カテゴリーアーカイブ:行政

衆議院選挙区割り違憲判決

2012年4月8日   岡本全勝

3月31日の朝日新聞オピニオン欄は、衆議院選挙区の格差が2倍以上になっていて、最高裁判所が違憲状態にあるとの判決を出したこと、しかし国会は対応していないことを取り上げていました。長谷部恭男東大教授の発言から。
・・現状のまま衆議院の解散・総選挙があれば、最高裁が「違憲」と判断することも十分ありえます。
過去にも区割り規定が「違憲」とされたことはありましたが、「事情判決の法理」を用い、選挙は「有効」とされました。しかし、次はこの法理が使われると決めてかからないほうがいいと思います・・
事情判決とは行政処分が裁判で違法とされた場合、その処分を取り消すと著しく公益を損ねるとして、取り消し請求を棄却する判決のこと。これを選挙制度の訴訟にも「法理」という形で応用しました・・
注意してほしいのは、当時、衆議院は中選挙区だったという点。選挙区に多ければ5人の政治家がいて、複数の選挙区で選挙無効になれば、相当数の議員が失職し国政が滞る。それでは公益を損ねるという判断がありました。
いまの衆議院は小選挙区制。5、6か所の選挙区で選挙が無効になり、国会議員が失われても、国会の運営に大きな支障はない。事情判決の法理を使う理由はありません・・

なるほど、そのような立論、推論もあるのですね。詳しくは原文をお読みください。

社会活動家の見た政治の中

2012年4月2日   岡本全勝

社会活動家の湯浅誠さんが、内閣府参与を辞任され、その経験を語っておられます。「ブラックボックスの内部は『調整の現場』だった」毎日新聞3月30日夕刊

・・90年代にホームレス問題に関わっていたころ、社会や世論に働きかけて問題を解決したいという思いはあったが、その先の永田町や霞が関に働きかけるという発想はなかった。
こちらが投げ込んだ問題は、ブラックボックスを通して結果だけが返ってくる。「政治家や官僚は自分の利益しか考えていないからどうせまともな結論が出てくるはずがない」と思い込み、結論を批判しました。
しかし参与になって初めて、ブラックボックスの内部が複雑な調整の現場であると知ったのです。

(ブラックボックスの内部では、政党や政治家、省庁、自治体、マスコミなど、あらゆる利害関係が複雑に絡み合い、限られた予算を巡って要求がせめぎ合っていた。しかも、それぞれがそれぞれの立場で正当性を持ち、必死に働きかけている。)
・・以前は自分が大切だと思う分野に予算がつかないのは「やる気」の問題だと思っていたが、この状況で自分の要求をすべて通すのは不可能に近く、玉虫色でも色がついているだけで御の字、という経験も多くした。
・・政府の中にいようが外にいようが自分は調整の当事者であり、「政府やマスコミが悪い」と批判するだけでは済まない。調整の一環として相手に働きかけたが結果が出ない--それは相手の無理解を変えられなかった自分の力不足の結果でもあり、工夫が足りなかったということです。そういうふうに反省しながら積み上げていかないと、政策も世論も社会運動も、結局進歩がないと思う。
・・物事を解決していくには、複雑なことの一つ一つに対応していく必要があります・・

大卒のうち安定雇用は半分

2012年3月20日   岡本全勝

大学卒業生のうち、安定した職業に就いている人の割合は約半数であると、内閣府が推計しています(3月19日、雇用戦略対話)。資料によると、卒業者約85万人のうち、大学院などへの進学が7万人。残り78万人のうち、就職したものの早期(3年以内)離職が20万人、無業や一次的な職が14万人、中退が7万人で、合計41万人。差し引き37万人が安定した就職になります。高卒になると、安定就業は3分の1です。
また、若者に、非正規雇用が多くなっています。また、希望者と採用側とのミスマッチも、指摘されています。「大学を出てよい就職をする」「新卒一括採用、終身雇用」という日本型雇用。これも理想型であり神話であったのですが、神話としても崩れてきています。

人事評価の季節

2012年3月18日   岡本全勝

3月末。官庁では、人事評価の季節です。半年に一度、各人が目標を立て、申告する。半年後に、それを自己評価するとともに、上司が達成度を評価します。
私は、評価という行為とともに、部下と上司が、目標や何が欠けているか何を期待しているかを共有する、良い機会だと考えています。「2011年9月26日の記事」をお読みください。
私の経験でも、案外、意思疎通できないことがあり、驚きます。「言わなくてもわかるはずだ」とか、「ふだんからコミュニケーションをしているから、私は大丈夫。一緒に飲みにいっているし」は、通じませんよ。
優秀な部下と上司の場合は、問題ありません。部下が「私の上司は指示があいまいで、良くわからない」というような場合。上司が部下に対して「彼は期待通りの仕事をしてくれない」といった場合に、この「目標設定」「事後評価」そしてそのための「面談」が有用です。
期待する水準に達していない部下を導くこと。これが重要です。ボーナスに差を付けることだけが、主要な目的ではありません。
さらにその上の上司になると、もう一つの効用が付け加わります。例えば、課員AさんとBさんの評価を、課長Cさんがします。それを局長Dが見ているとします。C課長はA課員とB課員を評価しているのですが、その評価ぶりをD局長に評価されています。
D局長から見ると「C課長は、Aさんをこのように高く評価し、Bさんを低く評価している。Bさんの方が良く仕事ができるのに、相性が合わないのか、見る目がないのかなあ。一度探ってみる必要があるなあ」と。

少数精鋭・やりがいのある仕事

2012年3月13日   岡本全勝

発災以来1年の節目なので、連日、新聞やテレビが、特集を組んでいます。また、それにあわせて、復興・復旧事業が取り上げられています。ありがたいことです。いろいろご批判も頂いてはいますが。以下、記者さんとの会話です。

記者:霞ヶ関には、どれくらいの組織があるのですか。
全勝:大臣を戴いているのは、1府12省。それに加えて、私たち復興庁がある。霞ヶ関にいる国家公務員は、約4万人だと聞いたことがある。これが、いわゆる本省だね。
記者:復興庁には、何人いるのですか。
全勝:本省に160人、現在は民間から派遣してもらった人たちを入れて、約180人かな。出先に90人いる。
記者:え~。それだけで、毎日、あれだけ新聞に出ているのですか。
全:そうなんだよね。ありがたいことです。また、毎日がんばってくれている職員に、感謝しなければ。できれば、復旧が進んでいることも、伝えてほしいね。記事は、「進んでいない」ということばかりだから。
記:たしかに。それは、反省します。「進んでいる」では、記事にならないのですよ。でも、復興以外にも、大事な国政がありますよね。あとの3万9千人がやっている仕事が。
全:そのとおり。それを伝えることが、あなたたちの仕事ですよ。