先日の「使い勝手の悪いIT化」の続きです。今度は、民間の方との会話。
民:役所の旅費システムを、作りかえるようですね。
全:そうなんよ。今は役所ごとに違っていて、古いシステムを使っているところ、そもそもIT化していないところなど、バラバラなんだ。それを共通化しようとしたんだけど、失敗している。それを、もう一度見直そうということ。
民:でも、それってムダじゃありません。交通機関って、「駅探」とか「駅スパート」とか、インターネットや携帯電話で、しかも無料で調べることができますよ。最短コースや金額も。
全:そう言われれば、僕も使っている。
民:ね。だから、それを使えば良いんですよ。旅費の申請に、その画面をつけておけば。会計課はそれを基に、旅費を職員の口座に振り込めば良いんです。違う経路を使いたい職員は、別途、理由を書いて申請すればすみますよ。各役所の伝統的手法をIT化しようとするから、複雑になるのです。そうでなくても、民間企業でもやっていることは、どこかのシステムを買ってきたらすむのに。役所の独自性を発揮する必要はありません。
全:その通りだね。前に、地方団体が、地方税など共通業務をそれぞれIT化して、システム開発会社のカモにされたことを書いた。
もう一つ、あの民間議員ペーパーに出てくる企業(年間15万件を一人の職員で)は、IT化の前に、業務の見直し、フローチャートを見直したんだって。簡単に言うと、出張の際の上司のはんこを2つにした。役所だと、下手をすると10個くらい並ぶぜ。その業務の見直しに8割を費やして、IT化は2割だったんだって。
民:そうなんです。IT化って、IT技術者に任せればいいと思っている人が大半ですが、それは半分以下です。どこをIT化するか、人間作業の方を見直すことが大切なんです。
全:そうやね。ところが、官庁には、そのような業務監督者や組織がないのよ。人事課は人事異動と給与計算しかしていない。会計課は支払いしかしていない。「業務見直し課」って、ないんだ。
民:そこが問題ですね。