カテゴリー別アーカイブ: 経済

経済

経済ルール、守るから作るへ

3月16日の日経新聞社説「TPP交渉 「守る」から「築く」へ」から。
・・人口が減る日本が将来にわたり経済成長を続けるためには、世界に打って出なければならない。米国と連携を深め、世界の成長の中心となった東アジアと結合を強めてこそ、日本は本来の力を発揮できるようになる・・
日本経済の発展を真剣に考えるなら、外に向かい目を開かなければならない。工業製品だけでなく農産物を含む日本の産品と、日本の人材、投資資金が自由に動ける舞台をつくることこそが国益である。発想を「守る」から「築く」に切り替えるときではないか・・
交渉の焦点は、モノの関税撤廃だけではない。知的財産権、技術の基準・認証、投資、国有企業の改革、サービス貿易、競争政策、環境、労働など、さまざまな分野がある。いずれも、現在の通商秩序の土台である世界貿易機関(WTO)の協定に、十分に盛り込まれていない領域だ・・
日本は駆け足で追いつき、これらのルール策定の作業に一日も早く参画しなければならない。日本にとって関税撤廃による輸出拡大の経済効果は大きいが、新領域のルールづくりには、それ以上の大局的な意味があるからだ・・

日経新聞「私の履歴書」、カーラ・ヒルズ元アメリカ通商代表、3月16日「車の輸出制限」から。日本が、経済摩擦を回避するために、自動車の輸出自主規制をしたことについて。
・・これは経済的な観点に立てば、大きな誤りだった。輸出を制限すれば競争も制限され、それだけ価格は上昇してしまうからである。
実際、日本による対米乗用車輸出自主規制は、米国の自動車産業を怠惰にしただけだった。ビッグスリーの経営者たちは競争力に何の心配もしないまま、市場によって正当化されない高禄をはみ、年金の増額も許してしまった。そうした意思決定は後に、米国の自動車産業が壊滅的状態に陥るという形で跳ね返ってきたことは、歴史が証明している・・

経済財政運営政策と経済成長政策、その2

2月28日このホームページに、「近年あるいは過去の「経済見通し」閣議決定で、成長戦略が掲げられたのは、今回が初めてではないでしょうか」と書いたら、間違いを指摘されました。
例えば、平成20年1月の閣議決定では、「2 平成20年度の経済財政運営の基本的態度」に次のような項目が並んでいます。「成長力の強化に向けて」「地方の自立と再生に向けて」「安心と信頼できる財政、社会保障、行政の構築に向けて」。
また、平成19年1月の閣議決定でも、成長、再チャレンジ、行財政システム改革が並んでいます。当時は、経済財政諮問会議が「骨太の方針」などで経済成長や構造改革を議論していました。それが、これらの「経済見通し」閣議決定の背景にあります。

経済財政運営政策と経済成長政策

今日2月28日、平成25年度当初予算と合わせて、「平成25 年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」が閣議決定されました。これは、例年通りです。その中で、おやっと思ったことがあります。
「2 平成25 年度の経済財政運営の基本的態度」の中で、「財政政策」「金融政策」「為替政策」と並んで「成長戦略」が並んでいます。十分に調べていないのですが、近年あるいは過去の「経済見通し」閣議決定で、成長戦略が掲げられたのは、今回が初めてではないでしょうか。間違っていたら、ごめんなさい。
経済成長の「基礎」は成長戦略であり、「財政政策」と「金融政策」は景気調整に使えても、経済成長そのものには「効果が薄い」です。経済成長政策の上に、そして社会保障政策の上に、経済財政運営があるのでしょう。経済成長政策と社会保障政策のない経済運営政策では、限界があります。

狭い国土は言い訳にならない、オランダの農業

1月29日日経新聞1面連載「ネット人類未来」は「賢い農業革命、狭い国土言い訳にしない」でした。
世界一の農業輸出国はアメリカです。では、2位はどこだと思いますか?私は、オーストラリアかなと思いましたが。
正解は、オランダだそうです。国土は九州ほどしかないのですが、輸出額は790億ドル(2008年)と、日本の30倍だそうです。ITを駆使した農業経営で、トマトでは単位面積あたり収穫量が日本の3倍です。
私は、このHPでも書いているように、日本の農業は、「稲作とそれ以外の作物」を区別して議論すべきであること、そして「産業としての農業とそれ以外の人(兼業や高齢者の農業)」を区別するべきこと、「農業と農地を持っている人」とを区別すべきであると主張しています。

ブランドを守る

1月28日の日経新聞「経営の視点、ブランドを死守したネスレ」から。
・・数年前、ネスレ日本は、イオンと大げんかした。イオンがプライベートブランド(PB=自主企画)で、ネスレのチョコレート菓子「キットカット」に似た商品を発売し、大量に陳列した。しかもその横に本物のキットカットをわずかな量だけ並べていたのだ。
ネスレ側は、この「仕打ち」に激怒。イオンは売上高の約10%を占める最大の販売先だったが、一切の販促費を止めた。イオンにおけるキットカットの販売は減少。ネスレ日本の売り上げも落ち込んだが、平然とこう言い放った。「キットカットは中身をPBと入れ替えたとしても、必ず売れる」。その価値がわかっていないことへの抗議だった。
「本物ブランドは味と品質に優れるだけでなく、消費者の感情に入り込んでいる」とネスレ日本の高岡浩三社長は話す。グローバル成長には世界共通のメガブランド商品が不可欠。それを育てるには時に販売減のリスクを冒してでも、ブランド価値を守るこだわりが必要というわけだ・・
日本企業が、アジアで日本製品をまねた偽物や類似品に困っていますが・・・