「連載「公共を創る」」カテゴリーアーカイブ

連載「公共を創る」第22回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第22回「哲学が変わったー成長から成熟へ 平成時代は日本社会の曲がり角」が、発行されました。

平成時代の第一の問題は、経済の停滞でした。それは景気変動ではなく、日本の産業に転換を迫るものでした。追いつき型発展の終了、国際競争の激化、そして日本型経営が足かせになるというように、条件が変わったのです。

もう一つの問題は、社会の不安の増大です。それを分けると、格差の顕在化と、孤立の顕在化です。平等と安心を支えていた日本社会が、経済成長や近代化によって変貌していたのです。

そして日本は、これらの新しい社会の課題と経済産業の課題に、的確に対応することができませんでした。失われた20年と言われるように、停滞は長引きました。それが、日本社会から昭和時代のような夢と明るさを失わせました。
これらの課題は、景気対策を打っても解決できる問題ではありません。従来型の行政、産業政策では、解決しないのです。
私が、平成時代は日本の曲がり角と主張するゆえんです。

連載「公共を創る」第21回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第21回「哲学が変わったー成長から成熟へ 日本型行政にはまらない課題」が、発行されました。

前回、非正規社員の問題を取り上げました。問題と言っていますが、彼ら彼女らに責任があるのではありません。正規社員を望んでも、全体の3割以上の人が非正規にならざるを得ない。それは、会社の側、社会の側に問題があるのです。
そして、そのような非正規社員を増やした原因は、これまで高く評価されていた日本型雇用なのです。正規社員を解雇せず定年まで雇う。それはよいことなのですが、そのしわ寄せを、新規求職者にかぶせて、彼らを従業員数の調整に使っているのです。

再チャレンジ政策で対象とした「引きこもり」も、これまでの行政では対応できない問題です。金銭給付や身体支援では、解決できないのです。
ここに、これまでの行政、そして日本社会を変えていかなければならない契機があります。

訂正
P17の中段、後ろから4行目の「社員」は、「職員」の間違いです。見落としてしまいました。反省。

連載「公共を創る」第20回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第20回「哲学が変わったー成長から成熟へ 非正規雇用があぶり出したこと」が、発行されました。

前回まで、4回にわたり「主体と手法の拡大」を解説しました。今回からは、「変貌した社会への対応」として、日本社会の新しい課題について解説します。
被災地復興で見たように、従来とは違う支援が求められました。それだけでなく、日本社会が大きく変わりました。
経済成長を達成し、世界一豊かで平等で安全な国であると自信を持ちました。ところが、平成時代に入って、経済の停滞ととともに、様々な社会の課題が噴きだしてきました。

今回は、まず、再チャレンジ政策について説明します。これは、安倍第一次政権で取り組まれた政策で、私は担当室長でした。
非正規雇用の問題が大きくなりました。ところが、非正規社員に責任はなく、会社や社会の側に課題があったのです。

このホームページにも、「再チャレンジ」という分類を作って、気になるニュースなどを載せています(大分類「行政」の下に、ぶら下がっています)。

連載執筆状況

連載「公共を創る」の第20回から第23回の4回分が、ゲラになりました。これで、10月を乗り越えることができます。
ようやく、第1章が終わり、次から第2章に入ります。当初の粗々の構想では、第1章は3か月程度で終わる予定だったのですが。書いていくうちに、次々と書きたいことが浮かんできました。それでも、活字になってからも、「あれも書くべきだった」「おっと、これも忘れていた」と気づきます。

常にぼやいていますが、毎週の連載って、結構な重労働です。
書きたいことは頭の中にあり、いくつかの断片はこれまでに印刷物になったり、このホームページに書いたり、私のパソコンの中にたまっています。しかし、それを皆さんに読んでもらえるような形にするには、大変な作業が必要です。
短い、ええ加減な文章は、毎日このホームページに書いているのですが、それとは違います。

その章の構成を考える。各部分を文章に仕上げる。それらを論旨が通るように並び替える。小見出しをみてその節で言いたいことを言えているか確認する・・・。そのくり返しです。形の違うレンガを焼いては、積み上げて、きちんと収まるか、外から見てきれいかを確認する。それを何度も繰り返しています。

書き上げると、独りよがりになっていないか、右筆に見てもらいます。いつも、原文に目を通して、鋭い指摘と加筆をしてくれる右筆には、感謝です。

連載「公共を創る」第19回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第19回「哲学が変わったー成長から成熟へ 自立への支援」が、発行されました。

大震災からの復興に際して、住民や事業者に様々な支援を行いました。行政だけでなく、民間による支援もたくさんありました。
町の復興には3つの要素(インフラ、産業、コミュニティ)が必要だと指摘し、それぞれに取った手法も説明しました。今回は、その手法を実施する際の「実務的手法」を説明しました。

支援するには、まず問題点を発掘する必要があります。お金や物なら届ければすむのですが、課題解決の支援では、そうはいきません。現場では何が課題か、また何を支援してもらえるかがわからないのです。
現場に行って、話を聞いて問題点を見つけ、それにふさわしい支援者と支援方法を考える必要がありました。人による、継続的な支援が必要です。

そして、被災者にしても事業者にしても、自立してもらうことが目的です。
補助金で経営が成り立っているようでは、復興したことにならないのです。売り上げが回復しないと、復興にはなりません。
心に悩みを抱えた人、両親を亡くした子供。この人たちに、どのような支援をすればよいのか。
専門家による継続的な支援が必要です。これが、難しいのです。