費支援を受けて再開した企業が経営に苦しんだり、場合によっては経営破綻する例があります。記事では、公費支援の制度の限界を指摘しています。

また、これまでの復興予算の使い道が、円グラフで示されています。うち、4割、12兆円がインフラ再建で、産業再生は4兆円、被災者支援は2兆円です。ソフト事業の予算は、少ないのです。

産業再生や被災者支援(特に、孤立防止や、コミュニティ再生などつながりの維持)は、東日本大震災で始めて国が取り組んだものです。
それまでの災害復旧は、主に公共施設の復旧だったのです。それだけでは、町のにぎわいは復興しないことから、産業再生やコミュニティ再生に取り組みました。産業再生は企業主の責任との考えで、国費の補助はありませんでした。低利融資だけです。
今回初めて、国庫補助制度を作りました。
図表「まちのにぎわいの復興に必要な3つの要素」。「簡単版、復興がつくった新しい行政

同じく9日には、朝日新聞オピニオン欄で、東野真和・編集委員が「震災9年、真の復興とは ハード整備着々、産業創造は道半ば」を書いておられました。

今後、これらの政策を、今回の経験を踏まえて改良していくことが、国や自治体の責務です。

総理官邸で復興推進会議

今日3月10日朝、総理官邸で、復興推進会議を開催しました。総理を議長とし、全閣僚が参加します。
節目節目に開催するほか、毎年3月11日前後に、復興の進捗と課題を報告し、今後の取組を確認します。閣僚や国民に報告し、認識を持ってもらう意味があります。このように、定期的に開催することに、意義があります。

他の災害復旧や大きな政策にあって、このような「仕掛け」をしたものは、少ないと思います。政策を継続的に進めるためには、このような仕掛けは重要です。単発で目立つ政策を打ち出したり、行事を開催したりしてもダメなのです。仕掛けの例「国と地方の協議の場

提出する資料も、なるべく簡潔にして、わかりやすくしてあります。より詳しく知りたい人は、復興庁のホームページを見てもらいます。このような工夫も重要です。マスコミに働きかけたり、取材を受けて、報道してもらうことも必要です。
残念ながら、合同開催している「原子力災害対策本部」は、事務局のホームページもなく(会議の記録と連絡先だだけ載っています)、資料集もありません。

お客様は誰ですか。店頭の英語表記

「R、L、LL」って、何か分かりますか。先日紹介した、東京駅のコーヒー屋の店頭に掲げられています。
Regular、 Large、 LargeLargeの略なのでしょうか。それなら、大、中、小と表記すれば分かりやすいのに。私は、いつも「小さいので」と頼みます。

お店のホームページでは、S、M、Lと表記されています。
R L LLって、中学や高校で習うのかなあ。S、M、Lはいつの間にか覚えましたが。お客さんに分かりやすい表記をして欲しいです。

インターネットで、お店に意見を言うことができるので、次のように伝えました。
「いつもおいしいコーヒーをありがとうございます。店頭に「R、L、LL」との表示があります。Regular、 Large、 LargeLargeの略なのでしょうが。多くの日本人、特に高齢者や、アジアの人には、わかりにくいです。「大、中、小」という表記では、ダメなのでしょうか。様々な人が利用するお店です。まずは日本語で表記してください。」

すると、次のような返事が来ました。
「このたびは、弊社ホームページに貴重なご意見をいただきありがとうございます。
いただきましたご意見につきましては、関係部署に申し伝えまして今後の店舗運営の参考とさせていただきたく存じます。」

さて、どう改善されますかね。
参考「日本語の中のアルファベット