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行政-災害復興

被災地での男女共同参画

復興庁では、復興に際し、NPOとの連携などのほかに、男女共同参画などにも力を入れています。これらは、これまでの災害復旧にはなかった、あるいは少なかった視点だと思います。
7月に、仙台市で行った「被災地での女性の企業支援セミナー」の概要を、復興庁のホームページに載せました。
男女共同参画と言っても、現実には「男性優位の社会に、女性の力を引き出す」、そのお手伝いです。
発災直後は、避難所での女性の活躍が目立ちました。また、女性ならではの活躍をしてもらいました。一概には言えませんが、男性リーダーの横に女性のリーダー(副長)がついておられる避難所が、うまく運営されていました。「おじさん」には言いにくい意見や要求が、「おばさん」になら言いやすいのです。
これから町の復興をするに際しても、女性の視点は重要です。昼間に町にいる人、そして子育てや高齢者の介護をしているのは、女性の方が多いのですから。男性は、職場で仕事をしている人が多いです。昼間の住宅街にいるのは、女性か高齢者なのです。この方たちの住みやすい町が、良い町でしょう。
春に、「復興計画づくりに女性の視点を入れているか」を調査したことがあります。残念ながら、男性だけで計画を作っている町もありました。中には、町の広報誌に検討会の様子をイラストで紹介しているのですが、男性ばかりという例がありました。この市については、電話をかけて、やんわりと「指導」をしました。

全国避難者数

9月6日時点の、全国の避難者数調査がまとまりました。避難者総数は、約33万人。前月に比べ、約1万3千人減っています。これは、宮城県で数字を精査したことによるものと思われます。いわゆる避難所にいる人は、埼玉県加須市の、約200人になりました。
昨年の今頃は、まだ全体数字が把握できていませんでした。また、避難所やホテル、知人宅から、仮設住宅への移転を進めていました。

復興庁の評価

今日9月11日は、発災から1年半の節目でした。各紙やテレビが、特集を組んでいます。
読売新聞が、被災地の42市町村長を対象に、アンケートを続けています。それによると、「被災者の生活再建のめどが付いたか」という問について、7割近くの首長が「立っている」と答えています。1年前は、4割に満ちませんでしたから、かなり進んでいます。ただし、福島県の原発被災地では、めどが立っていない町が多いです。
「復旧・復興が予定通り進んでいる」と答えた市町村長が、約半分です。特に遅れている分野は、住宅再建や防潮堤などです。

復興庁については、8割の首長が「評価できる」と答えています。「各省庁との調整に一定の役割を果たしている」「改善すべき点はあるが、一定のワンストップ化が図られている」とのことです。ありがとうございます。
もっとも、2割の首長は、「あまり評価できない」との回答です。私どもも、反省すべき点は、改善しなければなりません。記事では、アンケートの回答の一部しか載っていないので、全体を教えていただけると、活用できるのですが。

発災から1年半、マスコミ報道

発災から1年半の節目で、マスコミがたくさん取り上げてくれました。ありがたいことです。復興庁への批判的な内容もありますが、それはそれで役に立ちます。しかし、気になったことを指摘しておきます。

1 復興を進めるための、建設的な意見がほしい。
私は、復興を取り上げる際には、「地域の復旧=マクロの客観的データ」と、「個人の生活の復旧=ミクロの主観的意識」の両方を見据えて、何が必要かを書くべきであると考えています(2012年7月31日の記事)。
私たちに求められているのは、地域の復旧と個人の生活再建です。復興庁の仕事もマスコミの記事も、それを助けるための「手段」です。記者と官僚の立場と手法は違いますが、「日本をよくする」という使命は同じです。情緒的な切り口も重要ですが、それだけでは、復興は進みません。建設的な批判や、課題の指摘がほしいのです。

2 読者や視聴者は、まずは被災者であること。
全国紙や全国放送は、日本全体を対象としています。しかし、復興に関しては、まずは被災者が主たる対象でしょう。
被災者が読んで、どう思うか。すると、彼らを勇気づけ、前に進むような記事もほしいです。
国や関係者に対する批判も重要ですが、「ここでは、これだけ進んだ」とか「こうすれば、もっと進む」といった取り上げ方は、できないでしょうか。私は「批判記事を書くな」とは言っていません。それも、私たちの仕事を改善するために重要なことです。しかし、見ていて、被災者が暗くなるだけの番組や記事は、バランスを失していると思います。

3 復興の現場は、被災地であること。
復興庁に、取材に来られる報道関係者も多いです。私は常に、次のようにお話ししています。
「復興庁を取り上げていただくのは、うれしい。しかし、主役は、被災者であり、市町村役場の職員です。彼らを、取り上げてください。また、復旧が進んでいるかどうかは、東京ではわかりません。現地に行って、見てください。どこでどのような状況にあるかは、私たちの知っている限り、情報提供し協力します」と。
現場の復旧度合いを取り上げない番組は、どこか変です。