官民協働施策、神戸市の認知症事故対策2

官民協働施策、神戸市の認知症事故対策」の続きです。

今回この施策を取り上げたのは、
1 神戸市が考えた新しい施策を、皆さんに紹介するとともに(たぶん他の自治体にも広がると思います)
2 表題につけたように、行政と民間企業との協働施策として、お話ししたかったのです。認知症事故対策といえば、普通は行政の仕事と想像します。しかし、今回は行政の役割と企業の役割を、うまく組み合わせたのです。

例えば、保険で官民が協働している代表例は、自動車損害賠償責任保険制度です。
法律により、車の所有者に加入が義務づけられている強制保険ですが、所有者が入るのは民間の保険会社の保険です。ひき逃げ事故や無保険車で、被害者が損害賠償を受けることができない場合は、政府が損害額を被害者に支払う仕組みになっています。
よく考えられた仕組みです。

年金制度は、かつて国の社会保険庁が運営していましたが、ずさんな管理で「消えた年金」が大問題になりました。社会保険庁は取り潰しになり、日本年金機構になりました。
年金制度も、自賠責と同様に法律で義務付けして、運営は保険会社に任せておけば、そんな問題は生じなかったと思うのですが。なにか不都合があるのでしょうか。

創造性の対語は生産性

11月22日の日経新聞「やさしい経済教室」、鷲田祐一・一橋大学教授の「経営とデザイン」から。

・・・人工知能が普及し、複雑な意思決定も機械に任せられる未来が来るとすれば、人間は何をすべきでしょうか。漫然とベーシックインカムを受け取って怠惰な生活を送るような未来を望む人は少数派でしょう。空いた時間や手間を使い、創造的なことをして人生を豊かなものにしたいと考える人のほうが多いと思います。では創造的とはどのようなことを指すのでしょうか。

英語では創造性の対語は生産性です。日本企業は生産性が低いことが大きな課題になっており、政府は働き方改革などによって改善を促しています。数字の上では単位あたりの労働量を減らせば生産性は向上します。しかし、日本企業に今最も求められているのは、創造性の発揮によってもたらされる生産性の向上でしょう。

生産性の算出式を簡単に言えば、分母が労働量、分子が付加価値ですが、分母を減らそうと四苦八苦するよりも、分子を拡大することにもっと力を注ぐべきだということです。そして、分子の付加価値を拡大する有力な方法が創造性の発揮です。創造性と生産性は相反するものではなく、等式の右辺と左辺のような関係と見ることができます・・・

道長が眺めた満月

新聞などで報道されていたので、知りました。
昨日11月23日の満月が、藤原道長が「この世をば わが世とぞ思ふ望月の 欠けたることもなしと思へば」と詠んでから、ちょうど千年後の満月だったのです。

22日夜は帰宅途中でお月さんを見たのですが、夕べ23日は忘れていました。今日24日は、福島から帰ってくる新幹線の窓から、東の空に大きな満月(に近い月)を見ることができました。

1018年、想像を絶する昔ですね。よくまあ、記録が残っているものです。
千年の間に、あのお月さんは、何回満ち欠けを繰り返したのでしょう。何人の人が、悲しみの涙目で、お月さんを眺めたのでしょう。お日様、特に昇る朝日からは元気をもらいますが、お月さんに元気をもらうことは少ないと思うのですが。
千年後の人たちは、どのような思いで、満月を見るでしょうか。日本は残っているかな、日本語は続いているでしょうかね。

総理、福島視察

今日11月24日は、総理の福島視察に同行しました。というか、私たちが進めている復興の状況を見てもらうのです。
今回の視察先は、避難指示解除地域の救急医療の拠点となる富岡町の「ふたば医療センター」、ここには患者輸送用のヘリコプターが常駐しています。JR常磐線の開通と合わせ再開する双葉駅、その周辺に整備する双葉町の復興拠点などです。また、昼食は、浪江駅近くで再開した食堂です。
この地域は、まだ避難指示が解除できないところが多く、徐々に解除・復興に向けて作業を進めています。
総理に、復興の困難さと、しかしその条件下でも関係者が頑張っているところを見ていただきました。

その後、福島市に移動し、あずま球場でバッハ・国際オリンピック委員会会長と、2020東京オリンピックのソフトボールと野球の会場を視察してもらいました。

チャイナスタンダード

11月13日の朝日新聞オピニオン欄、ケビン・ラッド、元豪首相のインタビュー「チャイナスタンダード」から。

・・・中国は世界をどうしようとしているのですか。
「習氏が表明している中華民族の偉大な復興という『中国の夢』(チャイニーズドリーム)の実現でしょう。建国100周年の2049年までに世界トップクラスの国際的影響力を持つ大国の地位を取り戻すことです。中国は最近、トランプ大統領下の米国が世界から手を引いて影響力を弱めていることをチャンスととらえています。米国が抜けた空白を突き、中国的な国際秩序を広めようとしているのです」

――でも米国を敵に回してまで、中国が自分たちの秩序づくりにこだわるのか理解できません。
「中国は改革・開放政策を進める際に、国際社会から人権問題や市場開放のほか、欧米が主導した国際システムに従うように求められました。こうした圧力をはね返すために、逆に中国式の規範を国際社会に広めようとしているわけです」
「中国共産党の組織の原理は、将来にわたって生き残ること。そのためには、イデオロギーと政治的な影響力を維持していかなければなりません。だからこそ、欧米的な民主主義や資本主義を打ち破って、中国式の国家資本主義が勝利を収める必要があるのです」・・・

・・・『関与政策』が行き詰まった今、中国とどのように向き合えば良いのでしょうか。
「ひとつ忘れてはいけないのが、中国のこれまでの貢献です。この15年間、世界の経済成長の最大のエンジンが中国でした。中国の成長がなければ、世界経済はもっと衰退していたでしょう。自由で開かれた国際秩序を放棄せず、強大化した中国を受け入れて新たな枠組みを築けるかが課題です」

――かなり難題に思えますが、どうすればいいのでしょうか。
「我々が自身の制度を『手術』しなければなりません。自由主義にとって最も重要なことは平等です。すべての人の才能を生かせる機会の平等を実現することです。資本主義についても、米国はマネーゲームのような『カジノ資本主義』で世界の金融システムを管理した結果、リーマン・ショックという08年の金融危機をもたらしました。社会的かつ経済的に責任がある、健全な資本主義体制を再構築する必要があります」・・・