岡本全勝 のすべての投稿

怒濤の1週間

3月1日から続いた、長い1週間が終わりました。この間、被災地視察(2泊3日)、宮城復興局(仙台)出張、大阪でのシンポジウム2回。東京では、自民党と公明党のそれぞれの加速化本部会議、連合での講演など。その上に、3.11を控え、記事や連載に力を入れてくれている、マスコミ各社の記者さんからの質問への対応。でも、関心を持ってもらえ、そして正しく伝えてもらえるなら、ありがたいことです。
昨日土曜日は、久しぶりに職場に休日出勤ができて、資料の片付けが進みました。たまっていたメールへの回答。積み上がった資料は、高さで15センチメートルは処理できました。あと25センチほど、残っていますが。実り多い1週間でした。

復興庁への批判に答える

復興庁は、かなり高い評価をいただいていますが、批判もあります。それらの指摘には、謙虚に答えなければなりません。
ところで、批判の一つに、「復興庁は各省からの寄せ集めだから悪い」という趣旨の批判があります。これには、納得がいきません。
職員が各省からの寄せ集めであることは、事実です。それが、なぜ悪いのでしょうか。また、代案はあるのでしょうか。
復興庁は、官庁です。現地の課題を吸い上げ、各省や自治体と調整して課題を解決していきます。道路や住宅、農業や商工業、医療や教育。それぞれの行政に通じた人材が、必要なのです。そのような人材は、各省にしかいません。日本の労働市場に、これらの行政に通じた人材は、そんなにいません。
各省から、その分野に通暁した優秀な職員を集めることが、最も効果的なのです。そして、職員たちは、難しい仕事に、よく頑張ってくれています。

地域包括ケアの試み、新聞記事の後押し

読売新聞1面連載「転機の復興」、3月8日は「多職種連携、医療支える」でした。
インフラ復旧や住宅再建の次の課題は、「産業復興」と「健康支援」です。健康支援には、時期によって、次のような課題があります。
まずは、長引く仮設住宅住まいでの健康維持です。ここには、体と心の両方があります。次に本格住宅に入った後の、健康です。被災地域は高齢者が多く、健康予防、福祉、医療、介護などの機能が連携して、各高齢者をお世話する必要があります。記事では「多職種連携」と書かれていますが、「地域包括ケア」と呼ぶ場合も多いです。ここでも、身体の健康の前に、引きこもりや閉じこもりによる身体の機能低下や孤立が課題です。仮設住宅は多くが団地なので、まだ見守りはしやすいのです。本格住宅になると、孤立が進む恐れもあります。医療、福祉、介護の専門家だけでなく、地域の住民の協力も必要です。
そしてこの課題は、被災地だけでなく、日本全国の課題です。全国の市町村長にとって、次なる大きな課題です。被災地が、先端を行っているのです。私たちも、市町村や関係者と、地域包括ケアの試みに取り組んでいます。
今日の記事は、具体事例を紹介しつつ、この大きな問題を指摘し、そして解決方向を示しています。有意義な記事だと思います。ご一読ください(うーん残念、インターネットでは読めないようです)。

被災企業の回復、二極化。収益が戻らないと、復興は終わらない

3月7日の日経新聞が、「被災企業、回復は二極化」を伝えています。
・・東日本大震災から3年がたち、被災企業の売上高の回復度合いが分かれている。日本経済新聞が6日にまとめた被災企業へのアンケート調査で、設備が8割以上復旧したと答えた企業は7割あったが、その中で復旧後の売上高が震災前より増えた企業と、7割以下にとどまる企業の割合がほぼ同じだった。好調組は震災を機に事業戦略を練り直し実行した企業が目立つ・・
・・これらの会社に2013年度の売上高見通しを聞くと、36%の企業が震災前より増えると答えた。震災前の7割以下の企業も33%あった。増える企業は、震災を機に商品開発など新たな取り組みを始めた企業が目立つ・・
・・応援消費の高まりで、多くの会社が復興需要の恩恵を受けた時期もあった。だが今回の調査で、売上高が回復した理由に「復興需要」を挙げたのは、復興工事で潤う建設業と物流業だけ。他の業種は積極的な新事業への挑戦が回復の原動力だ・・
・・被災地では国の補助金を使い設備を復旧させた企業が多い。資金を投じれば完成するインフラ整備と違い、企業の復興は収益が回復しないと終わらない。設備が復旧していない企業の売上高回復はなお厳しい道のりだ・・
この記事の指摘はその通りです。調査をおこない、データに基づいた、そして課題を的確に指摘した良い記事です。

企業による復興支援

3月8日の日経新聞が、「復興支援を事業に生かす」を書いていました。
・・東日本大震災の被災地に対する主要企業の復興支援の形も、変わってきている。大震災の直後は寄付やボランティアの派遣などが多かったが、現在は自社の本業につながる形で被災地の復興を支えようとする動きが目立つ・・
記事によると、主要企業の4割が、2013年も支援を継続しています。記事では、「ヒトの支援、アイデアの提供」「モノの支援、販路の創出」「カネの支援、継続する仕組みづくり」に分けて、具体例を紹介しています。
ありがとうございます。復興庁でも、企業に支援を呼びかけ、企業連携室を作っています。また、支援の型を分類して紹介しています(近々、復興過程での企業による支援の分類を、復興庁のHPに載せます。明日のシンポジウム用に、K君が作ってくれました)。