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行政

岡本審議官、官僚に苦言を呈す

先日、ある政策の状況を、聞いたときのことです。説明資料に、右肩上がりの棒グラフが付いていて、「月平均増加率17%。順調に推移」と書いてあります。「なるほど」と思って、その上の本文を読んだら、その結果の達成率は1.3%でした。比較対象となる某国は、100%です。
岡本審議官曰く「おいおい、こんな説明資料つくっていたら、官僚は信頼されないよ」「0.2%が0.4%になったら、『倍増』と書くのかね」「書いていて恥ずかしくないかい・・」
ある経済人は、「君たち官僚の説明は、ユビキタスだ」と揶揄されます。その方が何か質問すると、官僚は何についても、どんなことでも、「やっています」と答える。しかし、よく聞くと、少しやっているけれども、結果が出ていない、という意味です。
正直に答えれば、いいのですよね。「できていません」と。そして官僚に求められるのは、達成するにはどんな方法があるか、どの方法が効率的かを提示することです。

官僚復活の条件=新しい価値創造と世界での勝負

民間の方たちと議論していて、次のような話になりました。私の関心は官僚機構の今後であり、彼らは企業の今後についてです。しかし、見方は共通なのです。
一つめは、官僚機構が評価を復活させるためには、「新しい価値」を生まなければならないことです。これまでは、先進国からの輸入という手法で、新しい価値=新しい行政サービスなどを国内に広めました。しかし、先進国に追いついたことで、輸入すべきものがなくなりました(これは、私がいつも言っていることです)。
民間企業が勝ち残るためには、新しい製品やサービスを提供しなければなりません。学界も同じで、人より先に新しい発見や理論を提示しなければなりません。官僚に求められることは、新しく生じる社会問題に、どのような対策を講じるかです、新しい政策を打ち出せるかどうかが、問われます。これまでと同じサービス(政策)を売っているようでは、評価は復活しないということです。
もう一つは、競争の場です。企業は、世界を相手に競争をしています。経済のグローバル化で、国内で勝っているだけでは、じり貧なのです。学界も、世界で勝負しています。それと同様に、官僚も、国際社会で日本が生き残ることを、考えなければなりません。
日本で勝って世界で負ける減少を、「ガラパゴス現象」と呼びます。閉ざされた世界でそれなりに進化するのですが、世界では負けるのです。内弁慶では、だめなのです。
もちろん、企業でも官庁でも、決められたことを実行するという仕事も重要です。しかし上に述べた観点から見ると、企業において、内部管理部門より開発部門と営業部門が重視されることが、納得できます。官庁においても、事業の執行や予算や補助金を配分する仕事は重要であっても、それは新しい価値創造ではなく、また世界での競争ではありません。それらは、これからの官僚に期待される重点的な役割では、ないのでしょう。

世界の市長

務台クレアロンドン事務所長に、「CITYMAYORS」というサイトを、教えてもらいました。世界の市長の取り組みを、紹介しているサイトです。非営利の団体が、運営しているようです。残念ながら、英語ということもあってか、日本の市長さんはほとんど載っていないようです。英語で投稿すると、編集者がチェックして載せてくれるようです。安くて手軽に世界に向けて発信できるのですから、もっと活用すべきですよね。また、世界の情報がたやすく入手できるようです。

出先機関見直し、官僚の対応

3日の日経新聞は、「地方分権に官庁の壁、出先機関見直しで激論」を解説していました。各省が主張する「国が行わなければならない理由」に対し、丹羽委員長らが反論し、「ふまじめだ」と激怒している状況が、書かれています。
ある記者さん曰く、「この理由では、官僚の評価を落としますねえ。本人も、こんなことを、本気で思っているのでしょうか」

規制の新設

28日の諮問会議では、規制の新設過程のチェックも議論になっています。現在ある事務事業をスリム化しても、新たに仕事を増やしては、尻抜けになるからです。
新たな規制の新設には、事前の政策評価が義務付けられれています。昨年3月に政策評価法施行令が改正され、項目が追加されたのです。しかし、民間議員ペーパーでは、自己評価であることなどの問題点が指摘されています。
課題の一つは、所管省の評価だけでよいかということです。規制は、いろんな方面に影響を与えます。例えば、過度の安全規制は、経済に悪影響を与えます。伊藤隆敏先生が、3月1日の日経新聞で、空港外資規制見直しについて、次のように述べておられます。
・・市場原理をうまく機能させるためには、規制をすべてなくしてしまえば良いというわけではない。安全保障など国の根幹にかかわる部分を守るために必要な規制もある。その際には、最小限で最も効果を上げられる規制のあり方を、慎重に探る必要がある。
所管省庁だけが縦割りで検討するのではなく、政府の規制改革会議や経済財政諮問会議の場を活用して、省庁横断的に多様な観点から規制の影響を分析・評価して判断すべきだ・・
もう一つは、規制の増殖をどう抑制するかです。
官僚の力は、金・組織と人・権限の3つだと言われます。お金については、財務省主計局が予算査定によって管理しています。組織と人については、総務省行政管理局が組織定員査定で管理しています。権限(許認可・規制)については、統一して管理されていません。もちろん、お金や人と違い、規制は数字で数えることは難しいという性質もあります。
大きな政府と小さな政府が議論になる際、日本は予算と定員では諸外国と比較して、大きな政府ではありません。しかし、この規制の量と範囲、そして国民がどれだけ官に頼るかが、大きな政府イメージをつくるのだと思います。